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イギリス中南部でみられる鉱石『サーセン石』を解説【ニコニコ大百科出張所】

ニコニコニュース / 2024年7月25日 13時30分

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 以降は、「ニコニコ大百科出張所」にご寄稿いただいた楠野小川さんによる「サーセン石」という単語の解説記事となります。

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文/楠野小川


サーセン石(サーセンイシ)

サーセン石(sarsens, sarsen stones)とは、イギリス中南部でみられる鉱石の名前である。

別に謝っているわけではないし、詫び石でもない。

概要

砂岩の一種。サルセン石、サーセンストーンとも。イギリス中南部において、珪化した硬い砂岩(珪質砂岩)を指して使う。

この地域で古代に石を環状に並べて作った「環状列石」の材料として使われており、特に約5000年前に作られたストーンヘンジが有名である。多孔性で珍しい地衣類の植物も付着しているため、生物学的にも重要な価値がある。

ただしストーンヘンジの石すべてがサーセン石というわけではなく、例えば中心部の複数の石については他の場所から来たと考えられており、「ブルーストーン」と呼ばれている。サーセン石で作られた環の部分は「サーセン・サークル」や「サーセン円」と呼ばれる。

ストーンヘンジのサーセン石の場合、石英の結晶が複雑に内部で絡んでいるため、ほとんど風化せずに遺跡が残ったようだ。25km北に離れたウィルトシャーの「ウェストウッズ」という森林地帯から運ばれたと考えられているが、その場所が選ばれた理由や運搬方法についてはまだ不明な点が多い。ただ、運搬方法の有力な説としてそりを使って「ころ」やレールの上を運んだとするものがある。

そもそもストーンヘンジを作った理由自体が不明なので、その辺りも含めて今後の研究で明らかになるかもしれない。

「サーセン石」の名前の由来も明確には不明だが、英語版Wikipediaによると以下のような説があるようだ。

  • イギリス南西部の方言で、イスラム教徒や非キリスト教徒を指す「サラセン人(Saracen)」から由来
  • インド・ヨーロッパ語族における「ササン」、北インドのチョーター・ナーグプル高原における「the prehistoric vaults」の名から由来
  • アングロ・サクソンのハイブリッドの語「sar-stan」、「厄介な石(troublesome stones)」が由来

中世ヨーロッパに名前の由来があるという説もあるので、それより大きく前の時代でストーンヘンジが作られた5000年前には、この石について「サーセン」とは言っていなかった可能性もある。

サーセン石は環状列石以外にも使われている。湿気が多く家具を腐らせやすいため住宅の壁などの建材には向いていないが、耐久性があるため縁石や階段の材料として使われていたようだ。

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