17.5京ジンバブエ・ドル=620円――“あのネットスラング”のもとになったハイパーインフレの経緯をさくっと解説
ニコニコニュース / 2022年1月2日 21時30分
「○○が負けるに100ジンバブエ・ドル」
ネットスラングでは、価値の低い通貨の代名詞としてしばしば取り上げられる“ジンバブエ・ドル”。正確に言うとジンバブエ・ドルの価値は17.5京ジンバブエ・ドルで5ドル(620円)だ(2015年時点)。
スーパーインフレ大国として不名誉な意味で有名になってしまったジンバブエ共和国は、そもそもなぜスーパーインフレに陥ってしまったのか? 本記事では、菊之字さんが投稿した『【ジンバブエ】失敗国家3分解説【VOICEROID解説】』という動画でその原因を解説する様子をご紹介します。
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(画像はWikipediaより)※数字の桁数にご注目いただきたい。
世界最高基準の生産性を持っていたジンバブエ
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元々イギリスの植民地の南ローデシアと言う国だったのだが、17年続いたローデシア紛争【※】を経て独立し、1980年に初代首相にロバート・ムガベが就任する。ムガベは独立後も旧白人政権との融和を進め、ジンバブエの経済を発展させていく。
※ローデシア紛争
ローデシア政府軍と中ソの支援を受けたアフリカ人抵抗勢力のゲリラ闘争が本格的となり、近隣諸国を巻き込みローデシア紛争に発展。黒人の参政権を保証する形でのローデシア独立を求めた紛争。
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多様な鉱石資源と効率的な農業と工業化を背景に教育や医療に注力し、その功績からジンバブエの奇跡として賞賛を浴びることになる。特に白人所有の大規模農園(国土の40%)で栽培される小麦は、欧州にも負けない世界最高基準の生産性を有していた。
しかし、これがいけなかった。独立時に米英とジンバブエはランカスター協定で10年間農地接収を行わない事を条件に米英が農地を買い取り再分配する予定だった。しかし、農地の価格が上昇した影響でこの計画はうまく進まなかった。
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1999年、第二次コンゴ戦争【※】が勃発するとムガベ大統領と親交があったコンゴ大統領を支援する為に派兵。これが友愛外交ちゃんですか……。
もちろん国際社会に友愛などというものは無く、実際はムガベ一族所有のダイヤモンド鉱石の保護が目的だったと言われている。しかし、この介入によってジンバブエの経済や医療や教育は衰退していく。
※第二次コンゴ戦争
1998年8月から2003年7月にかけて、コンゴ民主共和国においてツチとフツの民族対立や資源獲得競争が原因で行なわれた戦争。
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派兵により国内が混乱し、その批判を背ける為に白人所有の農場を強制接収。これにより技術を持った白人達が国外に流出し、農業生産能力が著しく減少した。しかも、干ばつが発生して物資不足が深刻化していく。
追い打ちは基本。
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外貨獲得資源が消滅したことで部品を海外に発注していた工業も衰退した。物資不足により治安が悪化し、裕福層も海外に避難していく。供給が減り需要との差が開いていき物価が上昇していく。さぁ、インフレの始まりだ!
コンゴ派兵から、富裕層の海外避難への一連の流れで物価が上昇していきインフレを引き起こしたジンバブエにコメントでは「この時点でもはやただのインフレじゃない」「ここからがジンバブエの奇跡か〜(白目)」などのコメントが寄せられました。
止まらないインフレーション
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もちろんこんな状態で財政がまともに機能するわけは無く、赤字を補う為に増刷。これにより需要が伸びてインフレが加速していく。ちなみに紙幣印刷技術も無かったので、末期にはドイツの印刷会社に週50万ユーロで増刷を依頼。貴重な外貨が無くなっていく。
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止まらないインフレの中、「日の出作戦」と名付けられたデノミネーション【※】を行い、3桁を切り捨てるが効果なし。この時、約20%は新通貨と交換されず紙切れと化した。
※デノミネーション
通貨単位を切り下げる、もしくは切り上げること。インフレーションによって貨幣の桁数が倍になると経済活動に支障をきたすので、その解決として行われる。10,000円の単位を1/100に切り下げ新100円にするなど。
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ここで政府はインフレを違法化。値上げ禁止の憲法を公布した。もちろん憲法だから違反すれば逮捕だぞ(実際に複数の企業が逮捕された)。これには原価厨もニッコリ。当然ながら利益を出せなくなった企業が続々と倒産し、失業率95%を記録した。
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外資企業の株の50%を黒人に譲渡する憲法も公布。んー、ちょっと何言ってるのか分かんないっすね。
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結局有効な政策も無く、デノミネーションを4回行うがインフレは止められず。インフレ率は天文学的な数値まで到達した。
スーパーインフレ大国ジンバブエの天文学的な数値に達したインフレ率に「実際に天文学で扱う桁よりでかいんだよなぁ」といったコメントや「日本語で表記できない桁数」といった驚きを隠せないコメントが寄せられました。
価値を失ったジンバブエ・ドルと大統領の退職
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2009年には完全に信用を失ったジンバブエドルに代わって、米ドルなどの海外通貨の国内流通を認め事実上ジンバブエドルは価値を失った。これによりインフレの上昇は収まりを見せてきた。ちなみに2012年には国庫の残高が217ドルになったことを明らかにして諸外国に支援を要請した。
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2015年にはジンバブエドルを廃止し、3京5千兆ジンバブエドル=米1ドルで回収すると発表した。ちなみにこの時のレートを考えて(1万円札の原価が20円らしいので)700兆ジンバブエドル札を印刷すると原価割れするな。
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2017年11月には、92歳になったムガベ大統領がクーデターにより退職。1987年からずーっと大統領だったぞ。現在のジンバブエは経済的には安定してきたが、与野党の対立が激化していて内戦ルートに向かっている気がするな。
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多角化していて安定した経済を築いていたジンバブエだったが、大体政府のせいで衰退した。地力があっただけに惜しい国家だったね。ちなみに皮肉にも現在では100兆円ジンバブエドル札がマネーコレクターによって1万円ほどで取引されている。
安定した経済を政府のせいで衰退したジンバブエに「5000兆ジンバブエドル欲しい」「日本政府はまともだった」といった意見が寄せられました。
ジンバブエ、失敗国家の歴史をノーカットで楽しみたい方はぜひ動画を視聴してみてください。
▼解説をノーカットで視聴したい方はコチラ▼
「【ジンバブエ】失敗国家3分解説【VOICEROID解説】」
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