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田中泯、映画デビューから22年で初めて出演ない挨拶登壇「大人に対してムカムカする」

日刊スポーツ / 2024年6月6日 20時20分

ドイツ映画「アンゼルム“傷ついた世界”の芸術家」トークイベントに登壇した田中泯(撮影・村上幸将)

田中泯(79)が6日、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷で行われたドイツ映画「アンゼルム“傷ついた世界”の芸術家」(21日公開)トークイベントに登場した。2002年(平14)の映画「たそがれ清兵衛」で映画デビューして22年で、自分が出演していない映画の舞台あいさつ、イベントへの登壇は初めてだといい「舞台あいさつ…照れくさいんで嫌なんですよね。今回は楽しみです」と笑った。

「アンゼルム“傷ついた世界”の芸術家」は、戦後ドイツを代表する芸術家アンゼルム・キーファーの生涯と現在を追ったドキュメンタリー。23年5月のカンヌ映画祭で、役所広司(68)が男優賞を受賞した「PERFECT DAYS」を手がけた、ドイツのヴィム・ヴェンダース監督(78)の監督作として、同作とともに同映画祭でプレミア上映された。

田中は「PERFECT DAYS」で、役所が演じた東京・渋谷で公衆トイレの清掃員・平山とつながりを持つホームレスを演じた。また本編とは別に、自身の踊りをヴェンダース監督が撮影した短編映画「Some Body Comes Into the Light」にも主演。その上、キーファーのアトリエも訪れるなど2人と親交があることから、この日のトークイベントに登壇した。

田中とキーファー、ヴェンダース監督は、同じ1945年(昭20)生まれで、田中は東京大空襲が発生した3月10日、キーファーは2日前の同8日に生まれた。田中は「PERFECT DAYS」の出演者としてカンヌ映画祭に参加後、1度帰国してから、カンヌと同じ南フランスのバルジャックに住むキーファーを訪ねたという。「僕は30代に欧州に行くようになって、キーファー(クリスチャン)ボルタンスキーとか、それまでの芸術と違うものがボンッと出てきて。直感だけど、ドイツ人でこの絵を描いている…俺に似ていると」とキーファーに感じるものがあったと振り返った。そして「会って『僕は東京大空襲の日に生まれた』と言ったら『俺も、ドイツの空襲の時に生まれた。危険で産院の地下で生まれたら、家が焼けてしまった』」と、キーファーとのやりとりを明かした。

キーファーの初期の作品の中には、戦後ナチスの暗い歴史に目を背けようとする世論に反し、ナチス式の敬礼をやゆする作品を作るなど、“タブー”に挑戦する作家として美術界の反発を生みながらも注目を浴びる存在となった。91年に高松宮殿下記念世界文化賞・絵画部門を受賞し、翌92年からはフランスに拠点を移し、わらや生地を用いて歴史、哲学、詩、聖書の世界を創作。作品に一貫しているのは戦後ドイツ、そして死に向き合ってきたことであり、“傷ついたもの”への鎮魂をささげ続けている。

田中は「この人が俺に近いと思ったのは、この時代に生まれたというのが、どうしようもなくある」と、キーファーと自身が生まれた“戦後0年”とも呼ばれる1945年を軸に語り出した。「人間の歴史の中のある、ひとコマ…悲劇と言って良いのかな? 悲劇を繰り返し、終わることなく創造している。僕は、それに大して、大人に対して、ムカムカする。どんな瞬間でも、大人が社会を動かしているし、大人って言うのは、いつまでたっても良くない」と、独特の言い回しで自身の心中を吐露。「体のどこか奥のものに、ムカムカしたものを抱える人は、におう。そういう人は子どもっぽい。子どもみたいに、じゃれ合うことができる。キーファーは、ものすごい、だじゃれを言う」と自身とキーファーの共通点を口にした。

さらに「第2次世界大戦と言うのは、やさしいんですけど、もっと昔から…未経験の未来のどこと示すことすら出来ないけど、これからもおそらく、過去の事実の中に戦争より、ひどいことがある」と切り出した。その上で「女は売られ、アフリカで肌に色の付いた人もお金で世界中、どこにでも売られていく。殺さずに金で人間を売り買いできる…戦争よりひどいこと」と声を大にした。そして「セシル・テイラーという米国のピアニストが、死ぬ前のコンサートで、とうとうと詩のように読んだ。そういう事実は、僕にとってものすごく重たい。キーファーの中にも、そういのは絶対にある」と声を大に訴えた。

「アンゼルム“傷ついた世界”の芸術家」には、キーファー本人のほか、青年期を息子のダニエル・キーファーが演じ、幼少期をヴェンダース監督の孫甥アントン・ヴェンダースが演じた。製作には2年を費やし、3D&6Kで撮影。従来の3D映画のような飛び出す仕掛けではなく、絵画や建築を立体的で目の前に存在するかのような奥行きのある映像を再現し、ドキュメンタリー作品において新しい可能性を追求した。ヴェンダース監督は「先入観を捨てて、この衝撃的なビジュアルをただ楽しんでもらいたい」と語っている。

田中は「拡散して下さい。心から見て欲しい…営業ではないです」と観客に笑顔で呼びかけた。

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