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「虎に翼」脚本家が劇中の「セクシャリティ」を長文説明「同性愛は設定でもなんでもない」

日刊スポーツ / 2024年6月10日 15時21分

東京・渋谷のNHK(2019年5月撮影)

伊藤沙莉がヒロインのNHK連続テレビ小説「虎に翼」の脚本家、吉田恵里香さんが10日、自身のX(旧ツイッター)を更新。劇中の「セクシャリティ」や人間関係について説明する長文を投稿した。

吉田さんは「よねが【白黒つけたい訳でも白状させたい訳でもない】と言っていますし、轟も自認している訳ではないのですが、一応、念の為に書いておきますね」と、劇中を回想する前置きで、劇中で大学の同級生である轟太一(戸塚純貴)と花岡悟(岩田剛典)との関係性や、それに対する山田よね(土居志央梨)の発言について説明した。 「轟の、花岡への想いは初登場の時から【恋愛的感情を含んでいる】として描いていて私の中で一貫しています(本人は無自覚でも)。人物設定を考える時から彼のセクシャリティは決まっていました。もし轟が女性だったら、きっと最初から花岡との関係の見えかたが違っていたでしょう」と明言した。

吉田さんはその上で「私も含めて思い込みや偏見で人をカテゴライズしています。私も日々無意識の決めつけをしてしまい反省してばかりです。個人的なことを全て明言すべきとは全く思いませんが、その決めつけで傷つく人がいることは確かなことです」とコメントした。

吉田さんの作品で、昨年NHKで放送された特集ドラマ「生理のおじさんとその娘」でも、「今回と似たような描き方で、レズビアンを登場」させたと紹介。「その時も『この設定はいらなかった』『盛り込みすぎている』というご意見をいただきました。そう思わせる私の本の未熟さは100%反省しますが、同性愛は設定でもなんでもないです」と説明。「こういう意見があがる度、エンタメが『透明化してきた人々』の多さ。その罪深さを感じます。これは個々の問題よりも、社会全体の教育や価値観の問題です」とつづった。

「虎に翼」については「轟自身がまだ自認しきっているわけでも答えをだしたいわけでもないと思うので、これを機に視聴者の方々も色々考えてご覧いただければ大変嬉しいです。こういう機会を朝ドラでもらえることはありがたく感じています」と視聴者に呼びかけた。また「私は、透明化されている人たちを描き続けたい。オリジナルの作品や理解あるスタッフとの作品ではそれを心掛けています(理解ある、はて?ではありますがこれ以外の形容がないです)。それが特別なことと思われる世界が悲しく残念ですし、描き方には注意を払うものの、私は現実にあるものを書いているだけです。褒められたい訳でも説教したい訳でもないです。長年刷り込まれてきた様々な嫌悪感や差別に対して、何か少しでも変わっていくことを望みます」と思いをつづった。

吉田さんは「私なりに勉強や取材を重ねているつもりですが、間違えることも沢山あるし、やりかたや言葉の使い方に後悔もある。伝わらないこともある。私のやり方が正しいのか、それこそ当事者の方から不快じゃないのかも分からないこともある。でも私なりにやっている最中です」とコメントし、「長々とごめんなさいね~。こういうことを作家が書くことが嫌な人もいるだろうけど、言わなきゃいけないことは言わなきゃいけないんです。ごめんね!」と締めくくった。

10日放送の第51回では、花岡が法を遵守して配給の食事以外に手を出さなかった結果、餓死する場面から始まった。戦地から戻り、訃報を伝える記事を見た轟は「仕方あるまい、それがあいつの選んだ道ならば」と強がるが、よねから「ほれてたんだろ? 花岡に。花岡と最後に会った時、そう思った」と言われる。轟は「なにをバカなこと言ってんだ」とあわてて否定したが、よねは「バカなことじゃないだろ」「別に白黒つけさせたいわけでも、白状させたいわけでもない。腹が立ったなら謝る。ただ、私の前では強がる意味がない。そう言いたかっただけだ」と続けた。轟は動揺しながら「俺にもよくわからない」とこぼし「あいつがいなかったら、俺は弁護士を目指していなかった」などと回想。「戦争のさなか、あいつが判事になって、兵隊に取られずに済むと思うとうれしかった。あいつのいる日本へ生きて帰りたいと思えた」と思い出を語るうちに号泣する場面となり、話題となっていた。

同作は日本初の女性弁護士で後に裁判官となる三淵嘉子(みぶち・よしこ)さんの半生を再構成して描くフィクション作。伊藤は主人公の猪爪寅子(ともこ)役を演じる。

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