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藤井聡太8冠陥落 叡王戦で伊藤匠七段に屈し初めてタイトル失う 7冠後退「254日天下」

日刊スポーツ / 2024年6月20日 18時33分

大盤解説会に臨み引き揚げる藤井聡太7冠(撮影・江口和貴)

藤井聡太叡王(竜王・名人・王位・王座・棋王・王将・棋聖=21)が初めてタイトルを失った。

20日、甲府市「常磐ホテル」で行われた将棋の第9期叡王戦5番勝負第5局で、同学年の伊藤匠七段(21)に敗れた。午前9時から始まった対局はリードを奪いながら決め手を欠き、午後6時32分、156手で逆転負けした。対戦成績2勝3敗となり、叡王を失った。藤井は7冠に後退。タイトル連続獲得が「22」で止まり、8冠保持は「254日天下」で終わった。

   ◇   ◇   ◇

8冠の牙城が崩れ落ちた。盤を見つめる藤井の顔が青ざめている。何度読んでも伊藤玉に詰みはない。厳しい現実にがっくり肩を落とし、投了を告げた。

注目の大一番で振り駒で先手番を引き当て、エース戦法の角換わりに命運を託した。課題だった終盤、攻めが空転。伊藤の粘りに屈した。「途中までこちらが攻めていく展開でしたが、後手5三銀(98手目)から後手5二銀(100手目)を気づいてなくて、そのあたりから徐々に苦しい感じにしてしまいました。その後の後手7六歩(104手目)から後手8六歩(106手目)からの反撃にもうちょっといい対応があったのかなと思います。終盤でミスが結果に出てしまった。やむを得ない」。負けを受け止めた。

一昨年の秋あたりから、「包囲網」が厳しくなってきた。対戦相手が序盤の早い段階で、前例のない形をぶつけられ、手探り状態で戦いながら一方的に時間を使わされ、リードを許し、土俵を割っていた。

今年2月の朝日杯決勝(持ち時間各40分)がいい例だ。永瀬拓矢九段が矢倉に誘導した。先手の永瀬は序盤からスイスイと指し進め、たった1分しか使ってなかった。対する藤井は早々と39分使い、指し手を1手60秒未満で指さなければならない「1分将棋」の末に完敗した。これらの状況を踏まえて、タイトル失冠について「時間の問題だと思っていました」とあくまで冷静だった。

8冠に復帰するには、現在保持する7冠すべてを防衛し、来期の叡王戦の挑戦者となって伊藤にリベンジするのが条件となる。将棋界の全冠復帰は、故大山康晴十五世名人が5冠(名人・王位・王将・棋聖・十段)のころに3回達成した。1963年(昭38)3月に王将を失って、64年2月に奪還。66年7月に棋聖を失って67年1月に復帰。同年7月に棋聖を失い、70年7月に棋聖を奪い返した。

「今の時点で(復帰は)考えてません。実力をつけるのが大事だと思います。1局1局頑張りたいと思います」(藤井)。

将棋界には有名な言葉がある。「大切なのは負けた後」。元日本将棋連盟会長の故米長邦雄九段が発した。歴代のタイトル獲得経験者もこれを生かしてはい上がってきた。藤井にも、復活のチャンスはまだ数多くある。

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