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フェラーリはいかにして危機を乗り越えたのか 運命のレースまでの数日間描く映画「フェラーリ」

日刊スポーツ / 2024年6月24日 7時0分

(C)2023 MOTO PICTURES, LLC. STX FINANCING, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

「ミッレミリア」と聞けば、芸能人が参加して日本でも開催されているにぎにぎしいクラシックカーレースを思い浮かべる。が、そもそもはアルファ・ロメオやジャガー、ボルシェら名門メーカーが覇を競うイタリアの伝説的な公道レースだった。

映画「フェラーリ」(7月5日公開)は、その最後の大会となった1957年のレースをクライマックスに、圧倒的に強かったフェラーリの創始者エンツォ・フェラーリの数日間にスポットを当てている。

製作も兼ねた「ヒート」(95年)のマイケル・マン監督が当時のレースカーを思いっきりぜいたくに再現。まるでジンベエザメの口のようなフロントグリル。疾走中の爆音は、それだけで胸をざわめかせる。

設立10年、ミッレミリアで7度の勝利に輝くフェラーリのオーナー、エンツォは地元の名士だ。が、裏では公私ともに危機にひんしていた。スピード記録をライバルのマセラティに破られて売り上げが減少。実は破産の危機にあるだけでなく、前年に息子のディーノが病死したことで、共同経営者でもある妻ラウラとの仲は冷えきっていた。

おまけに愛人関係にあるリナとの間には12歳になる婚外子ピエロがいた。今や会社だけが心のよりどころのラウラはピエロがフェラーリ姓を名乗り、後継者となることを認めない。

社運のかかったミッレミリアはそんな状況下でスタートする。

エンツォ役は「スター・ウォーズ」のカイロ・レン役が記憶に新しいアダム・ドライバー。見事な老けっぷりで、豪腕経営者の意外な恐妻家ぶりや、レーサーや従業員との家族のような付き合いにリアリティーがある。改めてこの人の懐の深さを感じる。

妻ラウラを演じるのは、愛人の方が似合いそうなペネルペ・クルス。これが、意外なほどたくましい雰囲気を醸し、振幅の大きな愛憎表現でドラマ部分の主役になっている。

レーサー陣にもガブリエル・レオーネ、ジャック・オコンネルら個性派がそろった。それぞれ型にはまらないざわめき感が、当時のレースの舞台裏はきっとこうだっただろうと思わせる。

そして、この作品の最大の見どころと言っていいのだろう。強烈なクラッシュで、公道から高速で舞い上がるレースカーの惰性軌道。それを追うカメラに目を奪われる。あっけにとられる。

エンツォは、名門フェラーリは、いったいどうやって危機を乗り切ったのか。全編にその謎かけがまたがり、最後まで飽きさせない。【相原斎】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画な生活」)

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