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能登半島地震から半年 「哀れやわぁ」震えた声の女性を見送ることしかできなかった後悔

日刊スポーツ / 2024年7月2日 5時0分

輪島市街地で民宿「寅さん」を営む寅松征子さん。背後には焼け野原と化した輪島朝市が見える(撮影・平山連)

能登半島地震は1日で発生から半年となった。

地震による死者は災害関連死を含め、計299人となる見通し。石川県の被災地では全半壊となった住宅などを自治体が解体する「公費解体」の完了数が4%にとどまることが県のまとめで判明。被災地ではインフラ復旧の遅れが深刻で、能登半島からの人口流出も加速。復興に向かう体制整備が急務だ。穴水町を平山連記者が取材。住民のいらだちと先行き不安が浮かび上がってきた。

   ◇   ◇   ◇

能登半島地震から半年を前に、2泊3日の日程で現地を訪れた。

その時、耳にした石川・穴水町のショッピングセンターでの地元住民の会話が印象に残っている。常連客とおぼしき初老の女性が「店を閉めることになってね…。これで仮設(住宅)に入ることになったの。本当に哀れやわぁ~」と声を震わせて話すと、話を聞いていた店員が「哀れなんかじゃないよ! 気は確かにね」と語気を強めて励ましていた。

そのやりとりが東京へ戻ってしばらくたっても頭から離れない。当時は何と言葉をかけてよいか分からず、女性の寂しそうな背中を見送るしかなかったが、今も少し後悔している。

自宅が倒壊し、仮設住宅で暮らす70代の男性を訪ねると、空いた酒缶が昼過ぎだったがすでに3、4本、机に並んでいた。「地震前より酒を飲むのが増えたね」と打ち明けられた。足の悪い妻は施設に入っており、現在は1人暮らし。自暴自棄もあるのだろうか。「いつまでここで暮らせばいいのか分からない。それが悩みだよ」と吐き出すように言った。

被災地で進み始めた復旧作業と同時に、地元で暮らす人々の心のケアが欠かせないと感じた。現地に行くまではあまり現実味がなく、考えることすら乏しかった。百聞は一見にしかず。能登の現状を目の当たりにして、被害の大きさを痛感させられた。【平山連】

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