【王位戦】藤井聡太王位 AI勝率1%からの大逆転 「結果は幸いしたが、内容は反省」
日刊スポーツ / 2024年7月7日 21時57分
藤井聡太王位(竜王・名人・王座・棋王・王将・棋聖=21)に渡辺明九段(40)が挑む将棋の伊藤園お~いお茶杯第65期王位戦7番勝負第1局が6、7の両日、名古屋市の「徳川園」で行われ、千日手による指し直しの末、後手の藤井が136手で先勝した。王位5連覇と「永世王位」の資格獲得(連続5期または通算10期)へ好スタートを切り、「永世棋聖」に続き、“ダブル永世”を狙う。第2局は17日に北海道函館市「湯元 啄木亭」で行われる。
藤井が波乱の開幕戦を制した。最終盤に人工知能(AI)の評価値で勝率1%からの大逆転。終局後、藤井は「結果は幸いしたが、内容は反省するところが多い」と紙一重の勝利を振り返った。
激闘だった。2日目午後3時44分に同一局面が4回となり千日手が成立。「1局目」は「作戦家」の異名を持つ渡辺の千日手への誘導を拒んだが、打開するスキを見つけることができなかった。
長考を繰り返したことで、時間は削られ、指し直し局では、藤井の持ち時間は1時間、渡辺は2時間20分。相手が2倍以上の残り時間がある圧倒的に不利な“ハンディ戦”に追い込まれた。
藤井のタイトル戦での千日手は過去3回あるが、棋聖戦などいずれも1日制5番勝負で、2日制7番勝負では初めてだった。
指し直し局の戦型は相掛かり。先手が主導権を握りやすく、先手となった渡辺の研究手だったか。1つのミスが負けにつながるギリギリの“死闘”を繰り広げた。
「早い段階で苦しくなってしまった」。終盤まで時間をコントロールしながら最後まで粘り強く指したが、一時、AIの評価値は渡辺の勝率99%、藤井の勝率は1%。藤井は背中を丸め、うなだれる姿を見せた。両者とも1分将棋に突入し、奇跡の大逆転が起こった。
2人は過去に5回タイトル戦でぶつかったが、いずれも藤井が制している。タイトル戦では昨年の名人戦7番勝負以来、約1年ぶりの対戦だった。これで対戦成績は藤井の21勝4敗。“魔王”と呼ばれる渡辺の巧みな戦術を駆使し、ミスを引き出す「時間攻め」にも屈しなかった。自身2つ目の「永世」称号へ、大きな白星をつかんだ。【松浦隆司】
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