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石丸伸二氏の「軍師」が振り返る東京都知事選 気になる「石丸新党」には「頭の中は妄想だらけ」

日刊スポーツ / 2024年7月8日 5時0分

東京都知事選で石丸伸二氏の「軍師」を務めた選挙プランナー藤川晋之助氏(2024年7月撮影)

本筋の選挙戦より、過去最多の56人の立候補や、一部政治団体のポスター掲示板ジャック、肌を露出する候補者も出現した政見放送など場外戦の方が混乱した「七夕決戦」の東京都知事選。7日の投開票で、現職小池百合子知事(71)が55人を引き離し、3度目の勝利を果たした。

過去に現職知事が都知事選で負けたことはないが、今回は蓮舫前参院議員や「バズる」と話題の前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏ら有力候補が参戦。当初戦況は混沌(こんとん)としていたが、やはり現職は強かったという結果で、17日間の選挙戦は幕を閉じた。

一方、今回の選挙戦で、票数とは別の視点、話題性で「圧勝」したのが、石丸氏だった。安芸高田市長時代の「恥を知れ、恥を」など歯に衣(きぬ)着せぬ発言がSNSで拡散され注目を集めた人物だが、「石丸劇場」とも呼ばれた街頭演説には、全国から支持者が集結。永田町関係者は「都知事選という勝負には負けたが、政治全般という意味では、強烈な印象が刻まれたのではないか」と話す。

そんな石丸氏の選挙を仕切ったのは、昭和の時代から各種選挙に関与し、今回が144回目の選挙となる選挙プランナーの藤川晋之助さんだ。23歳に代議士秘書になったのを皮切りに自らも大阪市議を務めたほか、国会議員の政策担当秘書なども歴任。現在は自身の名前を冠した選挙戦略研究所を立ち上げ、選挙に立候補する全国の候補者のために奔走している。

今回、藤川さんが石丸氏を手がけるきっかけになったのは、後援会長に就任したドトールコーヒー創業者の鳥羽博道氏(86)からの依頼だった。「頼まれる前は『どうかな?』と思ったが、話しているうちに、我々のような古い感覚とは違うセンスや直感、頭の良さを感じた」と振り返る。「そこを生かせば、将棋における藤井、野球における大谷のように、政治における石丸、というふうになれる素質があると。計り知れないものを感じた」そうだ。「選挙の神様」と呼ばれる藤川氏も次第に、石丸氏の選挙にのめり込むようになった。

石丸氏は細かい政策を訴えるよりも「大事なのは根本」が持論。政策への言及を勧める「軍師」らの助言にも、持論を曲げないことはたびたびだった。

それでも藤川さんは「根本に手をつけないできたから(日本政治は)ここまで来たというのが、彼のポリシー。また『約束できないことを約束するのはおかしい、私は、口にしたことは全部実行したい』と。頑固ですよ。頑固ゆえに損をしているところもあるが、そこが彼らしさ。既成政治への挑戦というか、日本的だけのものだけではない判断ができる」と評する。

石丸氏が6月15日に初めて渋谷で開いた街頭演説以降、さまざまな街頭演説を取材し、YouTube配信なども見てきたが、石丸氏の選挙の特徴は、目の前にいる聴衆を「仲間」と呼ぶなど、選挙を自分ごとととらえてもらい、どんどん巻き込んでいくスタイルだ。れいわ新選組の山本太郎代表や、小池知事のかつての「小池劇場」にも通じるやり方。頻繁に更新するSNS発信に加え、1日20カ所近くになったこともあるリアルの街頭演説をリンクさせることでさらに関心を高め、最終日は5000人規模が石丸氏の話を聞きに来ていた。

そんな石丸氏の発信力に期待して、与党にも野党にも期待が持てない永田町の現状を踏まえ、「石丸新党」に期待する声があると耳にした。石丸氏は新党結成については否定的な考えを示しているが、7日の記者会見では国政出馬に含みを残した。

軍師でもある藤川さんは新党構想について「ぼくらみたいな選挙師は、頭の中では妄想はふくらみますよ」と、思わせぶりに話す。「国政に出ようとか(意思があっても)ギリギリまで結論は出さないと思うが、きちんとその手を使っていけば、ムーブメントが起きると思う。僕の頭の中では、妄想だらけ(笑い)。日本の政治にとってこんなチャンスはない。台風の目になりますよ」と語った。

2013年の「ネット選挙」解禁から10年あまりが経過する中、注目の都知事選でSNS政治の申し子のような石丸氏が登場し、支持を広げた意味についても、藤川さんは語った。「私のことを『選挙の神様』と言ってくださる方もいるが、今回はまさに『石丸ミラクル』だ。(SNSという)ニューメディアを中心に地盤をつくり、それが爆発した。ちょっと生意気ではありますが、それくらいじゃないと、高杉晋作のようにはなれない。頑張ってもらわないとね」。

そう話す藤川さんは「144回目で、こんなに楽しい選挙は初めて。これを経験できたのは冥利(みょうり)に尽きるし、満足感がある」と、選挙戦を総括した。現職の壁は突破できなかったが、壁に足跡は残した。石丸氏の動向にはこれからも関心が注がれるだろうし、それを支える軍師・藤川さんの動きにも注目していきたい。【中山知子】

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