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月面着陸の裏に何があったのか 虚実織り交ぜたエンタメ大作「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」

日刊スポーツ / 2024年7月15日 7時0分

「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」の1場面

70年の大阪万博に出掛けたのは中学2年の夏休みで、アメリカ館の月の石、そして月着陸船の実物をまぶしく見上げたことを覚えている。

「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」(19日公開)は、宇宙時代への偉大な幕開けを真っすぐに信じられた、そんな時代を思い出させる。

ケネディ大統領が60年代中に月面着陸を成功させると宣言してから8年。その最後の年となった69年のフロリダ、ケネディ宇宙センターが舞台だ。

広大な敷地には、劇中で「自由の女神を四つ重ねた高さ」と説明されるロケット組み立て用の建造物がそびえ立つ。底抜けの青空、日暮れや明け方の荘厳な描写に目を奪われる。

発射責任者のコール(チャニング・テイタム)は元海軍パイロットの実直な男。月面着陸を目指すアポロ11号の打ち上げに向け、突貫作業に追われている。一方で、ベトナム戦争が泥沼化する中で、世論は失敗続きで予算が膨らむばかりのNASAに懐疑的だった。

そんな窮状に当時のニクソン政権が送り込んだのがPRのプロ、ケリー(スカーレット・ヨハンソン)だ。

誇大どころかウソも交えながらアポロ計画のPRを繰り広げるケリーとコールは当然のように対立するが、実は同じ目的に突き進む同志としてしだいに引かれ合っていく。

そんな時、ニクソンの汚れ仕事を引き受けている政権幹部のモー(ウディ・ハレルソン)がケリーに新たなミッションを与える。コール以下NASAのスタッフには内緒で、失敗に備えた「月面着陸のフェイク映像」を製作することだ。

さまざまな思惑が交錯する中で打ち上げの日が迫ってくる。

月面着陸の史実を圧倒するような映像と一線級のキャストで描きながら、よく知られた「陰謀説」と誰もが抱くニクソン政権の怪しさをまぶしたフィクションを織り交ぜたところにこの作品のミソがある。

ヨハンソンとテイタムは硬軟自在な演技でリアルとフェイクの接ぎ目を感じさせない。複雑なストーリーも滑らかに進行し、くせ者ハレルソンをアクセントにユーモアとスリルを素直に楽しめた。ヨハンソンは製作にも名を連ねていて、黒猫を使った「小ワザ」など、調所に彼女らしいアイデアがちりばめられているような気がした。

巨大な講堂のような管制室で当時の最新機器に向かうおびただしい数のスタッフ。「アポロ11号で使われたコンピューターは今ならスマホ1個分」という隔年の思いを新たにする。

月面着陸の5年前に亡くなったサム・クックの名曲がフィーチャーされていて、2人の恋の行方とともにジンとさせられた。【相原斎】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画な生活」)

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