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為末大氏、飲酒喫煙宮田笙子に「問題にフォーカスするより可能性信じ」1800文字長文エール

日刊スポーツ / 2024年7月20日 20時41分

為末大氏(2021年3月撮影)

陸上元オリンピック(五輪)代表選手でスポーツコメンテーターの為末大氏(46)が20日、X(旧ツイッター)を更新。体操女子のパリ五輪日本代表で主将に選ばれていたエース宮田笙子(19=順大)が発覚した飲酒喫煙により出場辞退したことについて言及した。

「体操選手が飲酒喫煙が発覚し、五輪を辞退することになっています。自らの辞任なのか、要請され辞任の形を取ったのかどちらかわかりませんが、選手の心境を考えるととても辛いと思います。どうか、協会としても出場できる道を探って欲しいです」と書き出し、約1780文字の長文を公開した。

20歳未満の選手が問題を起こした際の対応法を3つの観点「ルールの運用は機械的でない方がいい」「十代の脳は大人とは違うという点」「個人的な体験から人は変われると信じている」でつづった。

3点目の「個人的な体験から人は変われると信じている」については、自身の体験を明かした。「私は大学時代にスランプになったストレスから、金髪ピアスにしたり、(当時は珍しかった!)、素行も悪く、陸上界の爪弾きものでした」と告白した上で、当時日本代表の短距離部長であった高野進さんの言葉に救われたという。「何言ってるの。あいつがあそこで終わるわけないでしょ」との言葉を知らされ、「私はその日、部屋で号泣しました。このまま終わっていいのかと。今も立派な大人ではなりませんが、そこで私は変わったと思います」とつづった。

そして「私は十代で馬鹿げたことをたくさんしました。けれども周りの大人が支えてくれ、変われたと思います。十代は不安定です。馬鹿げたこともするし、先も見えていない。でも、大人は皆十代の時期を過ごしてきました。子供たちの問題にフォーカスするより、可能性を信じる社会の方が私は良いと思っています」と訴えた。

▼為末大氏の投稿全文

体操選手が飲酒喫煙が発覚し、五輪を辞退することになっています。自らの辞任なのか、要請され辞任の形を取ったのかどちらかわかりませんが、選手の心境を考えるととても辛いと思います。どうか、協会としても出場できる道を探って欲しいです。

私は三つの観点から、これを機に、十代の子供たちが問題を起こした時に、叱りながら、愛を持って支える社会を作っていくべきだと思っています。

一つ目はルールの運用は機械的でない方がいい、点です。

車に乗ったことがある日本人であれば知っている通り、高速道路でのスピード違反は常態化しています。首都高速が見える位置でスピードガンを構えていると、ほとんど全てと言っていいぐらいの車が速度超過をしています。けれども全ての車が捕まるわけではありません。どこから見てもルール違反ですが、それはなんとなく見過ごされています。

もちろん厳密に運用することもできます。十年ほど前上海に行った時、車がとても静かで驚きました。なぜかと聞くと顔と車のナンバーを常に監視カメラで抑えているので、どのような違反も見つけられるからだそうです。

ルールを厳密に運用する社会は、全ての行為を監視し、機械的に処分することになるだろうと思っています。技術的にはすでに可能です。

また仮に監視カメラがなくても、相互監視も可能です。常に自分のカメラもマイクもオンにしておき、ルール違反行為があれば、そのデータをしかるべきタイミングで外部に出すこともできます。

インテリジェンスの技術には、自ら恥を打ち明けることで、相手にも恥を打ち掛けさせ、その情報をもとに強請るというものがあるそうです。

二つ目は、十代の脳は大人とは違うという点です。

フランシスジェンセンによって書かれた「10代の脳」という本があります。10代は馬鹿げたことをします。それは、感情を司る大脳辺縁系の急速な発達に、判断と制御を司る皮質の発達が追いつかず、そのアンバランスさが特有の問題行動を引き起こしているからです。

この本を読めば10代がいかに大人と違い危うげか、リスクを好み、適切な判断ができないか。情緒不安定か。がよくわかります。全てがアンバランスさのせいだとは言いませんが、明らかに優位差があります。大人のミニチュアが十代ではありません。

言い換えれば十代は失敗をし、学ぶ世代です。何度も失敗するのであれば、問題かもしれませんが、たった一度の失敗で、学校を辞めさせられたり、夢を諦めたり、試合に出られなくしてもいいのでしょうか。私は学ぶ機会にできるように大人が促すべきだと思っています。

三つ目に、個人的な体験から人は変われると信じているからです。

私は大学時代にスランプになったストレスから、金髪ピアスにしたり、(当時は珍しかった!)、素行も悪く、陸上界の爪弾きものでした。もう為末は終わったなと、あちこちでよく聞きました。自分で振り返っても、当時はやさぐれていたと思います。

そんな時に、ある会見でメディアの方が当時日本代表の短距離部長であった高野進さんに為末の可能性について質問しました。もう彼は厳しいんですかね、と。

その時に高野進さんは「何言ってるの。あいつがあそこで終わるわけないでしょ」と即座に答えました。それはメディアに言ったのか、メディアを通じて私に言ったのかはわかりません。

そのコメント自体は記事にはなりませんでしたが、メディアの方がこっそりそれを教えてくれました。

私はその日、部屋で号泣しました。このまま終わっていいのかと。今も立派な大人ではなりませんが、そこで私は変わったと思います。

一人でも信じてくれる大人がいれば子供たちは変われると思います。

米国の子供達の現状を描いた「Our Kids」という本があります。以前のアメリカでは子供はみな私たちの子供だった。だから子供たちのことを誰かが心配していたと。しかし今ではどこかの家の子供であって私たちの子供ではなくなってしまったと書かれています。それが格差を生み、そして分断の火種となっています。

私は十代で馬鹿げたことをたくさんしました。けれども周りの大人が支えてくれ、変われたと思います。十代は不安定です。馬鹿げたこともするし、先も見えていない。でも、大人は皆十代の時期を過ごしてきました。

子供たちの問題にフォーカスするより、可能性を信じる社会の方が私は良いと思っています。

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