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三谷幸喜は“約束”を守った「30年後に会いましょう」東京サンシャインボーイズ復活

日刊スポーツ / 2024年8月1日 8時44分

「東京サンシャインボーイズ」の復活公演「蒙古が襲来」

<情報最前線:エンタメ 舞台>

結成から12年目の1994年(平6)から30年の充電期間に入っていた脚本家で演出家の三谷幸喜(63)率いる「東京サンシャインボーイズ」が、来年2月に東京・渋谷のPARCO劇場で復活公演「蒙古が襲来」を行う。くしくも今年は、日本の新劇運動の原点とされる築地小劇場が1924年(大13)に開場して100周年。その流れをくむ劇団も節目の年で、俳優座が創立80周年、青年座が70周年、青年劇場が60周年を迎える。小劇場ブームの中で誕生した東京サンシャインボーイズの独自な活動の振り返りとこのほど行われた会見の紹介とともに、築地小劇場の歴史もちょっと回顧します。(文中敬称略)【林尚之】

    ◇    ◇    ◇

■一番売れている時に…

東京サンシャインボーイズは小劇場ブームの真っただ中の83年に結成された。当時は76年結成の野田秀樹率いる「夢の遊眠社」、78年結成の渡辺えり主宰の「3〇〇」、81年結成の鴻上尚史率いる「第三舞台」などが多くの観客を集めて、人気を誇った。

「3歳児から瀕死(ひんし)の老人まで楽しめる芝居」をモットーにした東京サンシャインボーイズは、無国籍風のミュージカルタッチの作品や人々の哀愁をユニークな状況設定で描くコメディーなどを上演したものの、結成から5年ほどは観客動員が500人前後と低迷。あまり注目されることもなく、上演時間3時間の大作が不評だったため、一時活動停止に追い込まれたこともあった。

■群像コメディーに変更

しかし、90年に入って路線を変更。「彦馬がゆく」「12人の優しい日本人」「ショウ・マスト・ゴー・オン」「ラヂオの時間」など、のっぴきならない状況に陥ってもくじけずにひたむきに生きる人々の姿を軽やかに描く群像コメディーを次々と上演し、「チケットの取りにくい劇団」といわれるようになった。92年に観客動員も1万人を超えたが、94年に突然、活動休止を発表。観客動員2万人を超えた「東京サンシャインボーイズの『罠』」公演を最後に「30年の充電期間に入る」としたが、事実上の解散だった。三谷によると「一番売れている時に解散して、みんな別の事務所に入って頑張ってもらおう」と数々の事務所に売り込みをかけ、それぞれが活躍できるようにお膳立てをしたという。

30年の充電期間を経ての復活公演について三谷は「『30年後に会いましょう』と別れたけれど、30年が近づいてくるにしたがって嫌だな、本当にやるのかという思いがあった。でも、役者のみんなと当時のスタッフの『やろうよ』という声を聞いて、僕はこの人たちに育てられたという思いが強いので、『勘弁してくれ』という選択肢はなかった」と明かす。

このほど行われた会見には相島一之、阿南健治、小原雅人、梶原善、甲本雅裕、小林隆、近藤芳正、谷川清美、西田薫、西村まさ彦、野仲イサオ、宮地雅子ら当時のメンバーに、三谷ファンだった吉田羊が劇団研究生として登壇した。三谷も「こんな日が本当に来るとは思わなかった」と感慨深げだった。

■次の公演は2105年

30年前の最後の公演時のチラシでは復活公演の演目は「リア玉」の予定だったが、「蒙古が襲来」に変更となった。「鎌倉時代、蒙古がやってくるその日の朝、何も知らない九州の漁村が舞台です。そこで繰り広げられるアットホームなコメディーになります。それ以上は考えていないけれど、なんとなく傑作になる予感がしています」。

80年代に活動を始めた若手劇団のほとんどが解散している。今も健在なのは、80年結成の古田新太も所属する「劇団☆新感線」、82年結成の横内謙介率いる「劇団扉座(旧善人会議)」、88年結成の松尾スズキの「大人計画」、87年結成のテント公演も行う「新宿梁山泊」など数少ない。東京サンシャインボーイズも復活公演を行うものの、三谷によると、東京公演に続く5月までの全国公演後は「再び充電期間に入ります。次は80年の充電です。次の公演は2105年になります」という。

<日本の劇団歴史>

日本の新劇は1924年に建設された築地小劇場が始まりといわれる。関東大震災後、欧州で演劇を学んだ華族出身の演出家土方与志、小山内薫らによって東京・築地に誕生した新劇の常設劇場で、付属の劇団もあった。シェークスピア、チェーホフ、イプセンの海外戯曲から創作まで毎月のように公演が行われた。そこには後の新劇界を代表する演出家千田是也、俳優の杉村春子、滝沢修らが若手として所属した。

28年に小山内が亡くなると、劇団は分裂し、さまざまな劇団が誕生した。37年には杉村が参加した文学座が創立され、国内で最も歴史のある劇団に。終戦の前年44年には千田を中心に俳優座が結成され、50年に滝沢を中心に劇団民藝が結成された。いずれも築地小劇場の流れをくんでおり、新劇運動の中核的な存在だった。その後も築地小劇場出身の演劇人たちによって多くの劇団が結成された。

◆創立80周年の俳優座 築地小劇場創立に参加した青山杉作、千田是也、東山千栄子に東野英治郎、小沢栄太郎ら10人の同人をもって44年に結成された。自前の俳優座劇場、付属の俳優養成所を設け、仲代達矢、平幹二朗、市原悦子、田中邦衛、加藤剛、栗原小巻らが活躍した。80周年記念公演は2023年から25年にかけて3年間も行われており、9月にはブレヒト作「セチュアンの善人」、11月にシェークスピア原作、東憲司の翻案・演出で劇団代表の岩崎加根子が主演する「リアの慟哭」を予定している。

◆創立70周年の青年座 俳優座の準劇団員だった若手の10人が54年に「創作劇をやっていく劇団」として旗揚げした。ドラマではお母さん女優として親しまれた山岡久乃も創立メンバーの1人だった。水上勉、宮本研、矢代静一らの創作劇を上演し、西田敏行は03年に退団するまで中心的な俳優として活躍した。今は高畑淳子がその役割を担っている。70周年記念公演は、8月4日から「伝承~朗読劇二題」として、「RAA-進駐軍特殊慰安所」、津嘉山正種のひとり語り「命口説」を渋谷区文化総合センター大和田・伝承ホールで上演する。9月には別役実作「諸国を遍歴する二人の騎士の物語」が山路和弘、山本龍二の主演によって吉祥寺シアターで上演される。

◆創立60周年の青年劇場 築地小劇場の生みの親である土方与志、秋田雨雀が戦後に育成した俳優、演出家8人を中心に64年に結成された。正式な劇団名は「秋田雨雀・土方与志記念青年劇場」。上演作品のほとんどは日本の社会問題をリアルに描いた作品で、喜劇が多いという点に特徴がある。60周年記念公演として、9月には古川健作、鵜山仁演出の「失敗の研究-ノモンハン1939」を新宿の紀伊国屋サザンシアタ-で上演する。

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