1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 芸能総合

「スラムドッグ$ミリオネア」のデブ・パテルが自ら演出した凄まじい暴力の衝動「モンキーマン」

日刊スポーツ / 2024年8月12日 7時0分

(C)Universal Studios. All Rights Reserved.

ひとごととして気楽に観(み)られる多くのアクション映画とは違い、まれに心の奥の暴力的衝動をジリジリと刺激される映画がある。

拳の痛みが伝わってきた「ファイト・クラブ」(99年)やトンカチの重さがズンと伝わった「オールド・ボーイ」が思い浮かぶ。

23日公開の「モンキーマン」で久々に同じような感覚を味わった。

「スラムドッグ$ミリオネア」(08年)のデブ・パテルが構想8年の末に初監督を務めた壮大な復讐(ふくしゅう)劇である。端正な顔立ちからは想像しにくい、すさまじい執念と容赦のない暴力をスクリーンに焼き付けている。

舞台はインドの架空都市。幼少時、権勢をふるう宗教団体に母を殺されたキッド(パテル)は、マスクをかぶってモンキーマンと名乗り、毎夜開催されるストリートファイトの殴られ屋として生計を立てている。

裏社会に接触しながら、復讐(ふくしゅう)の機会をうかがう彼は、ある日宗教団体本部への潜入方法を手に入れる。あまりにも強大な敵。不可能にも思える復讐に向けて、彼が秘めてきた恐ろしいほどの熱量が爆発して…。

インド神話の神猿ハマヌーンは、「西遊記」の孫悟空のモデルにもなったと言われ、今も民間信仰の「人気の神様」だという。自身のルーツのそんな空気を作品全体に漂わせ、パテルはモンキーマンことキットの神懸かったパワーに宗教的な裏打ちをする。

きらびやかな宮殿と壁一つ隔てた外側の荒廃-そんなインドの表裏を行き来しながら、キッドはすさまじい暴力で強大な敵への道をを切り開いていく。

よくあるキッチンでの格闘シーンも鈍い音が印象的でひと味もふた味も違う。とにかくアクションが濃い。「ジョン・ウィック」の製作チームが担当したそうだが、随所に本気ぶりがのぞく。パテルもほえる。怒りに震える。ちゅうちょのない殺意が怖い。

マーベル・コミックのように洗練されていない分、キットの傷の痛みや血なまぐさい描写がヒリヒリと伝わってきた。

プロデュースは「ゲット・アウト」のジョーダン・ピール。濃密な空気のまま進行する2時間1分。終映後に思わずため息が出る。【相原斎】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画な生活」)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください