「南海トラフ地震」注意情報発表「トラフ」とは…プレートはねあがる構造 歴史的に繰り返し発生
日刊スポーツ / 2024年8月8日 20時27分
気象庁は8日、宮崎県南部で震度6弱を観測した地震を受け、「南海トラフ」の周辺で「巨大地震の発生可能性が平常時に比べて相対的に高まっている」として、「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を出して注意を呼びかけた。
気象庁は「南海トラフ地震の想定震源域では、新たな大規模地震の発生可能性が平常時と比べて相対的に高まっていると考えられます」とし、「今後、もし大規模地震が発生すると、強い揺れや高い津波を生じると考えられます」と告知。「特定の期間中に大規模地震が必ず発生するということをお知らせするものではありません」としながらも、注意を呼びかけている。
想定される震度分布では、東海、近畿、四国、九州が大きく被災する可能性が例示されているほか、中国、関東地方、北陸地方、福島の一部に地震が及ぶ可能性も指摘されている。
気象庁ホームページなどによると、「南海トラフ」は、駿河湾から遠州灘、熊野灘、紀伊半島の南側の海域及び土佐湾を経て、日向灘沖までのフィリピン海プレート及びユーラシアプレートが接する海底の溝状の地形を形成する区域を指す。
南海トラフでは、日本列島の陸側にあるプレート(ユーラシアプレート)の下に、海側のプレート(フィリピン海プレート)が、年間数センチ、沈み込んでいる。その際、陸側のプレートも引きずり込まれることで「ひずみ」が起き、その引きずり込みに耐えられなくなってプレートが跳ね上がると「南海トラフ地震」が発生するとされている。この動きは繰り返されているため、歴史的に複数回、南海トラフ地震が発生している。
発生の過程には幅があり、宝永地震(1707年)は駿河湾から四国沖の広い領域で同時に地震が発生。1854年に起きた安政東海地震の際には、その32時間後に安政南海地震が発生したが、1944年の昭和東南海地震の場合は、2年後の1946年に昭和南海地震が発生した。
文部科学省にある地震調査研究推進本部事務局によると、トラフとは海溝よりは浅くて幅の広い、比較的緩やかな斜面をもつ海底の凹地。日本周辺には南海トラフの他、駿河トラフ、相模トラフ、マリアナトラフ、沖縄トラフなどがあるが、性質や地震の危険性などはそれぞれ異なる。
これまでおおむね100~150年間隔で繰り返し発生しており、前回の南海トラフ地震(1944年、1946年)が発生してから80年近くが経過していることから、地震発生の切迫性が高まってきている。
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