【王座戦】永瀬拓矢九段「藤井さんに勝たないとタイトルは獲得できないという認識」／一問一答

昨年タイトルを奪われたリベンジを目指す永瀬拓矢九段（日本将棋連盟提供）

藤井聡太王座（竜王・名人・王位・棋王・王将・棋聖＝22）が初防衛を目指して永瀬拓矢九段（31）の挑戦を受ける、将棋の第72期王座戦5番勝負第1局が4日、神奈川県秦野市「元湯陣屋」で行われる。対局前日の3日、両対局者は検分を追えた後、記者会見に応じた。永瀬の一問一答は以下の通り。

－1年ぶり王座戦を明日に迎えるという率直な感想は

永瀬　始まってみないとわからないので。1局目が例年通り、陣屋様での開催ということで、私としては一番来ている場所ということで安心感があると思います。

－挑戦権獲得から準備してきたこことは

永瀬　挑戦が決まってから藤井王座との対局をどんな時も考えることが多かったという気がしています。

－1年間、精神的な課題があったとおっしゃってましたが、今の状況は

永瀬　精神的なところは技術面に対して関係性がないと思っていたんですけど、精神的なところを向上させてみると全体的な能力が上がっている気がするので、やはりおろそかにしてはいけないと思うのと、精神的にはこの1年で考える材料、考えることが増えました。精神的な状態としては悪くないと思います。

－「前期は悔いの残るシリーズだった」とおっしゃっていましたが、それを踏まえて今期の抱負を

永瀬　前期は技術面のみで勝負していた印象でした。そこで足りてない部分を藤井王座との対局で体感しました。そこを1年間向き合ってきたので明日からの5番勝負がどうなるかなと思っています。

－精神面というのは？

永瀬　考え方として「自分と向き合う」という部分。私は取り入れていなかったのですけど、藤井王座は取り入れています。私としても能力として向上した部分があると思います。藤井王座とご一緒させていただく時間は長いので、背中を見て、お姿を見て、姿勢を見て、自分なりにそしゃくして、あくまで推察の部分は大きいんですけど、自分に合った方法を取り入れたいと思います。

－今回で13回目のタイトル戦。これまでとの意気込みの違い、意味づけていることはありますか

永瀬　10回以上タイトル戦に出場し、藤井王座とのタイトル戦は3度目。今はゼロからスタートするという気持ちでいます。意気込みとしましては、藤井さんにタイトル戦で勝たないと、タイトルは獲得できないという認識ではいます。

－今回はとりわけ勝ちたいという気持ちが強い？

永瀬　そう思っていたのが去年の私。それが精神的な未熟さだと思いました。「本番は練習のように、練習は本番のように」という基本的な考え方が去年の私には足りていなかったように感じました。まず、力が入ってしまっていたりとか、普段の力が出し切れないと過去の自分に申し訳ないというか、普段、勉強している自分に申し訳ないとなってしまう。普段通り、いつも一生懸命やっているという基本的なことが足りていなかったと思います。基本的ではあるんですけど、「本番は練習のように、練習は本番のように」を心がけています。去年の私ですと、なかなかできていなかった気がするので、それを私から見て精神的に向上した部分で、今は少し補えていると思います。

－挑戦権獲得から1カ月と少し。重点的に取り組まれてきたことがあれば

永瀬　藤井王座との対局を重点的に対策したことになりますし、精神的な部分として1つの部分だけではなく、いろんなアプローチをしました。自分としては想像以上に頑丈になれた部分があると思う。人間と人間が戦う上で大切な部分であると思います。未熟であると必要以上に焦ってしまったりということがあると思うので。負荷をかけすぎないというか、普段の自分のパフォーマンスを発揮することが、練習を裏切らないことになると思います。

－今年2月の朝日杯決勝で勝って以来の対局ですが、勝ったイメージで臨みますか、それともまったくフラットで

永瀬　フラットです。2月に勝つことができたんですけど、今は9月で月日がたってしまっていますので、私としてはそこは強く意識せずに、まずは自分の力を出し切りたいです。その間、藤井王座にはVS（練習将棋）で何局も教えていただいていますので、私の中では朝日杯で戦った藤井さんより印象としてはアップグレードされていると思います。

－改めて明日からの抱負を

永瀬　1年たつのはあっという間だなというのがあります。私としては結構、記憶がない時間があるんですけど。明日からの王座戦で一生懸命戦うことで、止まった時間ではないですけど、自分を前に進めるために一生懸命向き合って、一生懸命取り組んで、一生懸命戦いたいと思っています。