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“水中性活”3年ぶり「性いっぱい展」復活、かなり踏み込んだ水族館の夜の特別展

日刊スポーツ / 2024年9月7日 8時58分

巨大水槽に大量のクラゲが漂う人気エリア「海月空感)」の照明もピンク一色に(サンシャイン水族館提供)

<情報最前線:ニュースの街から>

子どもたちの長い夏休みは終わった。次は大人が楽しむ時間ということらしい。東京・池袋「サンシャイン水族館」の夜間特別展「性いっぱい展」が6日、3年ぶりに復活した。海の生きものたちの「性活」にスポットを当てた、水族館としてはかなり踏み込んだ企画。だが水面(みなも)がピンク色に揺らめくあやしげな空間には、飼育スタッフたちの熱い思いが込められていた。

   ◇   ◇   ◇   

★「性地」で伝説企画

伝説の企画が「性地」池袋に帰ってきた。19年の第1回以来、21年までの3回開催で延べ9万人が来館。今回は「コロナ禍が落ち着いた今だからできる」新たな展示も引っ提げ6日午後6時15分に開幕した。水族館スタッフの岩渕智也さん(27)は「前回は難しかった『実際に触れる』コンテンツも増えました。生きものの多様性、そして性の神秘を、楽しみながら感じていただければ」と自信をみせる。

午後6時までの“健全”営業終了から15分後、館内は打って変わって一気にあやしいムードを醸し出す。同館目玉コーナーの1つ、左右14メートルの巨大水槽「海月(くらげ)空間」も一面ピンクの照明に。それぞれの生きものには通常展示の解説とは別に、性に焦点を当てたイラスト付きパネルも設置。水の世界の、知られざる“性態”を視覚的に感じることができる。

体験型コンテンツもパワーアップした。触るまで中身は秘密の「おさわりBOX」、ある生きもののおっぱいの感触を体験できる「もみもみBOX」、障子の隙間から交尾の映像を観察できる「のぞき部屋」…。あえて人間的なエロ方面に寄せたネーミングはともあれ、大人が楽しみ学べる空間を目指したからこそ実現した企画。BOXや映像の内容は、来てのお楽しみという。

一方で、子供連れも歓迎だ。「過去の開催では親子で性を語るいいきっかけになった、との声もいただきました」(広報担当)。カワウソやペンギンなどを担当し、日常的に「交尾を目撃している」という飼育スタッフ渡辺果南(かな)さん(37)は「生きものにとって生殖行動はもちろん恥ずかしいことではなく、種を後に残していくための戦略であり知恵であり、大切な行動。そしてまだ未知の部分が多い分野でもある。多くの人に知って、興味を持ってもらうことで今後の研究が進んでいくことにも期待したいですね」。

メスに挿入できる状態を保つための「陰茎骨」を持つカワウソ、一度ペアになったら一生添い遂げるケープペンギン、ほとんどが性器を持たない鳥類の中で生え替わる陰茎を手に入れたカモなど、すとんと頭に入ってくるのはここまで性に振り切った「特別展示」をうたっているからか。来場者も、それなりの覚悟を持ってやってくる。

★熱い思いビンビン

「性いっぱい」のタイトルは「精いっぱい」から。水族館という限られた空間の中でも、精いっぱい、命を懸けて子孫をつないでいく海洋生物たちの生態を描き出したい。「性いっぱい展」の展示からは、そんな飼育スタッフたちの熱い思いがビンビンと伝わってきた。【石井康夫】

▼オリジナルコンドーム SNSで話題に

館内の売店では、21年に続きオリジナルイラスト入りコンドームも発売する。前回もSNSなどで話題となり、お土産などとして思わぬヒット商品に。同館の広報担当は「想定の6倍売れました」と驚く。2個入り3箱が1セットで1375円。

■水生きもの「性態」

◆入れっぱなし

コツメカワウソは一度交尾を始めるとほぼ1日中でも、腰を振り続けるスタミナを持つ。「餌を食べに行ったりはするが、陸上でも水中でも四六時中という感じ」(渡辺さん)。これは陰茎に骨があることによって元気な状態が続き、挿入を維持できるからという。そうした営みを経て今年5月末に生まれた3兄弟は、同館ですくすくと育っている。

◆交尾前ガード

タカアシガニは世界最長とされる長い足を生かし、オスが後ろからメスを包囲するかのように覆いかぶさって交尾できるようになるまで守り続ける。交尾自体は向かい合った体勢で、おなかの中にある生殖器を合わせて行う。交尾前ガードは、メスが脱皮した直後にしか交尾できない甲殻類に多くみられる行動。カニは脱皮を繰り返して大きくなる。

◆かみつき求愛

トラフザメは、オスが荒々しくメスの胸ビレにかみつき動きを封じた状態で2本のクラスパー(生殖器)を挿入して交尾する。柔和な顔つきからは想像できない激しさで、メスが負傷してしまうことも。ヒレにかみつくのは求愛行動の1つであったり、不安定な水の流れの中でも確実に交尾をして子孫を残そうとする知恵などの説がある。

◆体の4分の1

最も大きな陰茎を持つ生きものは、やはりクジラ。中でもマッコウクジラのモノは3~4メートルあり、体長(15~20メートル)の実に4分の1近くになる。地球上で最大の動物シロナガスクジラ(30メートル級)も同程度のモノを持つが、体長比となるとマッコウに軍配。鯨類は精巣自体も大きいのが特徴で、大きな陰茎から一度に大量の精子を流し込む。

◆「帰ってきた 性いっぱい展」

▼期間 9月6日~11月4日(10月10日は休業)

▼場所 サンシャイン水族館

▼時間 午後6時15分~同9時(最終入場は終了1時間前。午後6時までは通常営業)。

▼料金 大人2600~2800円。こども1300~1400円。幼児800~900円。

■特設サイト https://sunshinecity.jp/file/aquarium/sexy/

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