笑福亭鉄瓶が独演会「東名阪ツアー」開催 ノンフィクション落語、一門になじみ深いネタを披露
日刊スポーツ / 2024年9月17日 18時0分
落語家笑福亭鉄瓶(46)が「笑福亭鉄瓶独演会 東名阪ツアー」を開催する。落語にまったく興味がなく、“タレント”笑福亭鶴瓶(72)にあこがれて弟子入りした鉄瓶が、師匠譲りの“鉄瓶トーク”はもちろん、ライフワークのノンフィクション落語や一門になじみ深いネタでファンを魅了する。【阪口孝志】
◇ ◇ ◇
鶴瓶と松嶋尚美が台本なし、打ち合わせなしのフリートークを行うテレビ東京系「きらきらアフロTM」(木曜深夜2時5分)が26日放送で最終回を迎える。番組がスタートしたのは01年4月。同年2月に鶴瓶に弟子入りした鉄瓶にとっても、“前説”を長く務めてきた思い出深い番組とあって「寂しいですね」。
もともと落語好きではなかった。鶴瓶が読売テレビ「鶴瓶上岡パペポTV」などで見せる身の回りの日常の話題を面白おかしく話す“鶴瓶噺(ばなし)”にあこがれ、弟子入りした。
年季(修行)中も「師匠には落語はやるつもりはないと言いましたし、ライブの前説やリポーターをしますと言いました」。落語をすることはなかった。
転機は年季明けの4年目。兄弟子たちの落語会の手伝いに行きだし、落語家のすごみを目の当たりにした。「単純に落語がすごいと思った。着物だけ、扇子と手ぬぐいだけ、立ってはいけない…ルールの中でどこまで限界までできるか。でも、座布団の上では何にでもなれる。宇宙のように感じたし、カッコイイと思った。何でもありはおもろないなと」
落語をしないと宣言していた手前、師匠に連絡を入れたところ、帰ってきた言葉は「意味分からんこと言うな」。
それでも、「笑福亭やから勝手にやってください。その代わり俺はよう教えんで。よその師匠のところに行って、正直に『教えてもろてません』って言うて、出稽古付けてもらえ」。師匠なりの優しさだった。
同世代の落語家は修行中に師匠から稽古を付けてもらい十数本もネタを持っているのに、自分は3本ほど。「楽しいも何もない。同世代に負けたらアカンと思ったし、『有名人になりたくて入ってきたくせに、なんやねん、落語しやがって』って思われるのもイヤだった。落語が好きで落語家になった落語家よりも落語をしたろう」。いろんな落語家の手伝いに行き、必死に腕を磨いた。
7~8年がたち、同期の三味線弾きから「まくらで『落語できん』みたいなの言うの止め。横で聞いてて遜色ないよ」と言われ、初めて自信がついた。今では、落語を聴いていた上方落語協会会長の笑福亭仁智から「鶴瓶やん」と声をかけられるほど。師匠から稽古を付けてもらうことはなかったが、ウリ2つのネタを見せている。
独演会では自らネタを見つけ、取材した人の人生を落語に仕上げたノンフィクション落語をトリでかけてきた。第4作目となる今回は、廃線の跡地を生かしたイベントの担当者とその祖父との物語を描く。
しかし、今回はトリで一門の大師匠6代目笑福亭松鶴さんが十八番とした大ネタ「らくだ」を披露する。思い入れのあるノンフィクション落語を置いて、らくだをトリに持ってきた理由は「4作目に突入して、僕の中でノンフィクション落語の骨組みもできあがってきたので、やっぱり、古典落語をメインに置いていこうと思った。そこで、笑福亭が大事にしていることもあって、『らくだ』でやらせてもらおうかな」
松鶴さん、鶴志さん、そして、師匠のらくだ以外は聴いていないといい、「そこに僕なりの解釈を入れていきたい。できる限り、濃厚な笑福亭で行きたい」
もちろん、自身の“ルーツ”である鉄瓶トークも交える。
「師匠からはホンマの話をどうしゃべるのが1番伝わるのか。組み替えてしゃべる技量が大事と教わった。今でもそれを肝に銘じている」
落語の稽古を付けてもらうことはなかったが、師匠が出演するテレビ番組について行き、前説などをしてきたことが、血となり肉となっている。
「今回は前座も色物もない、完全に1人の独演会。ポップな要素もありつつ、古典もある。スタンダップ要素もある。2時間でいろんな色の自分を見せたい。僕は落語を知らんと入ってきて好きになってるから、自信を持ってお送りできる。落語の入り口、スタートキットとしていいと思います」
大阪公演は10月11日に天満天神繁昌亭、東京公演は同19日、座・高円寺2、名古屋公演は11月16日、メニコンANNEX HITOMIホールで行われる。
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