池松壮亮「アフターコロナにどこに向かうか」4年前出会った「本心」映画化熱望し石井監督に提案
日刊スポーツ / 2024年10月10日 19時9分
池松壮亮(34)が10日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われた映画「本心」(石井裕也監督、11月8日公開)完成披露上映会に登壇。
自身が強烈にインスパイア(触発)された小説を、石井裕也監督(41)が共感し、映画化できたことへの喜びを口にした。
「本心」は作家・平野啓一郎氏の同名小説の映画化作品で、今からさらにデジタル化が進みリアルとバーチャルの境界が曖昧になった少し先の将来が舞台。池松が演じる石川朔也は、田中裕子(69)演じる母秋子が亡くなってしまった後、、母が生前「自由死」を選択していたと知り、その本心を知りたいと思い、仮想空間上に任意の人間をを作る「VF(バーチャル・フィギュア)」の制作を依頼する。
池松は、コロナ禍だった20年夏に原作と出会い、映画化への熱い思いが込み上げたと吐露。「たまたま20年の夏、コロナで対面で人と会うのも難しいような時期、たまたま、この原作に出会いまして。コロナのことは書かれていなかったんですけど、アフターコロナに自分たちが暗闇の中でどこに向かうか、問題が拡張した原作で描かれた2040年の世界にインパクトを受けまして、自分の話、同時代の私たち自身の話だと感じ。映画にできたらなと」と最初に読んだ時の衝撃を語った。一方で「考えて考えて悩みながら…なかなか個人的な思いから、みんなで作る映画、というのは勇気がいる、ダメ元で石井さんに『これ、読んでください』と提案しました」と、困難な映画化を承知で、石井監督に声をかけたと続けた。
池松演じる朔也は、ロボット化の波で働いていた工場が閉鎖に追い込まれ、カメラが搭載されたゴーグルを装着し、現実の分身として依頼主の代わりに行動する仕事「リアル・アバター」を始める。脚本も手がけた石井裕也監督(41)は、池松の話を受け、物語を踏まえ「AIと対面する人間の心は誇張でもなく人類喫緊の問題…考えなければならないテーマ。AIが人間の知性を超えるかばかりフィーチャーされ、人間の尊厳は、というのがテーマにすらなっていない恐怖を、小説として見事に書かれていたものですから」と原作の持つテーマ性を紹介。その上で「映画監督として今すぐ立ち向かわなければならないテーマだと思った。目を付けた池松君は、さすがだなと思った」と池松をたたえた。
この日は、三吉彩花(28)水上恒司(25)妻夫木聡(43)田中裕子(69)も登壇した。
◆「本心」 工場で働く石川朔也(池松壮亮)は、同居する母秋子(田中裕子)から仕事中に電話が入り「帰ったら大切な話をしたい」と告げられる。帰宅を急ぐ途中、母が豪雨で氾濫する川べりに立っているのを目撃し、助けようと飛び込むも重傷を負い1年もの間、昏睡(こんすい)状態に…。目が覚めた時、母は亡くなっていた上、生前「自由死」を選択していたと聞かされる。ロボット化の波で勤務先も閉鎖し、幼なじみの岸谷(水上恒司)の紹介で、カメラが搭載されたゴーグルを装着し、現実の分身として依頼主の代わりに行動する仕事「リアル・アバター」を始める。
そんな中、朔也は仮想空間上に任意の人間を作る「VF(バーチャル・フィギュア)」を知る。「母は何を伝えたかったのか? どうして死を望んでいたのか?」などと整理がつかない思いを解消したく、なけなしの貯金を費やして開発者の野崎(妻夫木聡)に「母を作ってほしい」と依頼。「自分が知らない母の一面があったのではないか?」と、手掛かりを求めて、母の親友だったという三好(三吉彩花)に接触。彼女が台風被害で避難所生活中だと知り「ウチに来ませんか」と手を差しのばし、三好、VFの母という奇妙な共同生活がスタートする。
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