田中裕子、自宅にヤモリをくわえてきた猫につい出した本心とは…
日刊スポーツ / 2024年10月10日 23時9分
田中裕子(69)が10日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われた映画「本心」(11月8日公開)完成披露上映会に登壇。映画のタイトルにちなみ、本心について聞かれ、自宅にやってくる猫が、ヤモリをくわえてくることに目をつぶっていることができず、諭したエピソードを明かし、会場を笑わせた。
田中は劇中で、主演の池松壮亮(34)演じる石川朔也の母秋子を演じた。トークの中で、本心について聞かれ「うちに入ってきた、2歳くらいかなと思う、メス猫がいるんですけど、その子が今年、ヤモリをいっぱい口にくわえて持ってきて。私は、ヤモリが好きなので…それを、どうやったら口から外して、庭にはなしてやるかというのが…」と切り出した。そして「ヤモリをくわえてくるんじゃない、と本当は思っていたんですが(ヤモリを)かんで殺されると困るから『おりこうだね、ありがとう』と言って、口から取って、逃がしてやるのをやっていた」と。手柄のようにしてヤモリをくわえてくる猫を刺激せず、ヤモリを逃がす努力を繰り返していたと続けた。
ただ、その努力のかいもなく、猫はヤモリを再び、くわてえきたという。田中は「だけど、持って来るから目を見て言ったんです。『ダメだよ。取ってこなくて言い。私は欲しくないよ』と言って、じっと見ていたから、分かったかなと思ったら…バッタを持ってきた」と口にした。会場内に笑いが起きる中、田中は「その時、私は本心を隠したと思います」と、照れ笑いを浮かべながら語った。
完成披露試写後に、池松の発案で行われたスペシャルアフタートークショーでは、田中への池松からの賛辞が止まらなかった。秋子は、仕事中の朔也に電話して「帰ったら大切な話をしたい」と告げるが、朔也が帰宅を急ぐ途中、豪雨で氾濫する川べりに立ち、濁流にのまれてしまう。助けようと飛び込んだ朔也が重傷を負い、1年もの間、昏睡(こんすい)状態に陥って目覚めた頃には亡くなってしまっている。生前「自由死」を選択しており、そのことを知った朔也が、その本心を知ろうと仮想空間上に任意の人間をを作る「VF(バーチャル・フィギュア)」の制作を依頼する。田中は、生前とVFになった秋子、両方を演じた。
池松は「人間の欲望が作り出したとしても、田中さんが目の前で笑ったり泣いてくれた時がうれしかった」と、秋子のVFを演じた田中との共演した当時の思いを振り返った。そして「1つ、1つの人間らしさを(演技として)選ばれるのを見れば見るほど、この母は本物でないと…怖くなった」と、人間ではないVFを演じながら、この上ない人間味をにじみ出した田中の演技に、恐怖さえ覚えたと振り返った。
田中は、司会の荘口彰久から、秋子と秋子のVFを演じた際に、演じ分けをしたかと聞かれると「何もないです」と即答。「見てくださる方の目を通して、思いが作ってもらえる(と思っています)」と、演じた芝居を、観客の目に委ねる意思を、穏やかな口調で答えた。一方、池松は「はっきり、違うと感じていました。肉体を離れた…こちらも、そういうシチュエーションで見ていたというのもありましたけど、フラットでありながら静けさ…何か肉体、物質を超えた母と対峙(たいじ)しているようで、怖かったし、うれしかった」と賛辞の言葉を繰り返した。
◆「本心」 工場で働く石川朔也(池松壮亮)は、同居する母秋子(田中裕子)から仕事中に電話が入り「帰ったら大切な話をしたい」と告げられる。帰宅を急ぐ途中、母が豪雨で氾濫する川べりに立っているのを目撃し、助けようと飛び込むも重傷を負い1年もの間、昏睡(こんすい)状態に…。目が覚めた時、母は亡くなっていた上、生前「自由死」を選択していたと聞かされる。ロボット化の波で勤務先も閉鎖し、幼なじみの岸谷(水上恒司)の紹介で、カメラが搭載されたゴーグルを装着し、現実の分身として依頼主の代わりに行動する仕事「リアル・アバター」を始める。
そんな中、朔也は仮想空間上に任意の人間をを作る「VF(バーチャル・フィギュア)」を知る。「母は何を伝えたかったのか? どうして死を望んでいたのか?」などと整理がつかない思いを解消したく、なけなしの貯金を費やして開発者の野崎(妻夫木聡)に「母を作ってほしい」と依頼。「自分が知らない母の一面があったのではないか?」と、手掛かりを求めて、母の親友だったという三好(三吉彩花)に接触。彼女が台風被害で避難所生活中だと知り「ウチに来ませんか」と手を差しのばし、三好、VFの母という奇妙な共同生活がスタートする。
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