【竜王戦】佐々木勇気八段が藤井聡太竜王に2敗目 意表突いた「変化球」打ち返され詰め欠く
日刊スポーツ / 2024年10月26日 18時27分
藤井聡太竜王(名人・王位・王座・棋王・王将・棋聖=22)が佐々木勇気八段(30)の挑戦を受ける、将棋の第37期竜王戦7番勝負第3局が26日、京都市「総本山仁和寺」で行われた。25日午前9時からの2日制で始まった対局は、先手の藤井が佐々木の仕掛けた角交換ダイレクト向かい飛車にてこずりながらも、中盤からじわじわとリードを広げて寄せ切り、対戦成績を2勝1敗とした。また、仁和寺での竜王戦は4年連続白星。京都府でのタイトル戦は7戦7勝とした。
◇ ◇ ◇
佐々木がしきりに髪の毛をかきむしった。2日目の午後4時30分すぎ。うまい手が浮かばないのか、ほおを紅潮させながら、しきりに盤を見つめる。「1手1手難しい将棋かなと思っていました」。
「変化球」が打ち返された。意表を突いた戦型で前例のない展開と、藤井の時間を削る消耗戦に持ち込んだ。功を奏したかに見えたが、詰めを欠いた。「馬を作って受けに回って反動でと思ったんですけど。先手5四歩と突かれたあたりで距離感がつかめず、終盤も私の力では分からなかったです」。終局後も髪の毛は乱れたままだった。
勝てば、三たび「藤井を止めた男」になれていた。1度目は2017年(平29)7月の竜王戦決勝トーナメント。デビュー以来負けなしの30連勝を目指した藤井を下し、初黒星をつけた。2度目は今年3月放送のNHK杯決勝。藤井の連覇と年間最高勝率(67年度に中原誠五段=当時=が達成した8割5分5厘、47勝8敗)の更新を阻んだ。今回は藤井の仁和寺4連勝と、京都府内でのタイトル戦7連勝のストッパーになり損ねた。
今局も盤外戦術は健在だった。両日午前と午後のおやつは「どら焼き」4連投。初日のランチで頼んだ「ビーフカツサンド」に加え、メニューブックにはないスープとフルーツの盛り合わせを追加し、仁和寺にある法師と関係者を慌てさせた。盤上では途中まで藤井を慌てさせたが、勝利をつかむまでは至らなかった。
黒星こそ先行しているが、タイトル戦初登場にもかかわらず、互角の指し回しを見せている。「こちらが気がついたら負けということが多いので、そのあたりを何とかしたいと思います」。第4局以降、まだまだ目が離せない。
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