神戸出身の新納慎也、朝ドラ「おむすび」に込めた阪神・淡路大震災への思い
日刊スポーツ / 2024年10月28日 8時15分
NHK連続テレビ小説「おむすび」に出演する俳優新納慎也(49)が28日、同局を通じ、阪神・淡路大震災を描くことへの思いを寄せた。
橋本演じる“平成ギャル”のヒロイン結が、栄養士となって現代人の問題を「食の知識とコミュ力」で解決する平成青春グラフィティ。神戸出身の新納が、神戸市の職員若林建夫を演じている。
23年度後期連続テレビ小説「ブギウギ」にも松永大星役で出演。「撮影中か放送中に、『おむすび』出演のお話をいただいて、『また大阪に行く日々がやってくるんやな』と思った記憶があります。こんなに続けての出演は珍しいことらしいので、ありがたいし、うれしかったですね。『ブギウギ』と同じスタッフさんも多く、ただいま~という感じです」と再びのオファーを喜んだ。
若林は松永とは逆で地味な役だという。大河ドラマ「真田丸」の豊臣秀次、「鎌倉殿の13人」の阿野全成とクセの強い役が多かったため、「僕が出ると視聴者の方は『なんかやるぞ』と思うかもしれませんが、神戸市役所のマジメな職員でとっぴなことはしません。…多分」と苦笑した。
神戸市出身だけに、阪神・淡路大震災を体験した。
「阪神・淡路大震災が起きた時は、あれほどの大地震を経験するのがみんな初めてで、何もわからなかったんです。市の職員の方も本当に困っただろうと思います。震災当時、神戸市役所にも大勢の方が避難していたのを実際に見ました。市役所内に公衆電話がいっぱい並べられていて、みんながそこに電話をしに集まっていました。職員の方は対応に奔走していたことでしょう。ドラマに描かれていない部分でも、若林は市の職員として頑張ったのだろうと思います」
それだけに、阪神・淡路大震災を描くことには「ちょっとヒリヒリする独特の感覚がありました」と吐露する。
震災時は大学生。自身は大阪に住んでおり、神戸で暮らす家族と連絡が取れず心配になり、実家まで9時間かけて水を担いで帰ったこともあった。幸い家族は無事だったが、知人を探しに避難所にも行った。劇中の避難所シーンの撮影では「こんなんやったね…」と当時を思い出したという。
ただ、新納にとって震災は「傷であるだけでなく、誇りでもあるんです。震災当時は本当にどうなることかと思いましたし、約30年たつ今だから言えることですが、復旧復興して前向きに進んでいった神戸が『誇り』です」と胸を張る。
各地で大きな地震が起きるたびに大きく傷つく。元日に起きた能登半島地震の被災地のことはずっと気がかりで、復旧復興が遅れている現状に心を痛めているが、「このタイミングで『おむすび』が放送されることで、能登をはじめとする各被災地の方々に『大丈夫だよ、必ずこうやって乗り越えられるから!この国の人たちにはそのパワーがあるよ!』と伝わったらいいなと思っています」と思いを込める。
これまでのNHK出演時のような“個性”はないが、「震災を描く作品なので、神戸や東北、能登など、各被災地の方々が悲しいことを思い出してしまうシーンもあるかもしれませんが、『いや、待てよ。これを乗り越えてきたやんか!』とパワーに変換していただけたら。日本は地震大国で何度も何度も地震に見舞われていますが、その記憶も前に進むパワーなんだと捉えてドラマを見ていただければうれしいです」と視聴者に呼びかけた。
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