紙ふうせん50周年記念ライブ 後藤悦治郎と平山泰代が「冬が来る前に」「紙風船」「翼をください」
日刊スポーツ / 2024年11月9日 14時23分
フォークデュオ、紙ふうせんが8日、東京・南青山マンダラでデビュー50周年記念ライブ「紙ふうせん in MANDALA~懐かしい未来~」を開いた。結婚50周年でもある後藤悦治郎(78)と平山泰代(77)が「冬が来る前に」「竹田の子守唄」「紙風船」「翼をください」など、半世紀変わらぬ美しい歌声を響かせた。
後藤と平山は兵庫県立尼崎北高校の同級生。卒業後は後藤は京都外大、平山は武庫川女大に進学したが、69年に5人組の「赤い鳥」を結成。74年に結婚、2人で「紙ふうせん」となった。
後藤に「やっちゃん」と呼びかけられて登場した平山は「リーダーは高校時代はESSの部長。大学で『アメリカ民謡研究会』を創部しました。1970年(昭45)に『赤い鳥』でデビュー、74年に『紙ふうせん』になりまして、2人だけどリーダー」と後藤を紹介。
後藤は「大学4年の時に学費で楽器を買ったりして、やめました。それから高知をはじめとして日本各地を回って、歌い継がれている歌を集めました。旅館に泊まっていると、地元の方が一升瓶を持って来ては明け方まで語り明かしたものです」と振り返った。
71年の「赤い鳥」時代に発売して、100万枚を超える大ヒットになった「竹田の子守唄」は京都の伏見地区で歌い継がれていた民謡が原曲。後藤は「野口ふくさんという方が、歌い継いでいたものです。歌詞は文字があるからどこでも同じですが、節は場所によって違ったりもします」と説明して歌った。
後藤は高校時代から、アメリカのフォークグループ、ピーター・ポール&マリー(PPM)の大ファンだった。現在は、PPMのメンバーとプライベートでも交流するようになったが、最初はファンレターを贈るところから始まっている。
平山は「悦治郎さんは寝ても覚めてもPPM。大阪フェスティバルホールへ京都外大のコンサートを見に行って聞いて、私もすてきだと思いました。そして4曲入りのドーナツ盤をすぐ買いました」。後藤は「PPMのオーディションには、ボブ・ディランも落ちているんです。ハーモニーができないから」と明かして、62年のデビュー曲の「レモン・トゥリー」などPPMの曲をメドレーで披露。そして、翌63年にPPMがカバーして大ヒットしたボブ・ディランの「風に吹かれて」も熱唱した。
後藤は「大谷翔平の目はエルビス・プレスリーの目となんか似ている。僕たちもデビュー50周年、結婚50周年で『50-50』です。1回目のプロポースは22歳の時、返事がありませんでした。2回目は28歳の時で『これからの人生、精神的にも物理的にも五分五分でいかへんか』って言ったら『いいわよ、割り勘でいくんでしょ』って返ってきた。これも『50-50』」。そして2人で、プレスリーの「愛さずにいられない」を歌い上げた。
グループ名「紙ふうせん」の元になった「赤い鳥」時代の73年の「紙風船」について後藤は「黒田三郎さんの詩集にあった『紙風船』という詩に、勝手に曲を付けてコンサートで歌ったら評判がよかった。CM曲にも起用されて、レコーディングしようということになって、黒田さんに電話をして頼んだら『絶対ダメ』と許してもらえなかった。困っていたら、奥さんが電話を替わって『どうか使ってください』と言ってくれました」。黒田三郎氏の子息も駆けつけ、後藤の「どうか皆さんの紙風船を打ち上げてください」という呼びかけで、ファンも一緒に合唱した。
そして、東京・原宿の民族楽器店で手に入れたアルマジロの甲羅を胴体に使った南米アンデス地方の民族楽器チャランゴの音色をバックに「冬が来る前に」を歌った。
71年の「赤い鳥」時代に発売され、今ではサッカー日本代表の応援歌としても歌われる「翼をください」について、後藤は「95年の阪神・淡路大震災の後にボランティアで歌いに行って、もう一つの意味に気が付いた」と話した。「<歌詞>悲しみのない 自由な空へ という歌詞で、おばちゃんから『あんたらの今の歌、天国のお父ちゃんにも聞こえたで。私も明日から頑張って行く』と言われました。生と死を見つめる鎮魂歌にもなる曲です」と、会場全員で合唱した。
◆紙(かみ)ふうせん 後藤悦治郎(ごとう・えつじろう)は1946年(昭21)4月29日、兵庫県尼崎市生まれ。京都外大卒。平山泰代(ひらやま・やすよ)は47年3月28日、広島市生まれ。武庫川女大卒。兵庫県立尼崎北高の同級生。69年に5人組フォークグループ、赤い鳥を結成して、70年にデビュー。71年に「竹田の子守唄」「翼をください」がヒット。74年5月に結婚。同年9月の解散後、2人で「紙ふうせん」結成。77年11月リリースの「冬が来る前に」がミリオンヒット。
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