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【ひふみんEYE】棋士70年で初めて見た 藤井聡太竜王が「軽視」した佐々木勇気八段の指し回し

日刊スポーツ / 2024年11月16日 18時2分

終局後、感想戦を行う藤井聡太竜王(右)佐々木勇気八段(撮影・松浦隆司)

<ひふみんEYE>

藤井聡太竜王(名人・王位・王座・棋王・王将・棋聖=22)が佐々木勇気八段(30)の挑戦を受ける、将棋の第37期竜王戦7番勝負第4局が16日、大阪府茨木市「おにクル」で行われた。15日午前9時からの2日制で始まった対局は、先手佐々木が名前の通り、勇気をもって積極的に踏み込んで完勝。対戦成績を2勝2敗とした。第5局は27、28日、和歌山市「和歌山城ホール」で行われる。

   ◇   ◇   ◇

藤井竜王は「いいところなし」でした。裏を返せば、佐々木八段の指し回しがさえていました。角換わり早繰り銀から腰掛け銀という新趣向、棋士になって70年になる私もお目にかかったことがありません。期待以上のいい作戦でした。

終局後、「先手4六角と攻めてこられる手順を軽視してしまった」と藤井竜王がコメントしていました。将棋の世界で言うと、「読んではいたけど、受けられるという感覚だった。まさか、それで参るとは思わなかった」ということです。佐々木八段はこの手を境に、一気呵成(かせい)に攻めがつながりました。藤井竜王にとっては、全くチャンスがありませんでした。

佐々木八段は藤井名人への挑戦権を争う、10人のトップ棋士総当たりのA級順位戦でも現在4勝1敗。永瀬さん(永瀬拓矢九段)、佐藤さん(佐藤天彦九段)と並んで暫定トップです。順位戦の好調ぶりは、他棋戦での成績に反映されます。

お互いに先手で勝って、シリーズは改めての3番勝負。最終第7局までもつれ込む可能性大です。年内、将棋のタイトル戦はこれだけ。がぜん面白くなり、がぜん注目度が高まってきました。(加藤一二三・九段)

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