新藤兼人賞金賞に「ナミビアの砂漠」の山中瑶子監督 銀賞は「侍タイムスリッパー」安田淳一監督
日刊スポーツ / 2024年11月26日 12時0分
2024年度の第29回「新藤兼人賞」の受賞者が26日、発表された。同賞は、日本映画の独立プロ57社によって組織される協同組合日本映画製作者協会が、本年度公開作品の中から将来性のある新人監督と、優秀な作品の完成に貢献を果たしたプロデューサーや企画者を選出し、授与する。
金賞は、河合優実(23)が主演した「ナミビアの砂漠」の山中瑶子監督(27)が受賞した。同作は、5月に世界3大映画祭の1つ、カンヌ映画祭(フランス)と併設して開催されたフランス監督協会主催の独立部門・監督週間に出品され、国際映画批評家連盟賞を受賞した。
銀賞は、今年の日本映画界を席巻した「侍タイムスリッパー」の安田淳一監督(57)が受賞した。8月に“インディーズ映画の聖地”こと東京・池袋シネマ・ロサのみの全国1館で公開後、口コミで話題を呼び、累計で全国338館まで上映が拡大した。
プロデューサー賞は、製作プロダクションと映画の配給を行う、コギトワークスの関友彦代表取締役が受賞した。関氏は、永瀬正敏(58)主演の「箱男」(石井岳龍監督)でプロデューサーと製作プロダクションを務めた。1997年(平9)に主演に永瀬、共演に佐藤浩市(63)をキャスティングし、万全の準備をしたが、ドイツのハンブルクでクランクインする前日に撮影が頓挫し、幻の企画と呼ばれた同作の映画化を、27年の時を超えて実現させた。河合主演の「あんのこと」(入江悠監督)でも、プロデューサーと制作プロダクションを務めた。
また、今年3月には作品性・作家性を重視した良質な邦画を、国内外に発表することを目的とした新映画レーベル「New Counter Films」(ニューカウンターフィルムズ=NCF)を立ち上げた。その第1弾作品「若武者」(二ノ宮隆太郎監督)ではプロデューサー、製作プロダクション、配給も務めた。
2024年度は、215作品が選考対象となった。受賞者には、正賞の新藤兼人監督デザインのオリジナルトロフィーと、副賞として金賞には賞金50万円とUDCast賞、銀賞には賞金25万円が贈られる。UDCast賞は、最新映画の字幕や音声ガイドを映画館で楽しめる無料アプリUDCastと、金賞受賞作のバリアフリー版制作が提供される。既に受賞作がバリアフリー化されている場合は、金賞受賞監督の次回作に提供。UDCastは、場面の説明をする音声ガイドやセリフや音の情報を入れた字幕など視覚、聴覚に障がいがある観客をサポートするアプリだ。プロデューサー賞には、正賞のクリスタルトロフィーと副賞の賞金50万円が贈られる。
新藤兼人賞は、日本映画製作者協会に所属する現役プロデューサーが、その年度で最も優れた新人監督を選ぶ。完成度や将来性のみならず「この監督と組んで仕事をしてみたい」「この監督に映画を作らせてみたい」というプロデューサーの観点を含む日本で唯一の新人監督賞。新人監督たちを発掘、評価し「今後の日本映画界を背負ってゆく人材を育てたい」というプロデューサー達の思いから、96年に「最優秀新人監督賞」として始まり、00年からは日本のインディペンデント映画の先駆者として知られ、12年5月に100歳で亡くなった、新藤兼人監督の名前を冠した現在の名称となり、29年目を迎えた。
プロデューサー賞は、優秀な作品の完成に貢献を果たしたプロデューサーや企画者を評価し、功績をたたえることで映画製作者への刺激を与え、活性化につなげたいという願いを込めて05年に創設され、20回目を迎えた。
第29回授賞式は、12月6日正午から都内の如水会館スターホールで開催予定。
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