ハリウッドザコシショウ「死ぬまで深夜番組で…」故郷・静岡で初冠番組「冠ザコシの冠冠大冠」
日刊スポーツ / 2024年11月28日 5時0分
お笑い芸人ハリウッドザコシショウ(50)にとって、故郷・静岡での初冠番組となるSBS「冠(かんむり)ザコシの冠冠大冠(かんむりかんむりだいかんむり)」の初回が、11月30日深夜0時28分から放送される。TVerでは12日1日正午から配信。今後、月に1回、全5回の予定だ。ザコシに心境を聞いてみた。【小谷野俊哉】
◇ ◇ ◇
「SBSの方が興味を持ってくださって、1年ぐらい前に番組やりませんかっていうことになって。具体的な話になったのが1カ月前ぐらい。僕のやりたい企画をやらせてくれるっていうことで、ディレクターと一緒に考えて収録して。でも、静岡のテレビだから、ガンガンに攻めるとちょっとついて来られない可能性があるから、ちょっとそこをマイルドにして、っていう感じですかね」
高校卒業まで静岡育ち。
「やっぱり、ずっと見てたテレビ局の番組なんで。ちょっと感慨深いというかね。ただ、もう静岡にね、実家ないんですよ。墓だけだから。だから墓参りするぐらいで、年に1回帰るか帰れないかですね」
2016年(平28)3月に「R-1グランプリ」に優勝。実力が世に知れ渡りブレークした。今、50歳。42歳から日の当たる芸人人生。それまでは、山あり谷ありだった。
「やっぱり、冠番はやりたいなって思ったんですよ。学生時代にお笑いやりたいなと思って、行く先にはやっぱ冠番組を、と。ウッチャンナンチャンさんとかとんねるずさんが冠番組やっているのを見て、こういうのやりたいなと思いつつ。お笑いになったらすぐ、まあ2年以内に売れて、3、4年目にはもうそういうのはできるんだろうなと思ってました。子供の頃に思ってから、40年かかったっていう感じですかね。本当にうれしいですよね」
あこがれた先輩芸人から刺激を受けている。
「とんねるずさんの武道館ライブ。すごいですね。今でもあんだけね、アグレッシブにやれる。営業先でね、この間憲さん(木梨憲武)に会ったんですよ。僕の営業先でワークショップやってたからって。で、『ザコシって書いたからちょっとあいさつ来たよ』って。絶対にいないところに憲さんだから、びっくりしました。その会社がデザインとかやってるらしくて、デザインのワークショップらしいですけど」
2024年も残すところ1カ月。
「もう50歳。いろいろと、単独ライブもちょっとやり方変えて。節目というか、そんな感じでそのこの冠番組も、なんか50歳の時にこう話聞たから、なんかちょっとね。ま、いいっちゃいいんですよ」
50歳。芸人にとってターニングポイント。字面だけ見れば、絶対にオッサン。ザコシの強みは年齢不詳。売れて10年未満。今の時代、60歳、70歳までできるか。
「そうっすね。まあそのぐらいまでやりたいですけどね。言うなら、もう本当にずっとこうやりつつ、舞台でネタができなくなったら引退かなっていう感じですけどね。やっぱ、なんかあの人ちょっと病気なのにかわいそうってなっちゃうと、もう笑いになんないから。そうなるとちょっとやれないかなと」
年取って、いい役者になる芸人もいる。
「全く考えてないですね。オファーは来るんすけどね。お笑いメインで考えてるから、もし合わないやつだったら断ってますね。お笑いの仕事に支障をきたさない範囲で、そこまでしんどくないやつをオッケーしてるんで。なんかこう、めちゃくちゃセリフを入れてこないといけないってやつは、断ってるんです。自然に、自分のままできるような役なら」
お笑い界も、だいぶ若返った。
「R-1をとってから、こういうインタビューがいっぱいあるんですけど、そこでやっぱ聞かれるんですよ。売れてない時間が長くて大変でしたでしょう、と。だけど大変じゃなくて、時間はかかったんですけど、売れてない時にこう仲間とふざけてた。楽屋でバカな話ばっかしてるから、なんか楽しかったんですよね。やっぱつらいな、早く売れたいなっていう気持ちもあったんですけど、そればっかじゃなかったから。それを凌駕(りょうが)する仲間とバカ話とか飲み歩いたり、変な企画考えてライブとかYouTubeとかやってたから、あんまりつらくはなかったすね」
来年、さらにその先も展望を描いている。
「この番組が、評判良かったら続く可能性あるんですよ。で、これをちょっと維持して、来年以降は続けていきたいなってのは大前提でありますね。いろいろ自分でYouTubeとか撮ってるし。番組もやってるし、DVDとかも出してるんですけど。なんか深夜番組で、こうずっと死ぬまで…。別にゴールデンに出たいという気持ちは、あんまりないから。『ずっと深夜番組で出てるな、こいつ』っていう感じで死にたい。僕はやっぱ、そんな感じで。学生とか、中年の男子とかに響くような芸人になりたいですね」
慕ってくる後輩芸人たちが「ハリウッド軍団」を形成する。
「この冠番組で、機会があったら呼びたいなっていうのはあるんですけど。でも、無理にはね。ハリウッド軍団の後輩を、無理に出してあげるっていうことはしない。企画を考えて、その企画にあった人選をしてるから。そういうビジネスをすると視聴者と誤差が出てくるから」
黒パン一丁にテンガロンハットの裸芸人。原形をとどめないほど誇張しすぎたものまね。独特の芸は唯一無二だ。
「やっぱ、俺の芸をまねするような感じのやつはいない。教えてんのは、立ち居振る舞いとか、信念とかですかね。ブレないでやれとか。そういうやつ」
裸芸人ではあるが、清潔感もある。
「それはちょっと意識してますね。気をつけてるというか。かわいい芸じゃないと、やっぱ好かれないから。じゃあ何をケアしてんだって言われると、ちょっと分かんないんですけど」
子供の頃に一番憧れていたのがビートたけし(77)。あとはダウンタウンに、今は俳優として活躍する竹中直人(68)。
「竹中さんのバラエティー、よく見てたんですよ。『東京イエローページ』とか『竹中直人の恋のバカンス』とか。フルにお笑いをやっていて。芸風とは違うけど、似たタイプではありますね。竹中さんのことを、役者としてとかそういうのも含めて面白いし、すごい好きって人はいるけど、竹中さんの“芸人”のそのところを見るのが好きで芸人やってる人は、なかなかいない。やっぱベタなほうに行っちゃうんですよ。ベタなほうが、簡単に笑いが取れるんですよ。僕も若い時に竹中さんみたいなことをやったら、全然受けなくて。でもそれをやり続けて、今に至るから。やっぱ試行錯誤して今の感じになったから。なかなか大変でした」
40歳を過ぎてブレーク。まだ、10年も活躍していない。早く売れていたら、今ごろは疲れ果てていたかも知れない。
「絶対、絶対そうですね。もうやること、なくなってましたね。多分、飽きられていた。今、いい環境というかね。東京の番組も、ずっとオファーがある。全国に放送される番組も出つつ、この静岡のローカルでも頑張る。今の時代はTVerもあるし」
全盛期を迎えるのは、これからだ。
◆ハリウッドザコシショウ 1974年(昭49)2月13日、静岡県清水市(現静岡市)生まれ。92年(平4)に大阪NSCに入り、93年に静岡茶っぱとG★MENS(ジーメンス)結成。02年からピン芸人。R-1ぐらんぷり2016優勝。170センチ。血液型A。
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