【映画大賞】齋藤潤が石原裕次郎新人賞 17歳最年少受賞「あこがれの賞だったので本当に光栄」
日刊スポーツ / 2024年12月28日 10時12分
<第37回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞(日刊スポーツ新聞社主催、石原音楽出版社協賛)>
石原裕次郎新人賞に輝いた齋藤潤は、裕次郎さんをイメージしたというダンディーなスーツ姿で表彰を受けた。「あこがれの賞だったので本当に光栄です。偉大なお名前を冠した賞に恥じないよう、自分の弱さからも目を背けず前に進んでいきたい」。17歳での受賞は、22年に受賞した道枝駿佑の20歳を塗り替える最年少記録。この場で初めて知り「急に心臓にきた」と初々しい笑顔をみせた。
「踊る大捜査線」シリーズの再始動で話題を集めた「室井慎次 敗れざる者」「室井慎次 生き続ける者」では、警察を辞めた室井(柳葉敏郎)の元で暮らす被害者家族の高校生、貴仁を演じた。母親の命を奪った加害者と刑務所で対面する場面は、物語を大きく動かす重要シーン。毅然(きぜん)としたみずみずしい演技は高い評価を集めた。
「大きな山で緊張しましたが、室井さんとの暮らしで成長した貴仁の“静かな強さ”を出せたらいいなと覚悟を持って行きました」。貴仁の中に宿る室井イズムを表現しようと、室井のしぐさを演技にしのばせる攻めっ気も。「弱かったみたいで、しっかりカットされていました」と笑う。
綾野剛(42)主演の「カラオケ行こ!」では、初対面のヤクザにカラオケの歌唱指導をすることになる合唱部部長を演じ、かみ合わない会話と奇妙な友情で受け手の心をつかんだ。ヤクザが愛したX JAPANの「紅」を絶唱する「紅だあああーー!」の雄たけびは名場面のひとつ。「監督が『歌うんじゃなくて叫びだ』と言ってくださったので、不安は取っ払って叫びました」と笑顔で語った。
「キングダム」(19年、主演山崎賢人)を見て感動し「自分もスクリーンの中に立ちたい」と俳優の道へ。今年は5本の映画に出演した。「感謝と同時に、まだまだな自分もすごく感じた1年でした。映画への愛だけはブレずに持ち続けて頑張りたいです」。【梅田恵子】
■石原裕次郎新人賞・選考経過 「演技が頭一つ抜けている。『室井慎次』をみても彼が回しているよう」(服部宣之氏)「スター性があり、ミニシアター系から大規模な映画まで縦横無尽に動き回れる」(伊藤さとり氏)と圧倒的な支持で、1回目で過半数を獲得。
▼豊かな表現力で役演じ分け
石原裕次郎新人賞を受賞された「齋藤潤」さん。ご自身もまだ学生という等身大の役柄を、豊かな表現力でそれぞれの役を演じ分けていらっしゃいました。まだあどけない笑顔が、大人に対峙(たいじ)する際には真剣な表情に変化し淡々と訴えかけていく演技は、見ている者を引き付けました。今後さらに魅力が増し、日本映画を担う俳優になっていかれるだろうと期待しております。
最後になりましたが、受賞者の皆さまのさらなるご活躍、映画界のさらなる発展をお祈りいたします。
石原音楽出版社 取締役名誉会長 石原まき子
◆石原裕次郎新人賞 1987年(昭62)に亡くなった、戦後を代表するスター石原裕次郎さんの遺志を引き継ぎ、日刊スポーツ映画大賞に併設。石原音楽出版が運営に全面協力している。裕次郎さんをほうふつとさせる将来性豊かな、映画デビュー5年以内の新人に贈られる。賞金100万円。
■昨年「エゴイスト」「はざまに生きる、春」で石原裕次郎新人賞の宮沢氷魚(30) 齋藤潤さん、石原裕次郎新人賞受賞おめでとうございます。名誉ある賞をいただくことは、この先の役者人生だけでなく、1人の人間として大きな糧になります。この名誉を胸に、日々周りの環境に感謝の気持ちを忘れず、さらなるご活躍を期待しております。
◆齋藤潤(さいとう・じゅん)2007年(平19)6月11日生まれ、神奈川県出身。19年、テアトルアカデミー第5回モデルグランプリ・ユース部門でグランプリを受賞し芸能界入り。「パパとムスメの7日間」(22年)、「トリリオンゲーム」(23年)などドラマ出演のほか、23年に「正欲」で映画デビュー。特技はサッカー、アクション、殺陣。
◆カラオケ行こ! 中学3年生の合唱部部長・岡聡実(齋藤)は突然、ヤクザの成田狂児(綾野剛)からカラオケに誘われ、歌のレッスンを頼まれる。狂児の勝負曲はX JAPANの「紅」。嫌々ながら指導を行う聡実。2人が打ち解けていく中、事件が起こる。
◆瞼の転校生 大衆演劇の世界に生まれた裕貴(松藤史恩)は公演に合わせて転校を繰り返す生活を続け、中学生になった。ある中学校に転校した裕貴は、成績はトップだが不登校の健(齋藤)に出会う。限られた時間の中で2人はかけがえのない日々を過ごす。
◆「室井慎次 敗れざる者」「-生き続ける者」 室井慎次(柳葉敏郎)は警察の組織改革に挑むも、27年前に刑事・青島俊作(織田裕二)とかわした約束を果たせずに退職。故郷の秋田に帰郷すると、ある事件で母を失った森貴仁(齋藤)らの里親になり一緒に暮らし始める。
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