【映画大賞】山田杏奈、助演女優賞に至る1年で大きな変化を感じた2つの取材機会/ロング版
日刊スポーツ / 2025年1月1日 5時0分
第37回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞(日刊スポーツ新聞社主催、石原音楽出版社協賛)の各賞が、先月27日の配信番組および28日付の紙面で発表されました。動画や紙面でお届けできなかった受賞者、受賞作関係者のインタビューでの喜びの声を、あらためてお届けします。
◇ ◇ ◇
山田杏奈(23)は、助演女優賞の受賞を直接伝えた場で、開口一番「改めて、評価してくれる人がいるんだと、すごく自信になった」と口にした。その時、ふと頭に浮かんだのが、山田に大きな変化を感じた、2つの取材機会だった。
1つは、23年12月20日に都内で行われた映画「ゴールデンカムイ」(久保茂昭監督)の完成報告会だった。登壇した山田は、演じたアイヌの少女アシ■パ(■は小さいリ)の役作りについて語った。「意識したことは、考えの根底には何があるんだろうと。文化的なものを、とにかく学んだ」と、監修の中川裕氏からアイヌ語のセリフと文化から指導を受けたと振り返った。弓の達人という設定だったが、アクションはほぼ未経験で「弓も家に持って帰って、おうちのカーテンに向けて、撃って練習しました」と明かし、照れ笑いを浮かべた。
もう1つの取材機会が、24年1月10日に都内で行われた「ゴールデンカムイ」の完成披露試写会だった。アシ■パは、野田サトル氏の原作漫画でも人気キャラクターで、変顔が1つのウリでもあった。司会から変顔をどう作ったかと聞かれると「自分じゃ見られないので、カメラで自分の顔を撮り、漫画の原作と比べながら…白目をむいた変顔が多い。スマホの中には変顔が、いっぱいあります」と笑いながら明かした。
18年「ミスミソウ」で映画に初主演した山田は、19年「小さな恋のうた」でヨコハマ映画祭最優秀新人賞、23年「山女」でTAMA映画賞最優秀新進女優賞を受賞。映画の世界で着実にステップアップしていく中、映画記者として取材する機会は少なくはなかったが、トークを聞いている中で山田の周りに壁のような、何かを常に感じていた。
作品や役どころについては、どこまでも真っすぐに、誠実に語る。その一方で、役ではない人間・山田杏奈の部分を見せる瞬間は、極めて少なかった。「私は芝居で語れば良い」。そんな言外の思いが、にじみ出ているように感じた。作家性の高い映画の舞台あいさつにおいては、話も専門性が高くなるため、山田自身の表情は、ますます見えにくくなった。そうした声は、映画関係者の間にもあった。
そんな山田が「ゴールデンカムイ」の2つのイベントで、それまでとは全くと言って良いほど違う顔を見せた。エンターテインメントの世界に生きる者として、自分自身をも表に出していこうという、覚悟のような思いが見えた。そう感じたことを率直に伝えると、山田はうなずいた。
「本当におっしゃっていただいたとおり、あそこまでの規模感(の映画への出演)は初めてだったので。もちろん、責任みたいなものは必然的にあるのかなと思いつつ、何よりそこまでの大きな役に私を使ってくれた、製作陣への感謝というか、しっかりその人達が私にして良かったと思っていただけるようなような、お芝居であったり、い方をしたいなと思ったのは大きいですね」
「い方」という山田の言葉が、聞いていて胸の中にストンと落ちた。そのい方を大きく変えたのが「ゴールデンカムイ」とともに受賞対象作となった「正体」だ。演じた酒井舞は、ケアホームで働く普通の女性で、恋心を抱いた同僚を撮影した動画を配信したことで、その同僚が殺人事件の容疑者として死刑判決を受け、逃走を続ける鏑木慶一(横浜流星)だと発覚してしまうが、無実を信じるという役どころだった。
「藤井組に参加したいという気持ちが、すごく大きくて」と、出演を熱望した藤井道人監督(38)から向き合った際、役について説明を受けた。「自分が決めたことから逃げたり、軽はずみに行動してしまったり…普通の若者である彼女が、視聴者から見て一番、近い存在になると思う」。10歳から芸能界で生き「普通に働いたこともない」山田にとって、役作りは「仕事をしてるってどういう感じなんだろう」などと模索から始まった。
その中で、市井に生きる同年代の女性を役として生きるにあたり、自身のチャームポイントであり、世の中から支持を集める「目力」を、役作りの中で自然と降ろしていった。「数年前に、お芝居の先生から『目力とかは、切り売りしていかなければならないものだから。どんどん消費されていくものだから』と言ってもらっていた。舞を演じた時は、別にそこまで考えていたわけではなかったんですけど、自分が得意なところだけでやっちゃダメっていうのは、ずっとあって」
藤井監督からのアドバイスを受け、自ら模索していく中で生まれた舞というキャラクターは、終盤で「正体」という作品を、観客の心により引き寄せる大きな力となった。(後編に続く)【村上幸将】
◆山田杏奈(やまだ・あんな)2001年(平13)1月8日生まれ、埼玉県出身。11年「ちゃおガールオーディション」でグランプリを獲得し、芸能界入り。16年「TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ」で映画デビュー。19年「小さな恋のうた」でヨコハマ映画祭最優秀新人賞、23年「山女」でTAMA映画賞最優秀新進女優賞。特技は習字。159センチ、血液型A。
◆ゴールデンカムイ 北海道で砂金採りに明け暮れていた杉元佐一(山■(■は崎の大が立の下の横棒なし)賢人)は、アイヌ民族から強奪された金塊の存在を知る。そんな時、ヒグマの襲撃を受けた杉元をアイヌの少女アシ■パ(山田)が救う。アシ■パも父親の敵を討つため、杉元と金塊を追う。
◆正体 凶悪な殺人事件の容疑者として逮捕され、死刑判決を受けた鏑木(横浜流星)が脱走した。刑事・又貫(山田孝之)は鏑木が潜伏先で出会った舞(山田)らを取り調べるが、彼女らが語る鏑木は別人のようだった。顔や姿を変え、逃走を続ける真相を探る。
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