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杉良太郎、上空から見た神戸の街「なぜ、空からの消火を…」いまだ航空消防隊なく/阪神淡路30年

日刊スポーツ / 2025年1月17日 0時0分

杉良太郎(2024年11月)

1995年の阪神・淡路大震災発生から、17日に30年を迎える。神戸市長田区で育った俳優杉良太郎(80)は、母の無事は確認も、姉が生き埋めになっていたと後に知った。

震災数日後、ヘリコプターで大阪から物資輸送も…。「30年」と「今」を思い、杉から寄稿が届いた。また、学生時代の友を亡くしたシンガー・ソングライター平松愛理(60)、母の遺体と対面した落語家桂あやめ(60)に、30年の思いを聞いた。【取材・構成=阪口孝志、村上久美子】

   ◇   ◇   ◇

30年前の1月17日は大阪のホテルに宿泊していた。大きな揺れにベッドから転げ落ちた。すぐに社員に連絡して実家のある神戸に至急向かわせた。私は実家に連絡をするも電話が通じない。社員からの報告では道路が寸断され、市内に入ることができない、とのこと。私はテレビ収録のためなんとか四国に移動した。母と連絡が取れたのはその日の夜。無事だった。姉は生き埋めになっていたことを後で知る。数日後、支援のため私はヘリコプターで大阪から物資のピストン輸送をした。上空から、いまだ燃え盛る神戸の街を見た。

物資をトラックに積み替え、焼け野原の街中に入った。年配の女性がお皿と箸をもって何かを探している様子に気づき、私は車を降りて「どうしたんですか」と声をかけた。その女性が私の顔を見ることもなく「息子がここで焼け死んだので、息子を探しています」と答えた。私は胸がはりさけそうになった。

大震災で亡くなった方は圧死、もしくは焼死。道路が使えないのは地震につきものだ。なぜ、空からの消火にあたらないのか。いまだに日本には航空消防隊がない。30年たった今も東日本大震災、能登半島地震にいかされていないのが現実だ。

歌手・俳優

法務省 特別矯正監

厚生労働省 特別健康対策監

警察庁 特別防犯対策監

      杉良太郎

◆杉良太郎(すぎ・りょうたろう)本名・山田勝啓。1944年(昭19)8月14日、神戸市生まれ。65年「野郎笠」で歌手デビューし、76年「すきま風」がミリオンヒット。67年NHK「文五捕物絵図」に主演、以降も「遠山の金さん」など1400作以上で主演。178センチ、血液型O。

◆阪神・淡路大震災 1995年1月17日午前5時46分、兵庫県淡路島北部を震源にマグニチュード(M)7・3の地震が発生。神戸市、淡路島などで観測史上初となる震度7を記録した。死者6434人、重傷者約1万人、被害家屋は約64万棟。同震災から、避難生活のストレスなどで体調が悪化して亡くなる「災害関連死」との概念が生まれた。阪神高速が横向けに倒壊した映像は世界に衝撃を与え、その後全国の道路橋などで耐震性の強化が進められた。

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