「変革」多い巳年 脱皮繰り返すことから「生命力」「再生」新しい事象への「起点」象徴
日刊スポーツ / 2025年1月18日 7時45分
<ニュースの教科書>
今年は巳(み)年。十二支の6番目で、「巳」は蛇のことである。蛇は冬眠から覚めて地表にはい出し、脱皮を繰り返し成長することから、「再生」「変革」などの象徴といわれている。過去の巳年を振り返ってみると、確かに「変革」の事象が多い。今年は昭和100年。その節目と重なった巳年が、どんな年になるのか。温故知新してみよう。(敬称略)【笹森文彦】
◇ ◇ ◇
★「蛇の特性」出来事数多く起きている
12年サイクルの十二支は、中国・殷の時代(紀元前17世紀~同11世紀)にできたといわれている。日本には「日本書紀」の記述などから、6世紀ごろに伝わったとされている。
巳年の今年は、昭和100年の年にあたる。その100年の間で、巳年は今年を含め9回目。明治からだと14回目となる。
蛇は怖いイメージがあるが、白蛇などその希少性や神秘性から縁起がよく、富をもたらすとして信仰の対象にもなっている。
蛇は冬眠から覚め、脱皮を繰り返して成長する。古い皮を脱ぎ捨てて、新たに生まれ変わることから「再生」や「変革」、新しい段階への「起点」の象徴とされている。
明治以降の巳年を振り返ると、蛇の特性を感じさせる出来事が数多く起きている。
◆「変革」の出来事
古くは大化の改新(645年)や、壇の浦の合戦(1185年)も巳年で、ともに政権が変革した。
明治以降では、1869年の戊辰戦争の終結で、明治新政府による新しい日本が本格的に動き出した。まさに日本の再生であり変革だった。
1881年には板垣退助が自由党を結成し、政党政治が始まった。1893年にはニュージーランドで女性参政権が世界で初めて認められた。いずれも大きな変革である。
1929年の明治大学専門部女子部の開校は、女性法律家の誕生へ貢献した。1953年のテレビ放送の開始は、新たな娯楽の誕生だった。
1989年の昭和天皇崩御で、平成という新しい年号が始まった。
◆「起点」の出来事
変革には動き出す起点がある。巳年には現在につながる負の起点もある。
1905年の「バルフォア宣言」は、イギリスの外務大臣アーサー・バルフォアが、パレスチナに「ユダヤ人の故郷(ナショナル・ホーム)」を建設することを支持する宣言だった。その後、ユダヤ人とアラブ人の対立は激化。現在のイスラエル・パレスチナ問題につながっている。
1953年の朝鮮戦争休戦協定も、現在につながる負の起点である。協定では「最終的な平和解決が成立するまで休戦」と規定されたが、いまだ成立せず、戦時体制が続いている。北朝鮮は日米韓との対決姿勢を鮮明にしている。
◆スポーツ界の「変革」「起点」の出来事
1917年に東京で開催された第3回極東選手権で、サッカーの日本代表が初めて国際試合に臨んだ。結果は中華民国に0-5、フィリピンに2-15と大敗。15失点は日本代表の最多失点記録である。そんな始まりから、1965年に日本サッカーリーグが発足。現在のJリーグの大隆盛につながっている。
同年に、プロ野球では第1回ドラフト会議が行われた。12球団が合計132人を指名し、入団は半分以下の50人だった。阪神などで活躍した江本孟紀は西鉄(現西武)に、中日で活躍した谷沢健一は阪急(現オリックス)に、大洋(現横浜)で活躍した平松政次は中日に、いずれも4位で指名されたが、3人とも入団しなかった。第1回は大成功ではなかったが、資金力のある球団に有望選手が集まっていた現状を打破する大変革だった。
1977年の樋口久子の全米女子プロゴルフ選手権優勝。同年の巨人王貞治の本塁打世界記録樹立。2001年のマリナーズ・イチローのメジャーデビュー。これらは、いま世界で大活躍するゴルフの松山英樹、野球のドジャース大谷翔平につながる起点だったのかもしれない。
25年はどんな年になるのか。十二支を使った相場の格言がある。「子は繁盛、丑はつまずき、寅は千里を走り、卯跳ねる、辰巳天井、午尻下がり、未辛抱、申酉騒ぐ、戌は笑い、亥固まる」なのだそうだ。ということは、今年の景気も昨年同様、天井のようだ。誰にとっても「実(巳)を結ぶ年」になりますように。
■「巳」の字は子宮が胎児を包む様子の象形文字 巳年と十二支にまつわるアレコレ
▼なぜ蛇を「巳」と書くのか 巳だけでなく、十二支のすべての漢字は動物と関係ない。古代の十二支は、植物の成育過程を「滋・紐・演・茂・伸・巳・仵・味・身・老・脱・核」の12の漢字で表していた。しかし、庶民には難解で、身近な動物を当てはめた。
例えば「滋」は「種から新しい生命が誕生する状態」を意味した。そこで繁殖能力が高いネズミ(子)が割り当てられた。
「紐」「演」「仵」「味」「核」は、漢字のつくりから「丑」「寅」「午」「未」「亥」にした。
「巳」は「植物が成長しきった状態」を表した。その字は子宮が胎児を包む様子の象形文字で、「誕生」「生命力」を意味した。蛇は冬眠から動き出し、脱皮を繰り返す特性から「生命力」「再生」「変革」、新たな段階への「起点」の象徴とされ、「巳」に当てはめられたと言われる。
▼巳(蛇)のことわざ 「竜頭蛇尾」(勢いが後半まで続かないこと)「蛇ににらまれたカエル」(強い相手に身がすくむこと)「長蛇の列」(長い行列を蛇の胴体に例えた)「蛇にかまれて朽ち縄に怖(お)じる」(一度の失敗で過剰に用心深くなること)。
▼世界の十二支 アジア圏を中心に十二支はあるが、微妙に違う。昨年の「辰」は、ベトナムやカンボジア、マレージアなどではナーガ(蛇神)が充てられている。モンゴルではワニ。「亥」は十二支発祥の中国を筆頭に豚が多いが、日本はイノシシ。今年の「巳」は各国で蛇である。
◆十二支(じゅうにし) 「子(ね)丑(うし)寅(とら)卯(う)辰(たつ)巳(み)午(うま)未(ひつじ)申(さる)酉(とり)戌(いぬ)亥(い)」で年を表す。かつては月や時刻、方位も表した。時代劇や怪談の「丑三つ時」は午前2時~同30分ごろ。
今は干支(えと)といえば十二支を指すが、本来は別物。十二支と、古代中国の思想に基づく十干(じっかん=「甲(こう)乙(おつ)丙(へい)丁(てい)戊(ぼ)己(き)庚(こう)辛(しん)壬(じん)癸(き)」)を組み合わせた60種が干支(十干十二支)である。還暦の由来だ。十干はかつては学校の成績表に、今も契約書などに使われている。今年は十二支では「巳」、十干十二支では「乙巳(きのとみ)」の年となる。
「戊辰戦争」や「辛亥革命」などの名称は十干十二支を使っている。甲子園球場は1924年(大13)の「甲子(きのえね)」の年に完成した。
◆笹森文彦(ささもり・ふみひこ) 北海道札幌市生まれ。83年入社。主に文化社会部で音楽担当。昔の成績表は「甲乙丙丁」、昭和初期は「優良可」。自分の成績を当時に照らし合わせると、小中高を通して体育だけは「甲」「優」だった。学業の唯一の自慢。
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