ポスト「クローズ ZERO」の不良バトル作品「BLUE FIGHT」で躍り出た木下暖日と吉澤要人
日刊スポーツ / 2025年1月27日 7時0分
1分1ラウンドルールの格闘技大会として注目を集める「ブレイキングダウン」を題材に、「クローズ ZERO」の三池崇史監督がメガホンを取ったのが「BLUE FIGHT~蒼き若者たちのブレイキングダウン」(31日公開)だ。GACKT(51)ら、そうそうたる出演者に囲まれ、ともに映画初出演ながらW主演した木下暖日(だんひ=18)と吉澤要人(かなめ=21)に聞いた。
少年院で出会った2人が、講演に訪れたブレイキングダウン代表の朝倉未来氏(本人出演)の言葉に励まされ、格闘家を目指す物語。主演の2人は2000人が応募したオーディションを勝ち抜いた。
吉澤は「オーディションなのにいきなりカメラが回っている。パンチ出してくださいって言われて焦りました。猫パンチになっちゃいましたね」と当時の緊張を振り返って照れ笑いする。俳優歴5年目、ダンスボーカルユニット「原因は自分にある。」のリーダーでもある。そんな吉澤とは違い、高校の野球部で活動中にスカウトされて間もない木下は「緊張はありませんでした。もともと字を読むのが苦手で(笑い)、台本の厚さにちょっと驚きましたけど、初めてのお芝居を教わって何もかも楽しかった」と対照的に屈託がない。
ひたすらまっすぐなイクト(木下)と時にナイーブな一面を見せるリョーマ(吉澤)という役柄にまるっとリンクする。三池監督が2人を選んだ一因が垣間見える。
監督ならではのリアルで荒々しい格闘シーンが最大の見どころだ。撮影前に1カ月間の訓練も受けた。実際の「ブレイキングダウン」も生で観戦した。
吉澤は「格闘技なんですけど、あれはホントにリアルなケンカですね。あたる音が聞こえるし、迫力が違いました。格闘シーンの参考になりました。撮影では、格闘しながら、しっかりとお芝居もあるのでそこが難しかった。アクションの手順に集中すると、お芝居部分がカメラに入らなかったり…。想像していた以上に現場が早く進んでいくので、追いついていくのに必死でしたね」と、ハイテンポで進行する三池組の現場を振り返った。
不良界隈のラスボス的存在として登場するGACKTに、木下ふんするイクトがパンチを見舞うシーンもあった。及び腰になる木下にGACKTは「オレは避けられる。だから思い切り来い。万が一あたっても、それはオレの責任だ」と声をかけた。
「あの時は、意を決してあてるつもりでいきましたね。不思議とあたらなかった。GACKTさんすごい、と思いましたね」
吉澤にとってはライバル吉祥丸(久遠親)との対決シーンが記憶に残ったという。
「絡みも多かったし、グローブを付ける場面だったので、リハーサルの時から『お互いあてていこう』と。実際、本番になったら、僕の方が打たれる回数が多いわけで、本当に痛かった。監督の終了の声がかかった瞬間、悔しさもあって本当に泣きました(笑い)。でも、クライマックスの大乱闘シーンを終えて、仲間と帰っていくシーンでは、なぜかジーンと胸が熱くなって…忘れられませんね」
木下は雨のシーンを思い出す。
「後ろ手に縛られて蹴られたり、殴られたり…。その辺は痛くないようにやってくださるんですけど、とにかく寒くて寒くて…正直きつかった。でも、クランクアップの瞬間はやっぱり充実感がありました。それまで助けてくれたみんなと別れると思うとすごく寂しくもありました」
それぞれの母親役は篠田麻里子と土屋アンナ。「クローズ ZERO」からは個性派のやべきょうすけ、一ノ瀬ワタル。ブレイキングダウン出場者のせーや、現役キックボクサーでもある真田理希、そして金子ノブアキ、寺島進、高橋克典…個性派ぞろいのキャストの中には堀江貴文氏の姿も。
完成作品を見た吉澤は「撮影中は演じることに夢中でしたけど、改めて、すごいところに立たせていただいたんだな、という実感がわきました」。木下は「すごい、編集するとこんなふうになるんだ、と。でも、僕自身の部分では反省点ばかりです」。
得たものも大きかった。
吉澤は「俳優という仕事には、これでいいという終わりがないことを実感しました。その終わりがないというところに魅力を感じて、ずっと続けていきたいと思いました」
木下は「こんな『壮大な人生』は、俳優をやっていないと体験できないし、今後出演できるかどうかも分からないくらいの規模の作品に出させてもらって、めちゃくちゃ貴重な体験をさせてもらいました」
2000分の2の闘いを勝ち抜いた2人は、ともに飛躍の機会を得たようだ。【相原斎】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「映画な生活」)
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