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小泉今日子、19年ぶりブルーリボン賞は助演女優賞「辞退したい気持ち」の裏に師匠の言葉

日刊スポーツ / 2025年1月29日 5時0分

ブルーリボン賞助演女優賞を受賞した小泉今日子は周囲を幸せな気持ちにする優しい笑顔を見せる(撮影・浅見桂子)

東京映画記者会(日刊スポーツなど在京スポーツ紙7紙の映画担当記者で構成)主催の第67回(24年度)ブルーリボン賞が28日までに決定した。授賞式は2月12日に都内で開催する。

   ◇   ◇   ◇

小泉今日子(58)が、2005年(平17)に「空中庭園」で主演女優賞を受賞から19年の時を経て、助演女優賞を受賞した。

ナレーションを含め、7本の作品に出演し「碁盤斬り」(白石和彌監督)で遊郭の大おかみ、「海の沈黙」(若松節朗監督)では“花の82年組”の同期・本木雅弘(59)が演じた画家のかつての恋人を、それぞれ演じた。人生の年輪を重ねた女性を演じた、絶大な存在感が受賞につながった。

受賞の一報を聞いた時の思いを聞かれると「何か、辞退したい気持ちになって何日か(連絡の)メールを見ないくらいでした」と口にした。各社の記者が一瞬、顔を見合わせると「昨年は上映作が多く、それぞれ違う役をやらせてもらい、面白かった。ただ、演じ切れたかと思うと、そうでもなくて。そんな風に思って返事をしなかったら、プロデューサーから『堂々ともらってこい』と言われ…」と賞を受けようと思えた経緯を明かした。「賞をいただけるような仕事、できているのかなと。引っ込みたくなるような気持ちは、いつもあります」と本音を吐露した。

「碁盤斬り」で、主演の草なぎ剛(50)と95年のフジテレビ系ドラマ「まだ恋は始まらない」以来29年ぶり、「海の沈黙」では、本木と92年のフジテレビ系ドラマ「あなただけ見えない」以来、約32年ぶりの共演を果たした。アイドルとして生きた時代を持つ同期、後輩と、より大人の俳優となって、真正面から芝居でぶつかり合う機会を得た。「本木さんは同期ですし、年齢も一緒なので感慨深いものがありました」と、まず本木と共演した思いを振り返った。

草なぎとの共演については「その時は、まだグループ(SMAP)自体が国民的なスターじゃなくて、草なぎさんも主演では全然なく、小さな役でしたが、彼が良いので出番がドンドン増えていった」と初共演時を振り返った。「その後のご活躍は、そうだよなと思って見ていた。今回は草なぎさんの方が主役になって、たたずまい、背中で皆を引っ張っていく頼もしい姿で立っていました」とたたえた。

ブルーリボン賞を最初に受賞したタイミングで、演じる際に常に胸の奥に思い起こすメッセージができたという。17歳で出演した83年のテレビ朝日系ドラマ「あとは寝るだけ」で演出を受けて以来、恩師と仰ぐ久世光彦さんから「空中庭園」で主演女優賞を受賞した際、手紙が届いた。そこに書かれた

「いろいろな演技ができるようになって、鼻高だかな気持ちもあるけど、小泉はいつも不安で揺れたりしていて。そういう、あなたがすてきだって僕は思っているから、あまりうまくならないでね。うまいの先に広い世界はないですよ」

という言葉だ。

久世さんは翌06年に急逝したが、そのメッセージは「いつも、何をしても必ず自分の頭の中に降りてくる。一生忘れずに、リフレインされる感覚がある」という。久世さんは、今回の受賞を喜ぶか? と聞かれると「『お前は賞をもらってうれしいと思うけど、あの作品はこうすべきだ』と、細かく言われそう」と笑った。

デビューから42年。「どうせやるなら、一生懸命、面白く、楽しくやりたいと思って生きてきた」と振り返る。あと2年で還暦を迎える。「そろそろ、私たち、おじいちゃん、おばあちゃんの域に入ってくるので、まだまだできることがあるんだろうなと思って。静かな小津映画みたいなのを、大好きな先輩方とやってみたいという思いがあります」と笑みを浮かべた。【村上幸将】

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