歯周病菌がアルツハイマー型認知症に及ぼす影響を調べた研究

認知症ねっと / 2019年3月7日 10時0分

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「体の健康はお口の健康から」とはよく言ったもので、歯や口のトラブルで満足に食べることができなければ、体力や免疫力を維持することはできません。また最近では、虫歯や歯周病の原因となる菌が、全身のさまざまな病気に関わっていることがわかりつつあります。

今回は、歯周病菌とアルツハイマー型認知症との関係を調べた論文をご紹介します。

「歯周病」は細菌によって起こる病気です。歯と歯肉の境目に歯垢(プラーク)ができると細菌が住みつきやすくなり、歯肉が炎症を起こして腫れます。そのまま放っておくと歯を支えている骨が溶けて、歯を抜かなければならないこともあります。

最近の研究から、歯周病の原因菌は全身のさまざまな病気に関わっており、アルツハイマー型認知症も例外ではないことがわかってきました。アルツハイマー病の患者さんの中でも慢性的に歯周病のある人は、歯周病のない人よりも認知機能の衰えが激しいことが報告されています。慢性歯周病を起こす菌のひとつが「ポルフィロモナス・ジンジバリス」です。

ジンジバリス菌は「ジンジパイン」という物質を作ります。ジンジパインは菌自身が生き延びるために重要な物質ですが、タンパク質を分解する働きがあることから、私たちの体には悪影響を及ぼします。

この度、ジンジバリス菌とアルツハイマー病との関連を調べた論文が「Science Advances」に発表されました。研究チームがアルツハイマー病の患者さんの脳を調べた結果、健康な人よりもジンジパインが多いことがわかりました。とくに患者さんの海馬では、ジンジパインが多く働いていることもわかったのです。

ジンジバリス菌の影響を調べるために、タウタンパク質にジンジパインを直接与えたところ、タウタンパク質はジンジパインの働きによって断片化することがわかりました。タウタンパク質は断片化するとリン酸化されやすくなり、その結果、神経細胞内に凝集、蓄積してしまいます。

この結果から、アルツハイマー型認知症の脳では、歯周病菌のひとつであるジンジバリス菌の働きによって、神経細胞の働きが損なわれている可能性が示唆されました。

そこで研究チームは、ジンジパインの働きを効果的に抑える分子(阻害剤)を作成し、神経細胞を使って阻害剤の効果を調べる実験を行いました。ヒトの神経細胞由来の培養細胞(SH-SY5Y)にジンジパインを与えると、細胞が凝集してしまいました。しかし、作成した阻害剤を同時に加えると、神経細胞の構造は保たれることがわかりました。

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