イランを中心に“第2のアラブの春”が起きている理由
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年1月14日 17時50分
![イランを中心に“第2のアラブの春”が起きている理由](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/nipponhoso/nipponhoso_202243_0-small.jpg)
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月13日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。ウクライナ機撃墜事件について解説した。
ウクライナ機撃墜事件
イランは11日、乗員乗客176人が乗ったウクライナ国際航空の旅客機を誤って撃墜したことを認め、人為的なミスから意図せずに攻撃したと釈明した。イラン革命防衛隊の航空宇宙軍司令官が記者会見で認めたもので、ロウハニ大統領も声明で謝罪し、賠償に応じる方針を打ち出している。
飯田)イラン各地では、これまで事実を隠ぺいしていた指導部に抗議するデモも行われています。指導部とはロウハニ大統領ではなく、ハメネイ最高指導者へのデモが続いているということです。
須田)それがハメネイ師に向かっていることがポイントだと思います。いずれにしても、現場からロシア製のミサイルの残骸が見つかっており、これは隠ぺいしておけないということで、一転して謝罪することになりました。
イラン国民がすべてイスラム教徒ではないという事実
須田)記憶にとどめていただきたいのですが、イランというとイスラム原理主義の国であり、国民を含めて熱心なイスラム教徒で、イスラム指導者に従っているというイメージがあります。しかし現状はそうではなく、特にイランの若い人は、ほとんど信仰心がありません。
![](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2020/01/jpp031737846-2-1-1-1-1-1-1-1.jpg)
イランの最高指導者ハメネイ師(右)と会談する安倍晋三首相=2019年6月13日、イラン・テヘラン[ハメネイ師のツイッターより] 写真提供:時事通信
10年前の「アラブの春」と同じ反政府的な動きがアラブ各国で起きている
須田)もう1つは10年前、SNSを中心にアラブの春が起こりましたが、いま同じような動きがアラブ各国で起こり始めています。イラン、アルジェリア、レバノンなどの強権的な政治体制に対し、国民から反政府的な動きが強行に起きていて、その中心に位置しているのがイランです。その理由は経済的な疲弊です。失業率が10%を超え、インフレ率が30%という状況で、さらにガソリン価格の上昇が若い人たちの怒りに火をつけ、反政府デモの動きにつながっています。今回のウクライナ機の撃墜を受けて、さらに激化している状況です。
飯田)イランという国も大統領選挙など、民主的な投票が行われています。ただし別の権力機構として、革命防衛隊を含めて宗教指導者がいることを気にしており、若者中心に「民主的に決めたい」という声が大きい。
須田)自分たちの手が届かないところに、最高権力者がいるのですから。そういう二重権力構造に関する不平不満があります。それも、経済がうまく行っていればさほど表面化しないのですが、そうではなくなったために不満が爆発しています。アメリカはそれを知っているので、さらなる経済制裁に乗り出したり、トランプ大統領が反政府デモに対して応援するツイートをして、揺さぶりをかけているのです。
![](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2020/01/2020010401263-2-2-1.jpg)
ソレイマニ司令官の殺害を1面で大きく報じるイラン各紙=2020年1月4日(共同) 写真提供:共同通信社
アメリカと戦える状況ではないイラン
飯田)先週のいまごろは、イランからイラクにあるアメリカ軍基地にミサイル攻撃が行われて、「世界大戦か」というムードになりました。しかしイランの足元がその状況では、全面的なぶつかり合いには到底耐えられませんよね。
須田)イランの国内情勢を考えると、アメリカとの全面戦争に踏み切れる状況ではありません。ですからアメリカ軍施設にミサイルを発射しましたが、水面下では、イラン側は人がいないところにミサイルを撃って、アメリカ側に「報復は終わった」としました。これはできレースみたいなものです。そのあたりを見ても、アメリカとイランが戦争を行うことは100%ありません。
飯田)イランの国内事情で考えると、このデモがどう推移して行くかがカギを握ることになりますか?
須田)そうですね、第2のアラブの春の注目点はイランの情勢です。それをどう抑えつけられるかです。私のカウントでは、デモで319人が殺されている状況です。力で抑えつけると死亡者が増え、そうするとデモは過激化する。この負のスパイラルに、すでに陥っています。
飯田浩司のOK! Cozy up!
FM93AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
緊迫するイスラエルとヒズボラの影で、イランが狙う「終わりなき消耗戦」と戦争拡大の危険性
ニューズウィーク日本版 / 2024年7月2日 14時21分
-
イランで核兵器取得論争が活発化~イスラム体制の形骸化招く可能性も
Japan In-depth / 2024年6月29日 18時4分
-
イランの核武装への兆候か? イスラエルとの初交戦と大統領墜落死が示すもの
ニューズウィーク日本版 / 2024年6月27日 12時40分
-
池上彰「第三次世界大戦は起きない」と考える理由 人類が「2度の世界大戦」から学んだこととは
東洋経済オンライン / 2024年6月16日 18時0分
-
保守強硬派の内紛...ライシ大統領死後、イラン大統領選の行方は?
ニューズウィーク日本版 / 2024年6月11日 14時0分
ランキング
-
1NYで人脈構築の小室圭さん、対照的な生活の眞子さんは「ほとんど外出せず」紀子さまが抱える“複数”の不安
週刊女性PRIME / 2024年7月4日 7時0分
-
2実刑判決で「頭が真っ白に」 法廷に両親の涙 静岡バス置き去り死
毎日新聞 / 2024年7月4日 20時58分
-
3「魚民」の大量閉店は“大正解”か。運営企業「モンテローザ」の“稼ぐ力”は他社を圧倒
日刊SPA! / 2024年7月4日 8時53分
-
4【那須2遺体】長女・宝島真奈美容疑者が遺体発見翌日に応じたTVインタビューで見せた“違和感”について臨床心理士が分析
NEWSポストセブン / 2024年7月5日 7時15分
-
5新潟上越市でマンホール点検中の男性死亡 夕方になっても帰社せず捜索、マンホール内で意識不明の状態で発見
新潟日報 / 2024年7月4日 23時40分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)