日米安保60年~「防衛費増額」以外に日本ができることは何か
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年1月20日 11時40分
日米安全保障条約60周年記念レセプションで鏡開きをする安倍晋三首相(左から4人目)、ドワイト・D・アイゼンハワー元米大統領の孫メアリー・ジーン・アイゼンハワーさん(同5人目)ら=19日、東京都港区の飯倉公館[代表撮影]
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月20日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。条約改定から60年となった日米安全保障条約について解説した。
両政府が意義を強調
日米安全保障条約の改定から19日で60年となり、安倍総理は記念式典の挨拶で日米同盟について「アジアとインド太平洋、世界の平和を守る不動の柱」と強調した。アメリカのトランプ大統領は「60年にわたり、両国の強固な同盟関係は世界の平和・安全・繁栄に不可欠なものだった」などとする声明を発表している。
飯田)一方でトランプ大統領は、アメリカが防衛義務を負っているが、日本はアメリカを守ってくれないではないか、ということも指摘しながら、負担費増を求めるということも行っております。これはいろいろな国に対してやっていることでもありますが。
先進国に対してなぜアメリカだけが防衛費を負担しなければならないのか
須田)日本、韓国、NATOに対して、防衛費の増額を求めています。特に韓国に対してはいち早く交渉を始めて、現状負担費の5倍増を要求していて、これは決裂しています。実は米韓の間では、昨年(2019年)の暮れがデッドラインでした。結果的にまとまらず年明けに持ち越しということで、アメリカもかなり強硬的なスタンスで臨んでいます。これは日本にとって、対岸の火事でいられるのかどうかということですが、防衛費の増額に関して言うと、これだけの問題ではありません。中距離弾道ミサイルの配備の問題であるとか、アメリカに対してどういう防衛協力をするのかというところです。同盟国でも経済的な発展途上国に対しては、トランプ大統領はそれを求めていないのです。先進国のカテゴリーに入っている、例えばOECD加盟諸国に対しては、経済的に十分な基盤があるのに、なぜアメリカだけが一方的に負担しなければいけないのかという不満がある。そこはそれで、言っていることはわかります。
防衛費の増額以外のところで日本ができること
須田)そうは言っても、防衛費の増額というシンプルな交渉ではなくて、それ以外で「何かやれるところはないのか?」という部分も含めての話だったのですが、韓国はそれ以外でもゼロ回答でした。その辺りが逆鱗に触れた。これだけを見ると、日本もなかなか増額という部分だけでは応じられないけれども、貿易問題や他の分野でトランプ大統領というよりもアメリカの有権者、納税者の納得をどこまで得られることができるのかというところがポイントだと思いますね。
飯田)基地を提供するのみならず日本の役割として、第7艦隊の司令部がアメリカ以外にあるというのは日本にしかないものだし、それはインフラが整っている部分があるからだということも言われる。その日本の役割を、もう少し強調してもいいのかも知れないですね。
朝鮮半島のリスクが去った現在、在韓米軍はいらない~日本は対中国の最前線
須田)場合によっては、この防衛費の問題は、韓国では在韓米軍の撤退というところもつながっているのです。その背景に何があるかというと、トランプ大統領の心のうちには米朝首脳会談を実現した結果、朝鮮半島の核戦争の危機が去った。これは歴史的な偉業だと。なおかつこれを今年(2020年)の暮れの、大統領選挙の1つの実績に掲げて行きたいという思惑がある。危機がないのに、在韓米軍を置いても意味がないだろうということです。場合によっては、この問題は在韓米軍の撤退につながるのです。その一方で、日本は対北朝鮮というより、対中国の最前線という意味合いがありますから、そのことも含めて、どうアメリカとの防衛協力をするかということがポイントになると思います。
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