森永卓郎が解説~アメリカと中国の貿易摩擦はこのまま終結に向かうのか
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年1月29日 17時45分
![森永卓郎が解説~アメリカと中国の貿易摩擦はこのまま終結に向かうのか](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/nipponhoso/nipponhoso_205038_0-small.jpg)
「垣花正 あなたとハッピー!」(11月29日放送)に経済アナリストの森永卓郎が出演。アメリカと中国の貿易摩擦の今後について解説した。
米が中国への制裁関税を緩和~第4弾のみ15%を7.5%へ引き下げ
2019年12月13日、アメリカと中国が貿易協議で、お互いが課する制裁関税の緩和の第1段階に合意を発表しました。それまでは報復合戦がエスカレートする一方だったのが、向きが変わりました。アメリカが具体的に何を言ったかというと、一昨年(2018年)7月、8月、9月で第1弾~3弾までの制裁関税をやりました。去年(2019年)に第4弾が出ましたが、その第4弾の制裁関税を15%から7.5%に下げるということです。加えて、例えばスマートフォンやアイフォンは中国でつくっているので、これに関しては第4弾の発動を先延ばしにしていましたが、それも停止するということを発表しました。
中国はほぼ全面的に譲歩したのに対してアメリカの解除は部分的
これに世界は拍手喝采で喜びはしましたが、解決の方向に向かうかというと、私はそう思いません。今回、中国は農産品や食料品、知的財産権、技術移転、金融サービス、為替、貿易拡大、紛争処理など9項目にわたる幅広い分野で、アメリカから指摘された不公正な貿易慣行をやめるということに合意しました。これだけ中国が言うことを聞いたのに、なぜ第4弾の関税の半分だけの解除なのか。中国が合意したのであれば、全面的に解除してもいいはずです。
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会談を前に握手するトランプ米大統領(左)と中国の習近平国家主席=2019年6月29日、大阪市(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社
アメリカの制裁関税の解除が部分的である理由~中国は最先端分野から出て行け
中国が知的財産権など、大部分に対して譲歩したのに、アメリカは関税を少し下げただけというのが現状です。なぜかと言えば、トランプ大統領の本当の要求は違うのだと、中国の専門家は証言しています。トランプ大統領の本当の要求は、「中国は第5世代通信、自動運転、宇宙開発、人工知能という最先端分野から出て行って欲しい。そこはアメリカの牙城だ」ということです。
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ニッポン放送「垣花正 あなたとハッピー!」
「メイド・イン・チャイナ2025」~最先端分野を中国の中心に
ところが中国は「メイド・イン・チャイナ2025」という国家計画を、2018年に習近平国家主席がつくりました。これは2025年には最先端分野を国の中心に据えるという、脱労働集約産業を掲げたものです。
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ファーウェイのショップ=2018年12月9日、中国・深圳(共同) 写真提供:共同通信社
イギリスがファーウェイを5Gに導入
イギリスはアメリカからの圧力にもかかわらず、5Gにファーウェイを導入することを決めました。ファーウェイの方が3割ほど安いからです。第5世代通信を導入するときに、ファーウェイを排除するとコストが大幅に上がってしまいます。しかし日本はアメリカに言われると「わかりました」とやるので、コスト高になるのです。イギリスの方が効率的に整備できます。ファーウェイはどんどん研究開発をしていて、1兆円以上の研究開発費をかけ、いまや世界トップです。
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中国広東省深圳市にある華為技術(ファーウェイ)本社キャンパス(ゲッティ=共同)=2018年12月7日 写真提供:共同通信社
ファーウェイに関するアメリカと中国の言い分
アメリカはファーウェイを中国がバックアップしていて、ファーウェイの機器にはバックドアがついており、中国政府が情報を抜き取っていると言いますが、ファーウェイはそんなことはしていないと言います。企業のバックアップに関しては、アメリカも同じようなことをやっているので、これは水掛け論となります。
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米ケンタッキー州の選挙集会で演説するトランプ大統領=2019年11月4日(ロイター=共同) 写真提供:共同通信社
大統領選挙で勝てば、再び中国への制裁が始まる
トランプ大統領が小出しの緩和に出たのは、あくまで11月の大統領選挙に向けたものです。緩和をすると株価が上がるというのが今回で証明されました。再選に向けて、株価が下がるごとに小出しに緩和するということです。そして当選してしまえば、人格が変わったように中国への制裁を再開するのです。
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