新型コロナウイルスによって露呈~見定めるべき中国との関係
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年2月18日 17時40分
![写真](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/nipponhoso/nipponhoso_209180_0-small.jpg)
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月18日放送)にジャーナリストの有本香が出演。中国の全国人民代表大会が新型コロナウイルスの影響で開幕が事実上、延期されたニュースについて解説した。
中国の全国人民代表大会~常務委員会委員長会議が開催の延期を提案
中国の向こう1年間の重要政策などを決める全国人民代表大会(全人代)の常務委員会委員長会議は17日、新型コロナウイルスによる肺炎の蔓延を受け、3月5日に開幕予定の全人代の延期を提案した。
飯田)事実上、これで延期を決定したということだそうです。新華社によれば、「断固として人民の生命と安全を第一とし、対策に集中するため」ということです。
有本)そう言うしかありませんよね。本来であれば、全人代が中国の向こう1年間の重要政策を決める、またメディアによっては日本の国会にあたると言っていますが、「それはどんな冗談ですか?」という感じです。日本の国会も大変な体たらくになっていますが、日本の場合は、民主的な選挙によって選ばれた国民の代表です。しかし、全人代は必ずしもそうではありません。中国全土から代表が3000人ほど集まるのですが、これは完全なセレモニーです。実際には中国の向こう1年間だけでなく、向こう何年かの重要政策、国をどのように運営して行くかということを決めるのは、チャイナセブンとも呼ばれている、中央政治局常務委員という最高権力者の方たちです。一応、国家主席はいますが集団指導体制ということになっているので、この方たちによってすべてが決められていて、それが全人代の場でお披露目されます。全人代を3月にやると決めたのは1998年です。そのころからずっと毎年行って来たものが、延期になるというのは初めてです。これを3月上旬に行うため、各地の人民代表大会は本来なら2月に行います。2月に各地の人民代表大会をやって、そこで全人代に出て来るという流れです。しかし現在、各地はそのようなことを行っている場合ではありません。
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日中首脳会談 中国の習近平国家主席中国の習近平国家主席(右)と握手する安倍晋三首相=2019年6月27日午後、大阪府大阪市北区 写真提供:産経新聞社
習近平国家主席の来日延期の下地固めとしての報道でもあるか
有本)日本に関係することで言うと、一応この流れがあるために習近平国家主席の4月の国賓来日がなくなるのではないかという、下地固めのような報道にも思われます。茂木外務大臣は衆議院予算委員会でも、予定通りに行うことで一致していると言っていますが、日本政府としてはそう言わざるを得ません。こちらからお誘いしてしまったので。
飯田)こちらから断るわけにはいかない。
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中国弾圧「最悪の状況」 日本外国特派員協会で記者会見する「世界ウイグル会議」のドルクン・エイサ総裁=2018年11月20日午後、東京・丸の内 写真提供:共同通信社
そもそも習近平国家主席を国賓として迎えることには異論反論がある
有本)特に安倍総理も、去年(2019年)の2月ごろに言ってしまっていますので、外交儀礼上、それは断れないということらしいです。私はそれもあまりいいとは思っていません。いまの段階で向こう側といろいろな話をしているとは言うものの、日本側がこれを実際に進めるという、閣議決定などの意思決定は進んでいません。やはり様子を見ています。ですので、延期となる可能性は出て来ました。ただ問題は、仮に新型コロナウイルスのことがなくても、習近平国家主席は去年の香港の問題、ウイグル人に対する苛烈な人権弾圧が言われているなかで、国賓として陛下のお客様という形で迎えるとなると、それが日本としてよいのかということには異論反論があります。日本国内や自民党のなかでもあります。
飯田)そうですね。「国益を護る会」の方々が申し入れをしたり、いろいろな形で反対も出ています。
有本)青山さんたちの「国益を護る会」も、人数が増えて現在は50人を超えています。かつてはマイナーな、自民党保守派の一部の人たちが言っているような雰囲気でしたが、そうではない流れになって来ました。もともと政権としても、少し頭の痛いところだったわけです。この流れで延期をするという方向になるのかなと思います。
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」
いろいろな場面で中国頼みのところがある日本の現状
有本)ただ考えなければいけないのは、今回の新型コロナウイルスによって、日本経済や国民の生活に相当な影響が出ています。いちばんわかりやすいのはインバウンドなのですが、それだけではありません。例えば、いま日本では入試を行っています。これが航空便を止めていないことの理由の1つなのかもしれません。日本は諸外国と違い、現在が入試シーズンです。留学生の入試もいまの時期に行っています。大学教授の友人にも話を聞くと、非常に不安を覚えると言っています。不安というのは、自分がうつるかもしれないというよりも、学生にうつってしまったらどうしようということがあるのです。大学は少子化が進んでいるなかで、中国の留学生頼みの部分がかなりあります。インバウンドももちろんそうです。また働き手という意味でも、日本にいる単純労働、高度な労働も含めた外国人労働者150万人程のうち、40%近くは中国人ではないでしょうか。いろいろなところで、中国とのつながりが絶たれると回らないという部分が多くなり過ぎました。
飯田)すでにそういう状況があるということですね。
有本)特にここ数年で、日本は先進諸外国と少し傾向が異なります。中国への対中投資は増加傾向にありました。
飯田)そうでしたよね。
有本)さらにその大半が車産業です。車産業は日本における基幹産業ですが、この会社が中国への投資を増やしていました。
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「春節」の大型連休が始まり、帰省客らでにぎわう中国・北京駅。新型コロナウイルスによる肺炎の発症者が各地に広がる中で、大部分の人がマスクを着用していた=2020年1月24日 写真提供:産経新聞社
中国との関係を見定める時期に来た
有本)あらゆる分野で、人を介した中国との関わり合いはものすごく密接になっています。それが「1つのリスクとなったときに、大変なことになる」ということが今回わかりました。この辺りも含めて中国との関係を、本当の意味での正常な関係を見定めてつくって行くという機会にすべきだと思います。
飯田)いままでは、なし崩しで来てしまったということですか?
有本)そうです。とにかく関係が改善すればよいという話だったのですが。
飯田)そうではないだろうと。
有本)普通の関係というのはどこなのかというところを、きちんと見定めるときに来たのではないかなという気がします。
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