米大統領選・民主党指名争いでブルームバーグ氏大苦戦~笑うトランプ氏
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年2月24日 6時55分
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(2月21日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。アメリカ大統領選について解説した。
アメリカ大統領選、民主党のテレビ討論会にブルームバーグ氏が初参戦
アメリカ大統領選の民主党指名候補争いで、9回目となるテレビ討論会が19日、主要候補6人が参加してネバダ州ラスベガスで開かれた。トランプ大統領の17倍とも言われる、6兆円の資産を誇る世界第9位の大富豪で、支持率が急上昇中のマイケル・ブルームバーグ前ニューヨーク市長が初参加し注目された。
飯田)メールもいただいています。横浜市泉区“さすらいの管理職”さん、49歳の方。「ブルームバーグ氏が登場しましたが、ニューヨーク市長時代のような若さがないなか、どこまで善戦できるのでしょうか?」。また川崎市中原区の“てっちゃん”さんから、「若いブティジェッジ氏はどうなのですか?」といただきましたが、どうご覧になりましたか?
候補同士の引っ張り合いの民主党指名候補争い
宮家)どんぐりの背比べというか、どんぐりがお互いに足を引っ張り合い、つぶし合っているという印象です。これで喜ぶのはトランプさんだけです。討論を全部観たわけではないですけれど、ハイライトで観たらブルームバーグさんはコテンパンでしたね。もう目が泳いでしまってかわいそうでした。彼は大金持ちであり、78歳のいいお年です。78年も生きれば、人生はいろいろなことがあるわけですよ。昔だったら何でもないジョークも、いまならセクハラになるわけです。しかもその記録は残っている。彼はお金持ちだから、口止め料を払って女性と契約するわけです。ところが対立候補からは「その契約内容を見せろ」と言われる。滅茶苦茶ですよ。しかし、彼に問題がなかったというわけでもなくて、やはりワンマンでしょう。だから、討論会に初めて参加するのはいいのだけれど、全然訓練ができていないと言われています。アンドリュー・ヤンさんという、最近撤退した候補がCNNで言っていましたが、ブルームバーグさんは全然練習していないのではないかと。討論の練習のときも、こう言ってはダメだ、ああ言ってはダメだと教えられるのですが、自分はよく聞いた。しかし、この人はワンマンだから全然聞いていないだろうというのです。だから討論がうまくできない。きちんと反論もできなかったし、残念ですけれど、このままでは難しいですよね。
飯田)難しいですか?
有利なのはサンダース氏~サンダース氏になれば民主党は勝てない
宮家)これでは民主党は勝てないのではないでしょうか。スーパーチューズデーの2週間前の段階で、いまもネバダでやっているわけですが、そろそろ突き抜ける人が出て来なくてはいけない時です。しかし、そういう人はいないではないですか。ブティジェッジさんはたしかにアイオワとニューハンプシャーではよかったのですけれど、ネバダになると必ずしも支持は伸びてはいません。彼が伸びれば別なのですが、彼は彼で経験不足などの弱点があります。みんな「帯に短し、たすきに長し」という感じで、突き抜けないのです。このままだと、どうもサンダースさんが勝ちそうだとなりますが、サンダースさんが勝ったら民主党は絶対に負けますよ。
飯田)本選で。
宮家)選挙戦で民主党は、党として機能しなくなると思うのです。
飯田)サンダースさんが行くとなると、党内の中道派の人たちがきちんと支持できるか。
宮家)中道派の前に、民主党にも主流派がいて、ある意味でいまの議会にいる人や知事たちが民主党のメインストリームなわけです。彼らはスーパーデリゲートという特別代議員です。彼らはバイデンさんでないとトランプには勝てないと思っているから、何とかサンダースさんを止めようとしているけれど、止まらない。サンダースさんが候補になれば、民主党は分裂します。ブルームバーグ氏がなった場合でも、完全に分裂しますよ。笑うのはトランプさんです。
飯田)前回の2016年にヒラリーさんとサンダースさんが争ったときも、特別代議員の人達の投票で最終的にヒラリーさんが行ったので、「一般党員の支持は俺だったろう」とサンダースさんが言い、最後まで揉めました。
宮家)今度は勝つかもしれない。勝ったら勝ったで、サンダースさん陣営はそれでいいけれど、民主党としては勝てるのか。目的はトランプさんを倒すことではなかったのかということです。
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