東日本大震災から9年~福島県浪江町の“いまとこれから”
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年3月11日 17時40分
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(3月11日放送)に数量政策学者の高橋洋一が出演。東日本大震災で被災した福島県浪江町を飯田浩司がリポートした。
福島県浪江町~現在の状況
東日本大震災から9年、福島第一原発の事故によって、一時は町内全域が避難対象となった浪江町では、どのように復旧復興が進んでいるのか——。
飯田)浪江町に住んでいる人の数は、2月末現在で1238人。世帯数としては794世帯となっています。震災当時は2万1500人弱でしたので、そこから帰還率を出すと10%に満たない。そこが新聞の見出しに取り上げられることが多いのですが、一方で2017年3月31日に避難指示が解除されて、人が戻れるようになったことを考えると、まだそこから3年も経っていません。その期間、いろいろな方々がさまざまな判断をされて今日に至るのですが、何と言っても雇用は生活するにあたって必要不可欠です。
高橋)雇用余力はまだあるような感じがしますけれどね。
飯田)現在、芽の段階の産業がこれから太く木に育って行けば、雇用も生まれます。それを町の方々、特に産業振興課の方々は期待しています。一方で町に人が戻って来ると、仕事があって、さらにインフラが整わないと復活できません。その1つに学校という存在があります。今回、子どもたちの通う学校も訪れました。残念ながら新型コロナウイルスの影響もあり、浪江町にある「なみえ創成小学校・中学校」も、いまは臨時休校です。もともと中学校があったところを改修して、小学校を同じ敷地内につくったということです。グラウンドが全面人工芝で、ふかふかしています。素晴らしい環境で学んでいるようなのですが、この小学校をつくることに携わった、浪江町役場産業振興課の吉田奈津子さんに伺いました。
吉田)ここが創成小学校です。
飯田)素晴らしいですね。
吉田)全面人工芝で。
飯田)すごいですね、この運動場は。羨ましいな。
吉田)奥にある木造の建物が子ども園になります。もともとここが中学校で、全面リフォームしました。
飯田)建物自体は中学校のもの。
吉田)そうです。ちなみに、私の母校でした。
飯田)そうなのですか。
帰還のキーとなる小中学校の整備
飯田)いろいろな被災地を取材して、特に町の方々が避難したというところが浜通りです。帰還した住民の方に話を聞いても、「高齢の夫婦は戻って来る」とおっしゃいます。その人たちに聞くと、「息子夫婦は学校がないと子どもが戻れない」という声をよく聞きます。小中学校を整備するということはキーになります。しかも2018年4月に開校していますから、4月の入学式を2018年、2019年の2回しか行っていません。町の復興には学校が必要だという、町の人の認識があるようです。4月の年度替わりで学校に上がる、1学年上がるというときが、いちばん引っ越しやすいタイミングですよね。
高橋)いまがその時期ですね。
飯田)3月に統計を取って、2月の数字が新聞に出ますが、これに4月の数字を足すとだいぶ風景が変わると思います。
研究所をつくると研究者の家族もやって来る
高橋)学校もそうですが、研究所のようなところがつくれると、研究者と一緒に家族も行くことになります。そういった研究所とも連携して行くと、だんだん大きくなって産業ができ、ベンチャーもできます。そういう好循環をつくって欲しいですね。
飯田)浪江町の棚塩産業団地というところも、実は一角1.6ヘクタールほど空いている土地がありまして、ここは絶賛企業誘致活動中ということです。まさに研究開発のイノベーションの企業、若い人たちを呼びたいと言っていました。
高橋)研究所があると、その周りに企業が来るというパターンがあるのです。
飯田)昔は大きな工場を誘致して、その循環を生むようなことがありましたが、いまはどちらかと言うと技術開発や研究の部分ですね。
高橋)そこに企業が集まって来るというのが、自然なような気がします。
浪江町のこれから
飯田)浪江町のこれからについて、浪江町産業振興課課長の磯貝智也さんに伺いました。
磯貝)普通の日常が普通に営まれる。普通ですよ。何も特殊なことはなく、住んでいて不便なこともありません。だいたい手の届く範囲に学校もあるし、買い物もできます。他の地域と比べて、浪江町が特に不便だという感覚はありません。
飯田)その上、産業団地を見ると、未来に向けての取り組みがされています。子どもたちが見ていても、わくわくするものがあるのではないでしょうか。
磯貝)いま住んでいる人口で何%と考えると、小さいように思えますが、平成29年3月31日に避難指示解除になって、その4月の最初は100人に満たないくらいでした。そこから考えると、3年で10倍以上の人口が増えています。これだけ伸びているエリアは、日本全国どこにもありません。明るく考えることが大事だと思います。いろいろな新しいことがここで起きていて、それに自分も携われるという明るい話題を提供できればいいのではないかと思います。
飯田)ここで育った子どもたちが、そういう研究開発や未来の技術を目の当たりにして、そこに就職するような循環をつくりたい、そういう可能性を秘めているのだと力強く語ってくださいました。さらにイベントとしては、4月18日~19日に楢葉町のJヴィレッジで、楢葉、浪江、広野合同の「ももクロ春の一大事2020」があるということで、準備もされています。この町はいろいろ仕掛けているな、という感じがありました。この大きなイベントにみなさんが来て、食べてという復興の応援も大事です。普通の生活が戻って来ています。
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