森永卓郎が解説~コロナ不況の原因は行き過ぎたグローバル化にあり
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年5月27日 17時40分
![森永卓郎が解説~コロナ不況の原因は行き過ぎたグローバル化にあり](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/nipponhoso/nipponhoso_226412_0-small.jpg)
「垣花正 あなたとハッピー!」(5月27日放送)に経済アナリストの森永卓郎が出演。コロナ不況の原因は「行き過ぎたグローバル化にある」という持論を展開した。
![](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2020/05/jpp033671831RS.jpg)
羽田空港国際線の検疫所で、新型肺炎への注意を呼びかける貼り紙=2020年1月16日、東京都大田区 写真提供:時事通信社
戦後最大の不況が訪れる~グローバル資本主義による影響
新型コロナウイルスの感染拡大で世界が大不況に陥っています。おそらく戦後最大の不況が訪れて、いまの状況だと今後数年は続くだろうと言われています。もちろん、新型コロナがきっかけではありますが、この大きな不況のもう1つの原因は、ベルリンの壁の崩壊以降、この30年間、世界中を席巻して来たグローバル資本主義が与えた影響ではないかと考えています。
![](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2020/05/jpp033713260RS.jpg)
2020年1月20日、中国湖北省武漢で肺炎の発生の原因として特定されたコロナウイルスの発生源とみられ閉鎖された華南海鮮卸売市場近くのバス停留所で待機しているマスク着用の中国人居住者 EPA=時事 写真提供:時事通信社
30年前であればこれほど早く世界中に拡がることはなかった
なぜ、世界中に新型コロナウイルスが感染拡大したのか。発生源についてはいろいろありますが、最初に大量発生したのは中国の武漢でした。これが30年前の人の移動であれば、世界中にこれほど早く拡がることはなかったと思います。武漢との直行便はなかったですし、極論を言うと、武漢の風土病で終わっていた可能性も高いと思います。いまはとてつもない人が世界中で動き回っているので、どこかでウイルスが発生すると、あっという間に世界中に拡がるということが今回わかりました。
![](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2020/05/jpp034243187-2-2.jpg)
新型肺炎/テドロスWHO事務局長がパンデミック宣言=2020年3月11日 写真提供:時事通信
サプライチェーンというグローバル主義の問題点
グローバル資本主義の2つ目の問題点は、サプライチェーンという問題です。これは短期間で終わりましたが、車メーカーが中国から部品が入って来ないので、車が組み立てられなくて工場が止まりました。家を建てているところも、システムキッチンやトイレが中国製で入らず、家ができているのにお客様に引き渡せないという事態が起こりました。いま慢性的にマスクが足りないのも、日本のマスクの8割が海外生産に依存していたからです。経済産業省は先日、製造業全体で国内回帰を考えた方がいいのではないかという方針を打ち出しました。いままでと真逆です。世界で安いところに大量発注して大量生産させる。例えば私が履いているジーンズは980円ですが、なぜそれができるかというと、国際流通資本が大量発注して、買い叩いて安い値段でつくっているからです。
![](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2020/05/10000000000000066583_20200331113456092469_P200328000268-2.jpg)
閑散とする羽田空港国際線の出発ロビー=2020年3月28日午後、東京都大田区 写真提供:産経新聞社
グローバル資本主義の最大の弊害は「大都市集中」
もう1つのグローバル資本主義の最大の弊害は、大都市集中です。24年間連続で東京圏への人口流入が続いています。これはグローバル資本主義が広がった時期と合います。なぜ大都市の1人勝ちになってしまうかと言うと、経済の中心が金融にあるからです。世界には無数の都市がありますが、国際金融センターと言われているところがニューヨークやロンドン、東京、上海などせいぜい10都市くらいしかありません。なぜ一極集中するかは謎だと言われていますが、東京都の平均所得が高いことの、いちばん大きな原因は株式の譲渡益です。株で儲けている人がたくさんいて、その人たちがお金を使うから東京が栄えるという構造になっています。その結果、家賃が高くなるし、物価も高くなるのです。その高い生活コストをまかなうために、金融で儲けていない人は必死で働かなければいけないのです。それを新型コロナウイルスは直撃しました。大都市は3密の塊です。そこも新型コロナウイルスがグローバル資本主義、行き過ぎたものの矛盾を露呈したということです。
ガンディーの経済学
私はこれを見直した方がいいと思います。ガンディーの経済学、隣人の原理と言うものがあります。近くの人がつくった食べ物を食べて、近くの人がつくった服を着て、近くの大工さんが建てた家に住むという、地産地消で小さな経済単位を無数につくって行く。富山県は、お団子と串の都市構造にするということを始めました。串は富山駅から出る鉄道路線です。中心部からの鉄道沿線に小さなお団子型の経済の集団、地域をつくって行こうということです。そのなかで支え合う都市づくりがいちばんいいのではないかということです。
![](https://news.1242.com/wp-content/uploads/2020/05/10000000000000067576_20200512124838069976_P200512000046-2-6.jpg)
【新型コロナウイルス 通勤風景】桃山台駅付近で渋滞する新御堂筋(左側の車線が大阪市内向き)=2020年5月11日午前、大阪府吹田市 写真提供:産経新聞社
新型コロナによるライフスタイルの変化~テレワークの普及で都心に住まなくてもいい
新型コロナによって、私は今後のライフスタイルが変わって行くのではないかと思います。去年(2019年)不動産業者の人と話していたら、いま家を売るには、「東京都区内で駅から10分以内の物件でなければすぐ売れない」ということです。圧倒的需要はそこにあると言います。みんな電車に乗って都心の会社に通勤しなければいけないからです。でも、このままテレワークが進んだら駅から遠くてもいいわけです。ライフスタイルの大革命が起こるのではないでしょうか。そうなれば満員電車にも乗らなくていいのです。
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
サプライチェーンが持つ脆弱性の打開のカギは企業幹部の「インセンティブ改革」にあり
ニューズウィーク日本版 / 2024年7月3日 15時56分
-
コロナ回復顕著、地価上昇強まる=インバウンド増など反映―路線価
時事通信 / 2024年7月1日 11時10分
-
米中新冷戦が猛烈な日本買いを引き起こす…エミン・ユルマズ「日本が再び経済成長期を迎えるこれだけの理由」
プレジデントオンライン / 2024年6月21日 18時15分
-
「小学校の昼休み有料化」も登場…景気悪化の中国で流行する「罰金経済」という信じられない風潮
プレジデントオンライン / 2024年6月13日 8時15分
-
中国、住宅購入で「戸籍」も取得…地方で増す不動産不況への危機感
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月10日 7時0分
ランキング
-
1鹿児島県警の野川明輝本部長を不起訴…不祥事の隠蔽疑惑で刑事告発
読売新聞 / 2024年7月5日 22時42分
-
2生活「苦しい」6割=平均所得3.9%減―厚労省
時事通信 / 2024年7月5日 19時33分
-
3【速報】小学生が水泳授業で溺れる 意識不明の状態で搬送 高知市
ABCニュース / 2024年7月5日 19時55分
-
4都知事選ポスターに粘着テープ貼る 容疑の31歳男逮捕 現場で同様の損壊相次ぐ
産経ニュース / 2024年7月5日 18時12分
-
5「男性の心をもてあそんだ」紀州のドン・ファン元妻に懲役4年6か月求刑 被告「明らかに一部がうそ。見落とさず判決を下してほしい」 詐欺事件の裁判
MBSニュース / 2024年7月5日 18時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)