「日本が米英らの中国批判声明に参加を打診された事実はない」青山繁晴が解説
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年6月12日 17時40分
28日、台北中心部にある香港政府の出先機関前で、国家安全法の香港導入に抗議する香港と台湾の学生ら
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月12日放送)に自由民主党参議院議員の青山繁晴が出演。米英ら4ヵ国が国家安全法制導入をめぐって、中国を批判する共同声明への参加を日本が拒否したという共同通信が配信した記事について解説した。
「米英らの中国批判の共同声明への参加を日本が拒否」という共同通信社の記事
共同通信が6日にワシントン発で配信した、中国による香港への国家安全法に関わる記事が物議を醸している。この記事は欧米諸国による中国批判の共同声明に対して、日本政府が参加を拒否し、各国を失望させたという内容であった。
飯田)欧米との間で、日本との亀裂を生じさせるようなことがあったのかと。青山さんのブログにも、この記事にはいろいろな動きがあったのだと書かれていました。
日本が米英ら4ヵ国の共同声明に参加を打診された事実はない
青山)ブログに克明に事実関係を記したのですけれども、中国の全人代で5月28日に、香港の一国二制度を亡きものにしてしまうような国家安全法制の導入を決めました。その国家安全法制に対してのものですが、実はその6日前の5月22日に動きがあったのです。結論から言うと、共同通信の記事には、「米英らの共同声明に日本政府も参加を打診された」とありますが、されていません。打診されていないから、拒否するもしないもないのです。
イギリス大使館の人間が外務省の局長級と会ったが共同声明への参加要求はなかった
青山)東京のイギリス大使館から偉い人が来て、外務省の局長級と会った。ファイブアイズというアングロサクソン系の英語圏の米、英、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、こういう国々で情報交換をしているわけですけれども、「そこで共同声明を出すのですよね」ということだけで、中身に言及はなかった。「出すのですよね」と言っただけで、「そこに参加してくれ」という話ではなかったのです。中国の香港に対する姿勢について、もともと香港はイギリス領でしたから、「厳しく向かい合って、そこは連携して行きましょう」という話はあったけれども、「ファイブアイズの声明に入ってくれ」ということではなかった。日本はすでに「ファイブアイズのことには簡単に乗らない」という姿勢が、英国にもアメリカにも伝わっていたし、これについては「G7でやりましょう」という意思が安倍総理から出されていました。駐英大使館は日本のことはわかっていますから、声明に入ってくれとは言っていない。
英国としての共同声明の原案がメールで送られて来た~担当者捕まらず確認できず
青山)その後、アメリカや他の国からも接触はなく、5月28日にこういうことを中国がやるとわかっている前日の27日になって、英国大使館の事務方の担当官から、英国としての共同声明の原案をメールで送って来た。メールで中身が来ただけで、参加してくれということではなかった。さすがに日本政府は困って、大使館側に問い合わせたけれども、担当官が捕まらない。捕まらないのでイギリスの外務省の本省に聞いたのです。
飯田)ロンドンに聞いたということですか?
青山)はい。そうしたら、それは東京の大使館に聞いてくださいと言われた。
飯田)戻って来てしまったのですね。
青山)そして打診がないまま28日になってしまって、日本は予定通り、決まってからわずか数分後に官房長官の会見で深い憂慮……世界に出て行った原文では“serious concern~深い憂慮“ですが、本当は深刻な憂慮という意味です。それを入れて、外務報道官談話というものを英文、和文共に日本は出した。それから数時間遅れて、5月28日の夜中になってからファイブアイズの共同声明が出たので、日本の方が先に出している上に、ファイブアイズの方は“deep concern”だった。深い憂慮という意味は同じだけれど、ニュアンスはやや弱い。したがって、日本の方が先行してやや厳しい表現であることから、米英からはむしろ「日本は中国に対してしっかりとやっている」という評価になっているので、記事は真逆です。
憶測で書かれた記事
青山)記事がワシントン発になっているというのは、僕が情報を確認した上で言うと、おそらくアメリカ側の雑談ベースの話です。それが突然、記事では「公式に日本政府は参加を打診されたのに日本は拒否して、それは習近平国家主席を国賓で日本に呼びたいからだ」という憶測が書いてあるのですが、習近平さんの国賓問題も、僕ら「日本の尊厳と国益を護る会」は反対していて、事実上は白紙になっているのです。この記事は中国の願望を書いているような記事になってしまっている。僕は19年近く共同通信で育てていただいて、その恩義を生涯忘れることはないからこそ、本来の共同通信に戻って欲しいのです。中国にいま、共同通信は4支局も持っています。その存続を考えてのことかも知れませんが、本来の立ち位置に戻ってほしいという願いを込めて、いま申し上げたわけです。
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