高見沢俊彦、自著小説『秘める恋、守る愛』を語る~男は過去を引きずるもの
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年7月29日 8時10分
黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)にTHE ALFEEの高見沢俊彦が出演。2冊目の小説となる『秘める恋、守る愛』について語った。
黒木)今週のゲストはTHE ALFEEの高見沢俊彦さんです。2冊目となる小説『秘める恋、守る愛』について伺います。少し愛が薄れた夫婦、倦怠期を通り越してリタイアの前くらいでしょうか。そんな話も弾まない2人が、娘に会おうとミュンヘンに行く。
高見沢)すれ違いだらけの夫婦が、娘の帰国を促すために行くのです。
黒木)家族3人がいろいろなものを背負い、人には言えない自分の何かを持っていて、それを話すべきかという心の葛藤がある。最終的には結論が出るのですが、主人公の直樹さんが、実は学生のころの恋人だったドイツ人のアンナさんのことを、ずっと胸に秘めている。
高見沢)そうですね。胸に秘めていたわけではなく、ミュンヘンに着いた瞬間に思い出す。封印していたものが、ある瞬間にあふれ出したのです。
黒木)何十年も前に恋人だった人を、なぜ急に思い出すのですか?
高見沢)男って、そういう過去を引きずりますよね。
黒木)男の人はこんなに思い出すのですね。
高見沢)僕は思い出しませんよ。
黒木)そうですか?
高見沢)あくまで、男性の大多数はこう思っているのではないかということを書いています。
黒木)キャラクターをつくって行く上で、この人にはこんなキャラクターということですか?
高見沢)僕もある程度プロットをつくるのですが、即興で書き進めることが多いのです。最初に小説を書き始めたときに、編集の方が「書いていると物語と人物が動いて行きますよ」と言ったのです。そのときは意味がわかりませんでしたが、書いて行くうちにわかりました。大して重要な人物ではなかったのに、だんだん重要になって来て、会話や設定が進むうちに人物設定が明確になって行くのが面白かったです。
黒木)ある程度の起承転結を考えてから書き始めるのですか?
高見沢)いいえ、今回は考えていませんでした。終わりをどうしようかと、ずっと悩んでいました。
黒木)最初の飛行機内だけですか?
高見沢)そうです。最初も1人で行く設定で書いていましたが、おかしいなと思い、横に奥さんがいた方がいいとなりました。
黒木)急に登場しますよね。
高見沢)有希恵さんが。
黒木)「いたんだ」という作戦かなと思いました。
高見沢)途中で登場させました。
黒木)キャラクターがしっかりしているので、楽しく読ませていただきました。
高見沢)音楽も同じで、イントロや間奏もつくるのですが、メロディーやサビをその場で、またはレコーディングした後で変える場合が多くあります。僕の場合、変えることが多いです。だから小説もそういう感じでつくっているのだと思います。
黒木)家族の話ではあるけれども、人それぞれが秘める恋、守る愛があるわけですね。
高見沢)人間はお互い、どこまで理解できるかですよね。夫婦でも親子でも。
黒木)どこまで言っていいものかとか。
高見沢)自分なりに線を引いたり、踏み出したりするではないですか。そこが人間は面白いですよね。
黒木)有希恵さんもずるいですよね。自分だけ告白して。そこに人間味があるというか、それぞれのキャラクターが活きています。
高見沢)ありがとうございます。
黒木)一気に読みました、止まりませんでした。
高見沢俊彦(たかみざわ・としひこ)/ミュージシャン
■1973年、明治学院大学キャンパスにて結成されたTHE ALFEEのリーダー。楽曲のほとんどを手掛ける。(高見沢俊彦/桜井賢/坂崎幸之助)
■1983年、シングル『メリーアン』がヒットして以降、現在に至るまで日本の音楽シーンを代表するバンドとして活躍。
■コンサート通算本数は日本のバンドとして最多の2700本を超え、現在も更新中。
■ソロ活動や楽曲提供、ラジオ番組などでも幅広く活動。
■2018年には『音叉(おんさ)』で作家デビューを果たす。
■2020年4月、小説第2弾として『秘める恋、守る愛』を出版。
<*2018年12月から「オール讀物」(文藝春秋刊)で連載>
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