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新型コロナ感染再拡大を招いた東京都の政策ミス

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年8月3日 17時50分

新型コロナ感染再拡大を招いた東京都の政策ミス

定例会見する小池百合子東京都知事=3日午後、東京都新宿区

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月3日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。コロナウイルス感染対策において、有識者による分科会の分析や提言を疎かにして来た政府と東京都の実態について解説した。

定例会見する小池百合子東京都知事=2020年7月3日午後、東京都新宿区 写真提供:産経新聞社

お盆の帰省、今週にも分科会で制限を検討へ

新型コロナウイルス対策をめぐり、西村経済再生担当大臣は8月2日の記者会見で「お盆の帰省によって高齢者に感染が拡がりかねない」として、今週にも政府の分科会を開き、帰省の際の注意点などについて専門家に意見を求める考えを示した。

飯田)有識者による新型コロナウイルス感染症対策分科会は、7日に開かれる方向で調整しているということです。

京都・ドライブスルー方式PCR検査デモ PCR検査に用いる綿棒状の検査器具=2020年4月27日午後、京都市中京区 写真提供:産経新聞社

7月9日時点で東京都の実効再生産数が1.17に推移していることを分科会が公表していた

須田)この分科会についてですが、専門家会議が解散されて、新たに編成された専門家による機関です。最近になってようやくクローズアップされていますが、これまでも提言や現状分析を発表しているのですけれど、政府も無関心だったし、メディアもほとんど取り上げませんでした。ここに来て起こっている状況は、7月22日、分科会が「直近の感染状況等の分析と評価」というタイトルで、データ等を含めて公表しているのです。それを見て驚いたのですが、7月9日時点で、東京の実効再生産数が1.17に推移していたのです。実効再生産数が1を超えると、感染が拡大して行くということが明らかであるとすれば、この7月9日時点で1.17という数字が出て来たということは、政府も真剣に受け止めて対策を打っておくべきだったのではないかと思います。その反省もあるのかはわかりませんが、ようやく分科会の動きが注目されています。

【新型コロナ 帰宅ラッシュ】家路を急ぐ人たちなどで込み合う新宿駅周辺=2020年6月24日午後、東京都新宿区 写真提供:産経新聞社

飲み会で感染者数増が続いているという指摘について、東京都が対応しなかった

須田)実はそのなかで指摘していたことは、いまから考えると正しかったということです。新規感染者数の動向について、7月22日時点で、東京都では接客を伴う飲食店や友人知人との飲み会などにおいて、若年層を中心とした感染者の増加が続いているけれど、その他の年代の感染者数も増加傾向にあるということです。最近になって、医療関係者が「エピセンター」という言葉を使っているのですが、感染の震源地を抑えるべきだという指摘をしています。それは新宿や池袋など、夜の街関連の接待を伴う飲食店ということでしたが、それに対する対応が、相当遅れたのではないでしょうか。現在は緊急事態宣言が出ていませんから、これはあくまでも自治体としての東京都がやるべき政策です。それをやって来なかったということが1つ挙げられます。

新型コロナ新規感染者238人 感染拡大警報の状況 予防・対策を呼び掛け 記者会見する、東京都の小池百合子知事=2020年7月22日午後、東京都新宿区の都庁 写真提供:産経新聞社

財源がなく、東京都医師会の提言する「法的拘束力ある休業要請」ができない東京都

須田)そしてもう1点、エピセンターを潰すにはどうしたらいいか。7月30日に東京都医師会が記者会見を開いて、こういう言い方をしています。「感染の震源地に対する施策として、法的拘束力を持った補償を伴う休業要請を」、「地域や期間を限定して、休業期間は14日程度設けるべきだ」という要請をしているのです。しかし、東京都は何をやったかというと、「東京都全域に飲食店の営業規制要請をかける」と。そうではないのです。三多摩も含めてやる必要性が果たしてあったのかどうかという問題を考えると、感染の震源地を抑えるために、会食に対して注意警戒を呼び掛けて行く必要があったのに、2020年春時点の対応に終始している。補償という点で東京都には財源がないので、動くに動けないのです。国が持っている10兆円の予備費から出して欲しいという要請をしていますが、これでいいのだろうかという問題があるのだろうと思います。

飯田)行政としては公平性を重んじるようなところで、全域でということになってしまうのですか?

須田)いや、それで公平公正さを求める必要があるのかどうか。

飯田)感染症を前にして。しかもエピセンター、感染の中心地がどこなのか、大体わかっているというなかで。

須田)そうですね。ただ、それがすでに留まらなくなって来たのです。7月22日時点であれば、まだ手を打つことができたのだけれども、ここへ来て夜の街から一般の方へ、どんどん拡大しているのが実態です。

飯田)そうですね。いま統計を取ると、夜の街よりも家のなかで感染したという方が、率としては増えていますね。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

ホテルを借り続けなかった東京都の判断ミス~無症状感染者のホテル不足

須田)もう1つ、家のなかでの感染という点でいうと、無症状感染者に対する14日間の待機がありますが、東京都の政策上のミスによって、ホテルの客室数が足りないのです。確保しているホテルの客室数が、7月に入って激減しています。それが家庭での感染に拡大してしまったのではないでしょうか。それとの関連がどうなっているのか。

飯田)先週の頭くらいに、ようやくホテルを3つ増やしてということでしたが、「それまでの間はどうしていたのか」ということですね。

須田)これについては政府も相当心配していて、菅官房長官は「国が金を出すから借り続けろ」と言っていたのに、東京都は聞く耳を持たなかったという状況があったのです。そのミスをいまから追及しても遅いのだけれども、やるべきことをやって来なかったことが、現在の状況を招いているのだから、いち早く分科会の提言を聞いて、やるべきことをスピーディーにやって欲しいと思います。

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