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民放にはできない“客観的中立報道”が成り立つ貴重なNHKの価値

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年8月5日 17時35分

民放にはできない“客観的中立報道”が成り立つ貴重なNHKの価値

NHKの社旗と日の丸=27日午後、東京都渋谷区

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月5日放送)にジャーナリストの佐々木俊尚が出演。中期経営計画案を発表したNHKについて解説した。

NHKの社旗と日の丸=2020年1月27日午後、東京都渋谷区 写真提供:産経新聞社

NHK中期経営計画案

NHKは8月4日、2021年度から2023年度までの中期経営計画案を発表した。計画案では、AMラジオや衛星放送のチャンネル削減が盛り込まれたが、新たな受信料の値下げについては盛り込まれなかった。

飯田)来年度(2021年)から3年間の経営計画案ですが、スリムで強靭なNHKを目指すということです。

丁寧に時間をかけて質の高い番組づくりをしているNHK

佐々木)チャンネルが多いですからね。衛星放送だけでも4つあります。そのなかのBS1とBSプレミアムを一本化することなどが検討されているようです。NHKはよく政権との距離の問題なども取り沙汰されますが、質の高い番組であることは間違いありません。番組づくりに時間をかけています。私はEテレの「世界にいいね!つぶやき英語」に3年ほどレギュラーで出ています。30分の番組なのですが、朝10時半に局に入り、収録が終わるのは夕方4時です。

飯田)1本で?

佐々木)1本です。リハーサルをやって、その後に打ち合わせを3回くらいします。

飯田)うちの会社だと、30分でやりますよ。

佐々木)民放でも1時間です。

飯田)テレビだと、リハーサルもありますからね。

佐々木)時間をかけることがいいことなのかはわかりませんが、そのくらい丁寧にやっているのは間違いありません。そういうところが「NHKスペシャル」とか、「クローズアップ現代」の質の高さになっています。いまの時代に、そこまで時間をかけて丁寧につくっているテレビ局が他にないことを考えると、その貴重さを大事にした方がいいと思います。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

新聞は読者をつなぎ止めるためにイデオロギー色を鮮明にせざるを得ない

佐々木)近年、マスメディアは政治的な立ち位置の問題が重要になっています。「客観的中立報道」と、テレビもラジオも新聞も言って来ました。90年代くらいまではそうでした。ところが、特に新聞などは、ものすごい勢いで部数が減っています。全体で4000万部ほどに減少していて、読売新聞1つがなくなったくらい減っています。かつて1000万部だった読売新聞も800万部ほどになり、朝日新聞は800万部から500万部代に減少しています。毎日新聞は一時500万部くらいあったのに、300万部と半減ぐらいになってしまっています。そうなると、現状いる読者を引き留めるために、どんどん旗幟鮮明になって行きます。東京新聞が典型で、昔は名古屋の中日新聞社の系列紙としてイデオロギー的なものはなく、東京ローカルの感じのいい新聞でしたが、いまやゴリゴリの左翼新聞です。産経も普通の新聞でしたが、かなり右派的な色が強くなっています。現状の読者をつなぎ止めようとすると、イデオロギー色を鮮明にした方がありがたがられます。中道的にすると売れなくなってしまうという問題が起きるのです。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

男性週刊誌が「死に方特集」や「病気特集」を組む理由

佐々木)同じことがあらゆるところで起きていて、雑誌もそうです。週刊誌は、昔は「週刊ポスト」や「週刊現代」は50万部、「週刊文春」は80万部くらい売れていました。それが売れなくなって来て、若者向けに何度もリニューアルした結果、固定読者であった高齢読者がいなくなってしまった。リニューアルして若者が買うかというと、買いません。そこでまた高齢者向けにシフトすることにより、週刊誌でなぜか死に方特集や病気特集が頻繁に組まれるという状況です。どんどん現状の読者、視聴者に合わせて偏るということが起きます。これはオールドメディアのように、広告や販売という収益モデルをやっていると避けられません。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

不偏不党、客観的中立報道が成り立つ貴重なNHKの価値

佐々木)NHKは非営利で、受信料だけでやっています。毎月3000円を取られて、怒っている人がたくさんいるのはわかります。だから「NHKから国民を守る党」が躍進したりするわけです。一方で、いまとなっては貴重な不偏不党、客観的中立報道が曲がりなりに、ある程度成立する価値は認めなければいけないと思います。

飯田)批判する人は、「NHKは偏っている」と言いますが。

佐々木)よく見ると、NHKは右からも左からも怒られています。両方から怒られているということは、実は中立なのです。

飯田)まだ案ということですので、今後どうなるかはわかりません。コストの削減をみずほ銀行出身の会長がやろうとしているところで、現場との軋轢もあるようです。

佐々木)無駄なコストも多いと思いますが、変にコストを削減してしまうと、日本の産業界のようになってしまいます。クオリティを保つために、ある程度は無駄なコストも許容しなければいけないということは、失われた30年間で我々が学んだことの1つだと考えて欲しいです。

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