麦茶の在庫がなくなった10年前~その意外な理由
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年8月14日 8時10分
黒木瞳がパーソナリティを務める番組「あさナビ」(ニッポン放送)に麦茶のスペシャリスト、三栄興産株式会社・代表取締役社長の緒方哲哉が出演。3代目社長としての今後の意気込みを語った。
黒木)今週のゲストは麦茶のスペシャリスト、三栄興産株式会社・代表取締役社長の緒方哲哉さんです。緒方さんは、昭和40年から佐賀県で麦茶の焙煎を手掛けている、三栄興産の3代目の社長です。社長になられて6年ほど経っていますけれども、老舗を受け継ぐということはどうですか?
緒方)入社する前に親父から、中途半端な気持ちなら帰って来るな、お客様や従業員に申し訳ないと言われました。「会社と心中する決心がついたら帰って来い」と言い渡され、そのときに決心して入社した次第です。
黒木)それまでは福岡の久留米で働いていらして、25歳のときにご実家に戻られたと。
緒方)そうですね。
黒木)もちろん、会社と心中する覚悟がないといけませんけれど、不安はありませんでしたか?
緒方)不安というか、どちらかと言えば「ノー」とか、マイナスなことは言わないでおこうと。とにかくチャレンジして、前に行くだけだと思って取り組んで来ました。
黒木)つまずいたことや、立ち直れなかったこともありましたか?
緒方)10年くらい前に、嬉しい話ではあるのですが、麦茶が売れすぎて品切れしそうになったことがありました。そのころ私は、日本国内の都市部を中心に回っていたのですが、あるとき親父から電話がかかって来て、「もう売るな、麦茶がないぞ」と言われ、ピンチになったことがあります。
黒木)そのときは何かあったのですか?
緒方)ちょうど10年くらい前に、食品である穀物がバイオエタノールなどの投資に使われてしまって、海外産の原料が急激に跳ね上がったことがあったのです。そこで、日本の原料へと需要が急激にシフトして、うちも品切れとなり、従来から買ってくださっているお客様にご迷惑をおかけしそうになった最大のピンチがありました。
黒木)売れすぎてピンチ。
緒方)はい。やはり、お客様に届けることができないというのは、いちばん信用を失ってしまうのですね。いまでも忘れられないですし、それを教訓に、例えばたくさんしまえるような倉庫に投資をしたり、いろいろな対策を打って来ました。
黒木)佐賀で大切に育てた二条大麦で、麦茶をつくっていらっしゃるということですけれども、1965年創業ということは、かれこれ何年ですか?
緒方)55年になりますね。
黒木)味は変わらず守り続けていらっしゃるのですか?
緒方)どこの会社も、のれんと味というものがあると思いますが、商品とサービスがあって初めて、その会社の価値だと思うのです。ですから、3代目のボンクラがマイナス評価を出してしまわないように、私は頑張らなくてはいけないと思っています。
黒木)今後、麦茶を世界の麦茶にして行こうと、前に前にと進んでいらっしゃいますが、そのために必要なことは何だと思われますか?
緒方)麦茶の魅力が相手に伝わるまで、言い続けることだと思っています。日本には麦茶という素晴らしい飲み物があると、それが伝わるまでやり続けたいと思っています。
黒木)これからも日本の人たちだけでなく、世界中の人たちに日本の麦茶を飲んでいただくために、日々頑張っていらっしゃるわけですけれども、やはり飲んでいただきたいですね。
緒方)たくさんの方に喉を潤していただきたいです。
緒方哲哉(おがた・てつや)/三栄興産株式会社 代表取締役社長
<三栄興産株式会社>
■1965年創業。自社焙煎の麦茶を国内販売する焙煎工場として発足。
■佐賀県は国内有数の大麦の産地。麦茶の原材料となる二条大麦の生産量は日本一。
■以来、佐賀県で麦茶本来の美味しさと香ばしさを追求。
■2010年ごろから麦茶の海外への輸出を開始。当初の輸出先は香港とハワイ。
■現在の輸出先は15の国と地域。中国、香港、台湾、マカオ、ベトナム、マレーシア、タイ、シンガポール、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、ポーランド、スペイン、ロシア。海外での売り上げは全体の1割。健康志向を追い風に海外販路を拡大。
■麦茶の他にも、緑茶と相性の良い玄米茶の素、自然の野草を火入れ加工して仕上げる健康茶、厳選して仕上げる中国茶など、紅茶以外の茶色いお茶を取り扱っている。
■緒方哲哉さんは3代目社長。2014年に就任。
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