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香港民主派メディア王・黎智英氏、中国本土へ身柄移送の可能性~次は外国メディアが標的か

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年8月15日 11時45分

香港民主派メディア王・黎智英氏、中国本土へ身柄移送の可能性~次は外国メディアが標的か

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月14日放送)に外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。香港メディアが国家安全維持法違反の容疑で逮捕、保釈された黎智英氏が中国本土への身柄移送の可能性があることを報じたニュースについて解説した。

香港メディア「明報」が識者の見方を報道

香港国家安全維持法違反の容疑で逮捕、保釈された香港紙「蘋果(ひんか)日報」の創業者、黎智英(ジミー・ライ)氏をめぐって、地元のメディア「明報」は8月13日、法律の施行後最大の事件であり、中国政府直轄の治安機関「国家安全維持公署」が捜査に乗り出す可能性があるという識者の見方を伝えた。その場合、中国本土に黎智英氏が移送される可能性もある。

飯田)地元香港の中国系メディアが、これをしきりに報じていますが。

台湾でも活動している黎智英氏~海外への適応もある国家安全維持法

宮家)国家安全維持法が出たときに、私は香港の「終わりの始まりです」と言いましたが、実際は「終わりの始まり」ではなく、終わりはすぐに来てしまいましたね。あれから1ヵ月が経って中国は、ついに本丸である、真の目標の1人である人物を取りに来た感じがします。黎智英さんという人は、もともと実業家です。アパレルブランドを立ち上げて、相当儲けた。ところが1989年のいわゆる天安門事件を見て、彼はいい意味でも悪い意味でも、政治に目覚めてしまうわけです。そして、アダムとイブの原罪のリンゴを念頭に、リンゴ新聞(蘋果日報)を創業し、台湾でも活動しています。中国・北京からすると、とんでもない人だったに違いないのです。残念ながら、この香港の民主主義にとって象徴的な新聞社の取り潰しが、これから始まるのだろうと思います。どれだけ我々が支援できるか、頑張れるか。あまり余計なことを言うと、国家安全維持法違反になってしまうから、関係者は大変なのですけれども。

飯田)あれは海外への適用もあるという、とんでもないものですよね。

宮家)国外犯という制度自体は、日本を含め世界にはいくらでもあるのですよ。しかし、彼らは本当に国外にいる人でも適用して、特に中国の人であれば、相当な圧力をかけて弾圧します。その次は外国人だろうと思います。

飯田)そうですよね。今回、黎智英さんの秘書の人が指名手配されているようですが、完全な外国人で、香港にルーツのない人だそうです。

宮家)彼らは見境なくやるでしょうね。しかし、それが本当に香港の人たちにとって良いのかどうかと言うと、良い訳はないのだけれども、もう中国にはルビコン川を渡られてしまいました。口だけで精神的な支援をするのは簡単ですが、それ以上のことをやった場合は大変です。昔だったらそこまでできなかったことが、新しい法律によって中国はできるようになりました。だから、香港に対してはみんな慎重に支援しなくてはいけないと思います。

4日夜、香港島中心部の公園で敢行された天安門事件31年の追悼集会=2020年6月4日 写真提供:時事通信

次は外国メディアが標的になる~香港支局は北京支局と同じ環境に

飯田)黎智英さんの逮捕は、日本国内でも大きく報道されています。そこでいろいろな新聞が指摘しているのは、次は外国メディアが標的になるのではないかということです。

宮家)もちろんそうです。まず、アメリカのメディアから始めるだろうと思います。香港は高度の自治という特別な地位がなくなって、中国本土の豊かな1つのローカル都市になって行くでしょう。特に治安面では間違いなくそうなって行く。そうした過程が、非常に早い速度で起きているということだと思います。

飯田)そうすると、外国メディアにとっても香港支局は、北京支局と同じ環境になるのですね。

宮家)そうですね。少なくとも同じ心構えでいないといけません、いままでのような活動はできなくなる可能性があります。もうすでにできないでしょうけれども。

飯田)そうすると取材活動も含めて、相当な制約がかかる。なかの様子が見えづらくなるということですか?

中国を支援する国も少なくない~EUは厳しい対応に向かっている

宮家)それが彼ら北京政府の目的ですから。イギリスとの共同宣言の完全な違反であり、国際法違反なのですが、それをなかなか止めさせられないということです。面白いことに、諸外国の中には、中国の巻き返しがあったからか、中国を支援する国も少なくないのです。中国に対して厳しいことを言っているのは、旧英連邦のようなアメリカとカナダとイギリスとオーストラリア、ニュージーランドは入っていないのですが、いわゆるファイブ・アイズの世界ですね。日本はどうかと言うと、「重大な懸念」までは言うのですが、英米豪加との連名ではやりませんでした。それはそうでしょう。日中は距離が近いですから、他国とは違う対応があってもいいと思います。いずれにせよ、中国も巻き返しを図っているのですが、「文句を言っているのはアメリカやイギリスなど、英語を話せる連中ばかりではないか」ということで、黙殺しているのでしょう。

飯田)大陸、ヨーロッパの国々はあまり言わないというか。

宮家)微妙に温度差があると思います。しかしEUとしても、中国に対し厳しい対応をとることは方向性として決まっていますから、いずれそうなって来るとは思いますが、恐らく英語圏の国々とは違う対応になると思います。

 

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