玉木氏が合流しない本当の理由~国民民主党と立憲民主党が新党結成へ
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年8月20日 17時30分
両院議員総会を終え、記者会見する玉木雄一郎代表=19日午後、東京・平河町の都市センターホテル
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月20日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。国民民主党と立憲民主党による新党結成について解説した。
国民民主党 立憲民主党との合流正式決定、新党結成へ
国民民主党は8月19日、立憲民主党との合流の是非をめぐって両院議員総会を開き、採決の結果、党を解散し、合流新党を結成することを正式決定した。また、玉木代表は合流に対する自身の考えを次のように示している。
玉木代表)私は立憲民主党と新たにできる新党合流には加わりません。理念政策の大きな一致が得られませんでした。私はやはり政策提案型の改革中道のポジションは不可欠だと思いますし、そうした政党が必要だと思います。
飯田)ということで、玉木代表は合流に参加しないという考えを示しています。合流新党の規模は、衆参両院で140人を超える見込みだということです。
鈴木)いろいろな人に聞いて集計をしてみると、衆参で150人と言う人もいますが、おそらくその辺りだと思います。9月に新党ができるまで、どちらに行こうかと迷っている人たちがどうするのか、ということになります。
共通認識だった「全員が新党に行くことはあり得ない」~唯一の想定外は玉木氏が行かないこと
鈴木)国民の皆さんの目にはどう映っているのでしょうか。この合流は、1年前から水面下で激しく行われていました。今回、国民民主党から行かない人もいますが、実はそれも織り込み済みでした。「全員がそろって一緒になることはあり得ない」というのが、合流を陰で行って来た人たちの共通認識でした。去年(2019年)、統一地方選挙がありましたよね。
飯田)はい。
鈴木)そのときに、立憲と国民の国会議員たちが応援で全国を回りました。その際に行った先で、両方の幹部が「5~6人かな」「そうだね」と話しているのを、地元の方たちが聞いているのです。それは何かと言うと、合流するのだけれど、「5~6人は来ないだろう。でもそれはOKだ」と。気にしていたら前には進まないので、織り込み済みだと。そこで、「本当にいよいよ合流が近いのだな、こぼれる人は必ずいるのだな」という認識が、ある地域に広まりました。そこから、地方組織のなかで横から横に広がって行きましたので、すでにこうした状況は想定済みであったのです。しかし唯一の想定外は、玉木代表が新党に行かないということです。
飯田)前々から話していたなかでは、想定していなかった出来事なのですね?
鈴木)はい。一緒になろうと一生懸命に立憲へ働きかけていたのは、玉木さんですからね。
飯田)もともとはそうですよね。立憲は、合従連衡はしないので個別で来い、ということをずっと言っていました。「それではダメだからさ」と肩を揉んでいたのは、玉木さんの方でした。
コロナ対応で提言をして実った玉木氏~提案型のポジションが必要
鈴木)その通りです。むしろ枝野さんの方が突っ張っていましたが、リアリストでもあるので切り替えた。そうしたら今度は、玉木さんが理念や政策が違うということで足踏みをし出した。そしてこの段階になって、玉木さん自身が参加をしないと。なぜこうなったのか。いろいろ取材をしていますが、玉木さん自身は政策理念が1つにならないということ、あるいは政策提案型の中道路線の政党が必要だということを理由に挙げています。コロナ対応で、玉木さんはかなり提言をして来ました。
飯田)「100兆円を使って経済を支えろ」など、具体的な政策提言をしていました。
鈴木)提言したものが実ったこともあります。国民的な評価もあるので、そうしたことから「提案型というポジションが必要だ」という思いを強くしたのではないか、という見方もあります。また、あってはいけないのですが、人間関係の面で、最後の部分で枝野さんと玉木さんの間に空気が合わないようなところを感じたのではないでしょうか。これはもちろん、枝野さんも感じたと思います。今回、いろいろと揉めたときに、玉木さんの側近に「最後はトップ会談しかないよ。いつ会うの?」と聞きましたら、「トップ会談をこっそり行い、まとめる方向に持って行こうと、枝野さんの側近と側近同士でいろいろやっているのです」と言っていました。ですので、この形で最後は突破するのだろうと思っていたら、結局はそれができないまま、玉木さんの方も硬直化してしまった感じがあります。最終的に会談は行ったようですが。
飯田)連合の幹部を介して行った、というような話が出ていました。
新党は政策的には中道寄りに~玉木氏はそこに入って政策議論をしてもよかったのでは
鈴木)やはり政策提言型というものに高揚感があるのと、2人の相性が合わないということがあるのでしょう。私は、半歩進んだとは思っています。大きな塊になることは大切です。立憲が今回の新党で、左派リベラルのような色をそのまま出すのか……。私は逆の見方をしています。野田佳彦さんや岡田さん、小沢一郎さんもいる。そして国民からもたくさん来る上で、新たに立憲のメンバー全員と組んで政党をつくりますから、政策的には中道に少し寄るような形になるのではないでしょうか。政権交代を目指すならば、現実的な政策提言をしないと、理念的なことばかり言っていても政権を獲りには行けません。私は今回の合流で、かつての立憲の左派リベラル色が、反対に中道になると思います。むしろ玉木さんは、そこに入って政策議論をしてもよかったのではないかと、少し残念な気がします。
飯田)玉木さんが政策で掲げていたのは、消費増税の是非の部分と憲法改正でした。結局、その議論が放り投げられたような感じになり、「嫌ならお前は来るな」という形になったように、私には映ります。そうした議論をすべてスキップしてしまい、野田さんや岡田さんは増税を押し進めたような人たちですよね。まとまるどころか、タブー視されて議論をしなくなってしまうのではないかと思うのですが、どうでしょうか?
鈴木)冷静に見るとそうなのですよ。しかし、水掛け論になりますが、自民党だって右から左までいます。なぜ自公が連立を組めているのか、憲法に関しても自公はどうなのかなど、いろいろあるのですね。しかし、やはり数をそろえるために一緒になっている。政治に対立関係や緊張感がなくなってしまうと、結局は国民を見なくなることになってしまうのです。そうしたことから、まずは数で与野党という緊張感を出すのだという部分が、第一目標になっていると思うしかありません。また、そこを有権者がどのように判断するのかということになります。
飯田)後は、決まったらみんな従うということができれば、1つの政党として維持できるということですよね。
鈴木)自民党はその強さがあります。9月の前半は、新党で少し盛り上がるでしょうね。
ポイントになる政党名
飯田)名前はどうなるのですか?
鈴木)投票で決めようという話です。これはポイントです。
飯田)看板は選挙にも影響します。
鈴木)「単なる野合ではないのだ」ということを見せられるかどうかはこれからです。本当に半歩、4分の1くらい進んだ段階だと思います。
飯田)中身はこれからということですね。
鈴木)そうです。
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