タイの小島の自由な犬たちの暮らしを眺めて癒されたい!
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年8月22日 21時50分
【ペットと一緒に vol.209】by 臼井京音
新型コロナウイルス禍で、2020年の夏休みは海外旅行を諦めた方も多いことでしょう。
今回は、筆者が数年前に訪れたタイのタオ島で、自由気ままに生きる犬たちの暮らしぶりを、多くの写真とともに紹介します。ご覧になることで、犬好きの皆さんが少しでも旅気分を味わえますように。
タイの小島は放し飼い犬パラダイス?
タイの小島に暮らす犬のモノクロ写真集『うみいぬ』の著作がある筆者は、20代のバックパッカー時代から約20年間で20回ほどタイを訪れています。
タイの複数の離島に行きましたが、なかでもタオ島は放し飼い犬が多い印象です。
タオの島民が暮らす住宅街に行けば、シー・ズーやポメラニアンなどの小型室内犬に出会うこともあります。でも海辺にいて、観光客が目にするのはほとんどが中型犬から大型犬に近いサイズの犬たち。
犬が苦手な人にとっては、恐怖を覚える島かも知れません。逆に、犬好きであれば、ちょっとしたパラダイスと言えるでしょう。筆者は後者なので、タオ島では放し飼い犬とのひとときを楽しんでいます。
ちなみに、タイは狂犬病による死亡者が毎年10名前後出ている国です。そのため、2019年3月には、パタヤで狂犬病ワクチンの無料接種キャンペーンが実施されるなど、狂犬病の予防対策が盛んに行われています。
狂犬病の予防ワクチンは、全国の地域犬や野良犬にも積極的に接種されているそうです。
タオ島では、地元の動物病院などの尽力もあり、ほぼ全ての地域犬や野良犬が狂犬病ワクチンを接種済みだと言われています。そのため、筆者も安心して、タオ島では犬と触れ合っています。
ホテルの客室に犬が!?
タオ島は、船でしかアプローチできない、面積約21平方キロの小さな島。大型リゾートホテルなどはなく、海辺にバンガローや小規模なリゾートが建ち並んでいます。
筆者が滞在したのは、海の目の前の戸建てのバンガロー。客室に入ろうとすると、玄関口に犬が寝ていました。
「ホテルの犬?」と英語で聞くと、案内してくれたスタッフにニコニコと微笑まれました。英語が苦手なのかも知れず、真相は不明ですが、首輪をしていたので誰かに飼われているのでしょう。
そしてその犬は、当たり前のように客室のなかへ一緒に入って来ました。けれどもすかさず「出て行って!」というようなことを、おそらくタイ語で言われたのか、犬はトボトボと室内から去ってしまいました。
案内スタッフはしきりに「ソーリー」と言っていましたが、私は「マイペンライ(大丈夫)」と笑顔。だって、どんな犬でも大好きですから。それに、海辺の犬はよく泳いだり砂で体を擦っているせいか、皮膚や被毛の汚れや臭いも気になりません。
仲間と海辺で遊びながら飼い主を待つ
ビーチ沿いを歩くと、暑さから逃れようと、砂を掘って寝ている犬たちを見つけました。
さらに歩くと、仲間と一緒に遊んでいる犬たちに遭遇。
カメラを構えて眺めていると、植物の皮のような紐状のものを持って来て、筆者を遊びに誘います。引っ張りっこ遊びなどをして戯れていると、ダイバーを乗せた小船がビーチに戻って来ました。
それを見ると、犬たちは一目散で海へ。どうやら、船長かダイビングインストラクターをしている飼い主さんが戻って来たようです。
その後、海で泳いだりしながら飼い主さんのそばで過ごした犬たち。最後は、仕事を終えてほっと一息ついた飼い主さんに寄り添い、ゆったりと夕暮れのひとときを過ごしていました。
気ままに過ごす犬たちの島時間
夜になると、犬たちはビーチ沿いに出現するレストランに顔を出します。そこで、観光客の横にちょこんと座り、炭火焼き鳥のおすそ分けをねだったりします。
ほとんどが行儀のよい犬たちですが、なかには片手を客の膝に載せてアピールする犬も……。
筆者は日本語で「お手」と言って手のひらを出してみたりするのですが、しっかり前足を載せてくれる犬も少なくありません。「おかわり」をしてくれる犬もいます。
首輪をしている犬も多いので、きっとバンガローなどに放し飼いで飼われているか、スタッフが連れて来ているのでしょう。
タオ島の犬たちがもっともイキイキとしているのは、早朝です。
朝日が昇ると同時に海辺に出て、人影のない砂浜で、犬たちは仲間同士で追いかけっこをしたり取っ組み合いをしたりして遊んでいます。
ものすごいスピードで走り、そのまま海に飛び込んで泳ぐ姿はしなやかで美しく、つい見惚れてしまうほど。いつまでも眺めていたい気分になります。
日本や都市部で暮らしている犬たちとは少し異なり、自然と親しみながら自由気ままな日々を過ごしている、タイの小島の犬たち。見ているだけで、筆者の心も伸びやかになり癒されます。
新型コロナ禍で、タイの小島の犬たちをはじめ世界の犬たちはどうしているのだろうかと、思いを馳せることがありました。
1日も早く新型コロナの感染拡大が収束して、もとの日常を世界の人々や犬たち、ペットたちが取り戻せることを願ってやみません。
連載情報
ペットと一緒に
ペットにまつわる様々な雑学やエピソードを紹介していきます!
著者:臼井京音
ドッグライターとして20年以上、日本や世界の犬事情を取材。小学生時代からの愛読誌『愛犬の友』をはじめ、新聞、週刊誌、書籍、ペット専門誌、Web媒体等で執筆活動を行う。30歳を過ぎてオーストラリアで犬の行動カウンセリングを学び、2007~2017年まで東京都中央区で「犬の幼稚園Urban Paws」も運営。主な著書は『室内犬の気持ちがわかる本』、タイの小島の犬のモノクロ写真集『うみいぬ』。かつてはヨークシャー・テリア、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らす。東京都中央区の動物との共生推進員。
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