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辞任にあたって安倍総理が示した“もう1つのこと”~敵基地攻撃能力の保有

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年8月31日 17時40分

辞任にあたって安倍総理が示した“もう1つのこと”~敵基地攻撃能力の保有

日米安全保障条約60周年記念レセプションで鏡開きをする安倍晋三首相(左から4人目)、ドワイト・D・アイゼンハワー元米大統領の孫メアリー・ジーン・アイゼンハワーさん(同5人目)ら=19日、東京都港区の飯倉公館[代表撮影]

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月31日放送)に中央大学法科大学院教授の野村修也が出演。河野太郎防衛大臣がアメリカのエスパー国防長官と会談したニュースについて解説した。

日米安全保障条約60周年記念レセプションで鏡開きをする安倍晋三首相(左から4人目)、ドワイト・D・アイゼンハワー元米大統領の孫メアリー・ジーン・アイゼンハワーさん(同5人目)ら=2020年1月19日 写真提供:時事通信

日米防衛大臣会談

河野太郎防衛大臣は8月29日、グアムでアメリカのエスパー国防長官と会談し、中国の海洋進出を念頭に、東シナ海や南シナ海の力を背景とした一方的な現状変更の試みに反対するとの考えで一致した。

飯田)両者の会談は河野大臣が訪米した1月以来、7ヵ月ぶりとなります。新型コロナから、本当にこういう会談がなくなりました。

衆院安全保障委員会でイージス・アショア配備計画停止について答弁に臨む河野太郎防衛相=2020年6月16日午前、衆院第17委員室 写真提供:産経新聞社

日米同盟を基軸として中国に対して毅然とした態度を示すことが必要

野村)なかなか難しい状況ではありますが、この時期に中国は海洋進出を強めています。安全保障上、かなり厳しい状況が続いていますので、しっかりと話し合いをしていただくことが大事だと思います。安倍総理は在任中に81回の外遊をこなしています。その前の政権では、8回外国に行かれて要人と議論しています。これは「地球儀を俯瞰する外交」と言われていましたけれども、その成果が日米同盟を強化して来たのです。ここを基軸とした形で、いま中国がしている行為に対しては、毅然とした態度を示すことが必要だと言えると思います。

飯田)尖閣に30日にも船が入って来たというニュースがありましたが、日本も矢面に立っているわけですから。

野村)中国は第1列島線として、尖閣、台湾、南沙諸島を含めた防衛ラインを勝手に引いているわけです。この状況のなかで、特に南シナ海に対しては、どんな法的根拠があるのかはわかりませんが、自分たちがそこを管理するのだと強く打ち出していて、今回もミサイルを発射しています。飛ばしたミサイルは2種類あるのですが、1つはグアムに届くミサイル、もう1つは米軍の空母を攻撃するためのミサイルです。これを連射したという形になっているので、アメリカにとっては無視できない状況だと思います。

飯田)ミサイル防衛となると、日本では北朝鮮が頭に浮かびますが、中国も想定しておかなければなりません。イージス・アショアが頓挫した後、ここをどうするかについても、安倍総理の会見のなかで言及がありました。

配備候補地としてきた新屋演習場周辺の住民代表(右)に「ご迷惑をおかけした」と深く頭を下げる河野太郎防衛相=2020年6月21日、秋田県庁 写真提供:産経新聞社

イージス・アショアではなく、敵基地攻撃能力を保有する

野村)辞任する際、安部総理が道筋をつけたことは、コロナ対策とミサイル防衛です。ミサイル防衛についてはイージス・アショアではなく、場合によっては敵基地攻撃能力を整えるべきではないかということを、方向感として示されたのだと思います。よく憲法との関連で議論される方がいますけれども、基地攻撃能力自体が憲法違反ではないということは、鳩山一郎さんのときの国会答弁以降、日本が示して来た考えです。これよりも狭い範囲で専守防衛を考えるという議論があったのですが、基本的には憲法の範囲内でやるのが専守防衛ですから、憲法で許されていることについて、アメリカにお任せしていた部分があったのです。しかし、アメリカとの関係のなかで、防衛のあり方を見直さなくてはいけなくなっているため、できることを最大限、可能性を示して行くということだと思います。

安倍晋三首相との会談に臨むジョン・レイモンド米宇宙軍作戦部長(左)=2020年8月27日午前、首相官邸 写真提供:産経新聞社

戦争をしないための政策

飯田)集団的自衛権も一部容認で、あれも憲法では認められるだろうというところですが、いままではやらなくてもよかった。

野村)これは「戦争をしないための政策」なのです。防衛を整えると「戦争をする国になったのか」と言う人がいますが、攻めて来られないようにするためのものです。「戦争はしない」という、日本の平和国家としての矜持があります。これは世界に主張すべきことで、絶対に自分たちから攻撃することはありません。攻撃を受けそうになったときに、どのタイミングでどのように防衛するかということは、日本国民の命を守るための政策ですから、そこはしっかりと議論しなくてはいけないと思います。

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