アメリカ大統領選~急速にバイデン氏を追い上げるトランプ氏
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年9月1日 17時30分
24日、米共和党大会で親指を立てるトランプ大統領(左)とペンス副大統領=ノースカロライナ州シャーロット(UPI=共同)
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月1日放送)にジャーナリストの有本香が出演。電話ゲストに国際情勢アナリストの渡瀬裕哉を迎え、安倍総理のこれまでの外交について、またアメリカ大統領選について解説した。
安倍総理、トランプ大統領に電話会談で辞意を伝える
安倍総理大臣は8月31日午前、アメリカのトランプ大統領と電話会談を行い、持病の再発により辞任することを直接伝えた。また総理は「後継者も日米同盟を強化して行くことに変わりはないので、安心して欲しい」と伝えた。
飯田)先週の金曜日(8月28日)に退陣を表明したあと、外国首脳と電話会談をするのは初めてです。トランプさんとの関係を考えると、最初にということになるのでしょう。
有本)唯一の同盟国ですので、トランプさんとではなくても、最初に会談するのは筋だろうと思います。多くの国々の首脳から、電話会談をしたいという要請が殺到しているそうです。
飯田)そうなのですか。
世界各国の首脳クラスから安倍総理の辞意を惜しむ声~レベルの高い外交政策を展開
有本)今回、特徴的だったのは、安倍さんが辞意を表明した途端に各国の首脳クラス、アメリカではポンペオ国務長官などが、残念であるということをSNSなどを通じて表明しています。そうした声が非常に多く上がりました。そういうところからも、安倍政権の7年8ヵ月で世界中を自ら回り歩き、多くの首脳と人的関係を築いたという1つの業績は、日本にとっても大きなことであったのだろうと思います。
飯田)この時間は、早稲田大学招聘研究員であり、9月25日にすばる舎から『2020年大統領選挙後の世界と日本“トランプorバイデン”アメリカの選択』を出版される、国際情勢アナリストの渡瀬裕哉さんと電話がつながっています。大統領選についても聞いて行きたいと思います。渡瀬さん、おはようございます。
渡瀬)よろしくお願いします。
飯田)まずは、退任する安倍総理ですが、外交面について、渡瀬さんはどうご覧になっていますか?
渡瀬)安倍首相の外交は、非常に素晴らしかったと考えております。特にオバマ政権からトランプ政権ということで、アメリカの政権が代わったときにも、しっかりと日本の国益を追求した外交政策を継続できたことが大きいと思います。インドや欧州などと共に、安全保障の取り組みを継続することができた。この点に関しては、レベルの高い外交政策を展開されていたと思います。
飯田)「価値観外交」を掲げておりましたが、これは日本にとって重要なことですか?
渡瀬)そうですね。世界中のいまの情勢としては、中国をはじめとした権威主義国と、アメリカや日本などの民主主義国との価値観の違いが、これから鮮明になって来ます。そのなかで、アジア太平洋地域で民主主義国の団結を推進した安倍政権は、評価できると思います。
次の総理に期待される外交・安全保障~期待できる菅氏
飯田)これだけ長い間やって来て、次を担う総理は、外交面でも期待されることが大きいですよね?
渡瀬)大きいと思います。外交・安全保障の大前提としては、強い経済力が必要になります。安倍首相の場合は、アベノミクスということでそれを推進しました。増税と規制の廃止というところでは、2つ課題が残っています。減税や、より規制を廃止した経済成長ということが、次の総理に期待される政策だと思います。
飯田)いまは菅さん、岸田さん、石破さんという3人が出ていますが、その辺りの経済政策を見ていると、渡瀬さんとしてはどうですか?
渡瀬)皆さんがきちんと政策を打ち出しているわけではないので、何とも評価できませんが、菅官房長官に関しては、経済政策としてもそうですし、オバマ政権、つまりバイデンさんとトランプさんの、両方の外交関係を見て来られました。他の方よりは安定したものが見込めるかなと思います。もう1つは、実務家肌の方ですので、私は菅官房長官に期待しております。
急速にバイデン氏を追い上げるトランプ氏
飯田)そして、ここからが本題ですが、アメリカ大統領選挙です。共和党、民主党の両大会が終わりました。バイデンさん、トランプさんも演説をしています。全体をご覧になっていかがですか?
渡瀬)分断されているな、という印象があります。そうは言っても、トランプ大統領の方は「経済のトランプ」としてアメリカを立て直し、アメリカで徐々に進んでいる社会主義化に対抗するという、鮮明な姿勢を出されていました。バイデン元副大統領の方は、トランプ批判に終始するという、野党らしい対応の演説だなと思いました。
飯田)当地の世論調査では、バイデンさんが有利だと日本では報じられていますが、これはどう見たらよいですか?
渡瀬)まだバイデン元副大統領の方が、やや優勢ということは間違いありません。しかし、トランプ大統領の方も急速に追い上げています。特に、7月15日に選挙全体のキャンペーンを仕切る選対本部長が代わりました。その後、選挙の広告キャンペーンのイメージも変わり、急速にその差が縮まっているというのが現状です。
バイデン氏~サイレント・マジョリティーの影響と討論会での不安
有本)先ほど、トランプさんの追い上げということをおっしゃっていました。前回もそうでしたが、実際のサイレント・マジョリティーのような方たちの数は、前回よりも多いのではないかと予想している向きもありますし、私たちも何となくそういう感じがしています。その辺りを、渡瀬さんはどうご覧になっていますか?
渡瀬)サイレント・マジョリティーという意味では、いまアフリカ系の方々の抗議運動が暴動化して、警察予算の解体などを訴えるようになって来ました。穏健な方々は、バイデンさん、民主党から距離を取るのだろうということは、雰囲気としてあります。もう1つは、増税です。民主党陣営、バイデンさんは増税を打ち出していますので、そこに関しては今後、女性層の反感が広がる可能性があります。
有本)日本もアメリカも増税ということですね。
飯田)バイデンさんがどこまで演説に耐えられるのか、認知能力はどうなのか、ということが言われています。どうなのでしょうか?
渡瀬)この間の指名受諾演説のように、1人で演説するときはきちんとできる可能性があります。しかし、双方向性のトランプ大統領との直接討論会が、9月末からあります。それはかなり厳しいかも知れません。バイデンさんは、何を言っているのかわからなくなってしまうこともあります。また、言ってはならないことを言ってしまったりすることもあります。トランプ大統領は何を言っても大丈夫ですが、バイデンさんはイメージとしてそういうことがあると、ダメージは大きいでしょうね。
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