「麻生総裁」の声もあった新総裁候補選出の裏側
ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2020年9月3日 17時30分
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月3日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。自民党総裁選に菅官房長官が出馬表明をしたニュースについて解説した。
菅官房長官が自民党総裁選への出馬を表明
菅官房長官)1人の政治家として、安倍政権を支えた者として、いまなすべきことは何かを熟慮してまいりました。そして私は、自由民主党総裁選挙に立候補する決意をいたしました。私の持てる力をすべて尽くす覚悟であります。
飯田)9月2日、国会で行われた菅官房長官の出馬表明のコメントです。「安倍政権を継承しながら力のすべてを尽くす」と語っております。これで構図が岸田政調会長、石破元幹事長、菅官房長官の3人で固まったということになります。
安倍総理の辞任会見の裏で~すでに総裁選に向けて動いていた自民党各派閥
鈴木)3人の総裁選ということになります。総理が辞めるという会見をしたその瞬間から、私は20分くらい、いろいろな合間に議員会館へ行きました。某派閥の幹部を含めた部屋に行ったのですが、誰も総理の辞任会見は聞いていません。すでにその夜、派閥で会うための連絡を取り合って、誰も総理を見ていないのです。
飯田)なるほど。
安倍1強のなかで力を誇って来た人達がそのまま移行~菅氏総裁という既定路線で動いていた
鈴木)何十年も記者をやっていて、いまさら言うのも何ですが、目の当たりにしました。7年8ヵ月、「1強」と言われていた総理が辞任を口にした瞬間から、誰も自民党の議員は総理を見なくなるのですね。どういうことかと言うと、そのあとの8月29日、30日で菅さんの流れが強まったと言われています。そう考えると、もう既定路線で動いていたのだろうという気がします。あの2日間は、石破さんや岸田さんなど、菅さんの路線ではない派閥の人たちが動いていました。しかし根っこの部分では、菅さんの流れができていた。その根っこの流れをつくったのは、安倍政権で安倍1強を支え、権力の中枢にいた人たちが、そのまま移行しようと。そのためには誰であれば収まりがいいのか、となったわけです。麻生さんという説がありました。安倍さんの某側近が、麻生さんをいまの菅さんのような形にすると。ところが麻生さんは、国民の支持率も含めて、発言などの面でどうなのかという部分があります。そのため、「ならば菅さんがよいのではないか」となった。安倍1強の安倍さんはいなくなりますが、そこで力を誇って来た人たちが、そのまま移行するというような構図です。
飯田)2日の別の記者会見で、細田派の細田さん、竹下派の竹下さん、麻生派の麻生さんの3人が、3派連合で会見をしましたよね。この辺が核となって回そうとしていたというのは、確かにそれぞれの派閥から、いろいろな閣僚を出しているなと思いました。
鈴木)そうなのです。そういう意味では、安倍1強が終わるのではなく、安倍さんがいなくても安倍1強が続いている、というような総裁選の推薦騒動があるという見方をした方がいいです。そのなかで、菅さんが2日に記者会見をした。菅カラーをもっと出すべきだと思いましたが、それは出せません。なぜなら、安倍政権の継承ということで、菅さんはみんなに推されている。継承として菅さんを推している人たちは、自分たちの権力の流れをそのまま移行したい。その菅さんが、「私は私の独自色を出します」とは言えません。
菅氏には「地方」をキーワードにした独自路線を出して欲しい
鈴木)いろいろあるとは思います。しかし、私は国民の方を見たときに、菅さんらしく行える国民のための政策は、かなりあると思います。いままでの菅さんのキーワードは「地方」だと思います。ここが実は、石破さんと似ているところです。菅さんが地方に対して行ったことの1つが、ふるさと納税でしょう。
飯田)昨日(2日)の会見でも言っていましたね。
鈴木)あの仕組みにいまは慣れて、「どこに納めようかな、カニがもらえるかな」などと考えるようになりました。
飯田)おいしいものがあるだろうか、と探したりする。
鈴木)いまでは当たり前にやっていますが、これは画期的な税制の仕組みでした。そうした地方というものをキーワードにやって来た。地方創生、地方分権と2日の会見でも言っていました。安倍さんのマクロなものや経済ではなく、菅さんは経済も地方に根差したものだというような、独自色を出していいと思います。しかし、そこが言えない。権力闘争、権力の移行という意味での総裁選なのかな、という感じがします。さらに突き抜けて何をやるのか言って欲しいのですが、そうした矛盾から、国民にはある意味での失望感がある気がします。
飯田)その辺りは、今後の総裁選に向けての選挙活動などで、いろいろなものが出て来たり、メディアの露出も増えるでしょうね。
鈴木)そういう議論をこれからして行きますよね。だからこそもう少し長く、党員投票なども含めて、国民には投票権がありませんが、三者三様の意見を聞きたいですよね。権力の移行が水面下で働くことによって、クローズドな総裁選になってしまう。むしろオープンにした方が、自民党にとってもプラスのような気がしますけれどね。
解散総選挙を菅氏が打つのかどうか~注目すべきポイント
飯田)菅さんがカラーを出せないという状況に、必然的になるという話ですが、そのカラーを出すために「俺には国民の支持があるのだ」ということで、例えば早期に解散を打って出るようなことはあるのでしょうか?
鈴木)いま10.25説が出ています。菅さんはやらないだろうという予想の人もかなりいますが、ある幹部は「確率は50%ある」と。半々だということです。おっしゃるように菅さんが選挙で勝てば、菅色を出してもいいのです。
飯田)安倍さんは選挙に勝つことによって、自分のカラーを出すということをやって来ましたよね。
鈴木)安倍さんはそこです。選挙で勝って来たからです。安倍さんを継承すると言うのならば、そこも継承できますよね。それで勝てば、来年(2021年)の総裁選でも勝った菅さんを降ろすわけには行きません。次のポイントは人事もありますが、解散総選挙を菅さんがどのタイミングで打つのか、打たないのか、ここが非常に注目です。
飯田)麻生さんに政権が代わった直後に、解散をした方がいいでしょうと直談判に行きましたよね? あれは確か菅さんでした。
鈴木)そうです。しかし、麻生さんはできなくて、民主党に代わってしまった。
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